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MNPの恩恵を受ける人、割を食う人
2006年10月31日
前回(*1)に引き続いて、MNP(モバイルナンバーポータビリティ)に関連した話をしたい。
番号を変えたくないニーズは、長期にわたって同じ番号を使い続けているユーザーのものだと思っていた。つまり、これまで長い間、キャリアを変えていない人だ。だが、改めて考えてみたら、実は最もMNPの恩恵を受けるのは、これまでもキャリアを転々として来た人ではないかと思えて来た。そういう人が、今度は番号が変わらなくて済むというわけだ。
というのは、今では各社とも、継続契約年数に応じた割り引きが充実している。それを放棄して携帯電話会社を乗り換えようとするのは、実は継続利用がリセットされてもさほど惜しくない人、つまり短期で電話機とキャリアを乗り換えて来たユーザーではないかと思うのだ。加えて言うなら、基本料金の高いプランほど、割り引かれる絶対額も大きい。逆に言えば低価格な料金プランの利用者の方が、乗り換えても痛手が少ないことになる。
もちろんこれらは私の勝手な想像であり、ごく一面的な断定に過ぎないのだが、以上の2点からあえて推論を進めると、MNPによって流動化するユーザーの一つの典型例として「月々の利用料金は少ないが、電話機をこまめに乗り換えたがる人」を思い描けそうだ。そして正直に言うと、私はこの答えに思い至って、少々うんざりした気分になったのだった。
今の携帯電話市場では、新規契約はもちろん、機種変更の場合でも、おそらく電話機の価格は、本来の価格よりも安く設定されている。その分を月々の通信料の分から補填しているわけだが、それは従来、電話機を購入した本人だけが負担しているわけではなかった。長期にわたって電話機を変更しない人も含めた、全ユーザーが薄く広く分担していたのだ。
私のように同じ機種を5年も使う(*2)者から見ると不公平感があったのだが、もしMNPで流動化するユーザーが前述の通りなら、その構造はむしろ悪化することにならないか。
*1 「携帯電話番号は変えたくないものか」(2006年10月27日掲載)
*2 「これぞと思う物を長く使いたい」(2005年6月21日掲載)
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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