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私はバトンというやつが嫌いだ
2006年10月13日
ここ数年、バトンというものを良く見かける。何らかのテーマに関する質問が数問から数十問並んでいて、それを受け取った各人が答えるというものだ。そして多くの場合、最後の設問が「このバトンを回す人を指名してください」といった内容になっており、人から人に渡されていくところが「バトン」たる所以だ。いつ始まったのか正確には知らないが、目につき始めたのは、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)が流行り始めた頃と重なっていたように思うので、3年弱くらいだろうか。SNSに限らず、ブログや各種日記サイトなどを媒介して広められているようだ。
私はこのバトンというやつが嫌いだ。次の回答者を指名する押し付けがましさはさておき、多くのものは複数人を指名するようになっており、そうしたネズミ算的な構造が気持ち悪い。実際は「そのバトンはもう前にやった」という形でネズミ算にならないことも多く、「所定の人数に答えてもらわないと不幸になる」的な呪いの言葉がない限り、他人が楽しんでいるのを責めるほどでもないだろう。
ただ私自身は、指名されてもたいてい断り、回答しない。もっとも、私の友人たちの場合は、元のバトン作成者のルールに従わず「自分はやってみたいからやりましたが、次の人は指名しませんから、やりたいと思った人がいたらめいめいやってください」と書いていることがほとんどで、それは賢明な対応だ。
しかし、バトンによっては設問を明らかにせず回答だけを掲載させる「シークレットバトン」と言われるものや、また「見た人は絶対に回答すること」などとした「強制バトン」と呼ばれるものがある。前者は他人の感情を不安定にさせて興味を引こうとするものだし、後者も、強制を無視すればしたなりに、こちらの心には細かいささくれができるのである。読んだ人にそうした感情を起こさせることに無頓着に、子どもじみた振る舞いを拡大再生産するのは、そろそろやめにしないか。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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