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ネット版大飛蝗を金で操れたら
2006年8月25日
いつも私のコラムに容赦ないツッコミを入れてくれる友人から、前々回(*1)と前回(*2)について「あれだとまるで、最近話題になった出来事を、知らないフリしてアレンジしただけみたいだよね」と指摘されてしまった。
前々回の話を補足すると、個人ブログを対象としてスポンサー企業からのプレスリリースを提供し、それを記事として掲載したブログ(先着などで数量制限はある)に対して掲載料を支払う、というビジネスは現に存在している。ただ、これは表向きに行われているもので、私はさほど問題を感じない。だが、もしこれをアンダーグラウンドで行うビジネスが一般化すると、法的には合法だとしても、情報倫理的な観点からは、かなり気持ち悪い。
またつい先日には、賛否の割れたあるイベントについて、それを放映したテレビ局が外注の企業を使って、大手匿名掲示板などに賛同の書き込みをさせたのではないか、という噂が流れたばかりだ。事の真偽が分からないので、このコラムでは直接触れなかったのだが、前々回書いた、友人の「きっとどこかの代理店が仕事をした」という発言自体、そもそもその出来事を踏まえての冗談だったのだ。
前回の話では、私は屍肉をあさる者という意味でハイエナに喩えたのだが、最近では「ネットイナゴ」なる言い方が定着しつつある。突如として大発生し、遠方から飛んで来るイメージを重ねているらしい。なるほど、もはや個体の判断など存在せず、ただ群れが嵐のように移動しているだけなのかも知れない。
さて、言い訳ばかりしてしまったが、私としてはこの2つの話題を続けたことに意図があったのだ。もし金でかき集めた有象無象に、ハイエナだかイナゴだかのフリをさせたら、どういうことができてしまうだろうか。対象がネット上で何らかの発言をしている個人であれば、かなり効果的な攻撃が可能だ。内容はともかく、大量の中傷で標的の人を疲弊させれば、発言する意欲を失わせるには十分だ。
*1 「ネット世論をコントロールする商売」2006年8月22日掲載
*2 「他人の失言に群がるハイエナの醜さ」2006年8月24日掲載
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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