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困っている人を助けるなと教育しよう
2006年6月2日
最近の迷惑メールはとみに狡猾さを増しており、とりわけ悪どいのは善意の間違いや、困っている人を装うケースである。今のところ、困っている人の「困り方」ないし「助けの求め方」の部分に、たいてい性的な話題が混じって来るので、迷惑メールを読み分けるのは難しくないが、単なるメール誤配信のように装っているケースなどでは、迷惑メールの見分け方を多少なりとも心得ているつもりの私でも、一瞬考え込んでしまうことがある。
こういった迷惑メールの手口が、今後さらに巧妙化して来ることは避けられまい。詐欺紛いの騙しのテクニックが行き着く先は、詐欺そのものの手口の膨大な蓄積に他ならない。そしてまた、そうした犯罪的な行為が進んで標的とする対象は、必ず弱い立場の人たちだ。
こうして考えると、あまりネットに習熟していない、親切な人の善意につけ込むやり口が、ますます先鋭化して来ることになるだろう。
そこで考えておかなければならないのは、とりわけ子どもを、こうした悪意からどう守るか、ということである。今では子どもでも普通に携帯電話を持ち、その携帯電話にはメール機能がついているのである。子どもも年齢によっては子どもなりに善悪の判断はつくだろうが、善意を装って近づいて来る悪意を見分ける能力が万全とまでは言えないだろう。ネットにおける未知の他者とのコミュニケーションのプロトコルといったものを、きちんと教育の中に織り込んでいくべきではないか。
平たく言ってしまえば、困っている人には親切にしましょう、人をむやみに疑うことはやめましょう、といった従来の「道徳的」な対応が、ネットにおいては他者の悪意の罠にはまってしまう原因になるということを、残念ながらきちんと教えていかなければならない時代になって来たと思う。たとえ誰かが困っているように見えるメールでも、それが未知の人ならば看過するのが「正しい」対応なのだ、と子どもには教えるべきだと思うのだ。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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