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繋がり合うことの便利と危険と
2006年10月23日
先日、あるポータブルミュージックプレイヤーが出荷段階でウイルスに感染していたという事件が報じられた。これが初めての事例かどうか、私は確かなところを知らないが、少なくとも今はまだ、ミュージックプレイヤーに感染するウイルスは珍しい存在だろう。
ただ原理的に言えば、プロセッサとメモリがあって何らかのコードを実行可能な機器であれば、それはウイルスの動作するプラットフォームでもあり得るということで、驚くには値しない。もう少し言うとその機器が、外部と何らかのデータをやり取りするために、他の機器やネットワークに接続されるものであるならば、という条件も加えて良いだろう。仮に製造段階で悪意のコードが入り込んでいても、スタンドアロンな、つまり他の機器と接続しない使い方なら感染は拡大せず、単にその機器単独の動作不良に見えるだけからだ。
一方、外部から取り込むものがデータファイルだけだからといって、安心というわけではない。機器の予期しない不正な形式のデータを食わせることで、その機器にエラーを起こさせ、ウイルスコードが実行される状態にしてしまう可能性がないとは言えないからだ。これは原始的な手法で、こんな手口に引っかかるようでは困るのだが、機器を作っているのも人間である以上、まさかという場所にセキュリティホールができてしまうことはある。
今では多くの機器が、デジタルデータを扱い、他の機器と情報のやり取りをする。パソコン、NAS(ネットワーク接続ストレージ)、プリンタなどはもちろん、IP電話ユニットや携帯電話、PDA(電子手帳などの情報端末)やゲーム機、ハードディスクビデオレコーダや、最近ではテレビまでもがそれに該当する。そしてこれらの中には、すでにそれをプラットフォームとするウイルスの存在するものも少なくない。繋がり合うことの便利さと引き換えに、私たちは常にいくらかの危険にさらされている。それが今という時代の現実なのだ。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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