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PCで見かける変な言葉遣い
2006年6月20日
先週から体調を崩して2回続けてお休みをいただいてしまったが、連載はまだ続くので、今後ともよろしくお付き合いをいただきたい。
さて今回は病み上がり(というほどの大病をしたわけでもないが)のため、ちょっと軽めのネタということで、PC関係でしばしば見かける言葉遣いのうち、私が気になるものについて、ちょっとした屁理屈をこねてみたい。具体的にはWindowsの自動更新のウィンドウに「インストールの開始中」という言葉が出るのだが、私にはこの「開始中」という言葉が、どうも気持ち悪く思えて仕方がないのだ。
開始、というのは、ある時点から物事が始まる(または始める)、という言葉であり、つまり時系列において端点を持ったベクトル的な語であるはずだ。一方で「…中」というのは、注目する時間内において動作が継続しているということを示す、つまり端点のない言葉のはずだ。このように、本来性格の違う言葉を組み合わせているのだから、木に竹を接いだような違和感が生じるのも当然だろう。
ではどうしたら良いか。単に「インストールを始めています」とすれば良いのだ。これでもまだ、日本語としてはやや不自然なのだが、「開始中」よりはかなりマシだ。そして、作業を開始した端点がありつつ、作業の初期段階を継続中であるというニュアンスは出る。
ちなみに、ニュース記事などで見かける「発売を開始した」も、私は少し気になる。日本語として間違ってはいない。「発(ハツまたはホツ)」には、たとえば「発動」とか「発起」のように、ある時点から始めるという意味が含まれることもあるが、「発売」の場合には「発表」とか「発令」とかいった語と同様、時系列のベクトルではなく、ある一点から広く外界に向けて放つ、という意味だと思われるからだ。ただそういう方向性を持つ語が2つ続くと、ややうるさい気がするのだ。
本当に些末な話で恐縮だが、こんな話ができるのも、このコラムならではということで。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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