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たかがspamの引っかけといえども
2006年4月28日
インターネットが牧歌的であった時代の名残で、私は自分のWebページにはメールアドレスを、それもmailto:タグ入りで書き込んであるし、いまだに掲示板などにも、わりあい気軽に書き込んでしまう。ついでに、昔の私の著書の奥付にも連絡先として載せていた。
だが、そういうことを10年近く続けていた結果、必然的に、日々の迷惑メールが結構な数になってしまっている。それでも今は、複数のメールアドレスに来る分を合わせて日に100通ちょっとなので、手作業で削除してどうにかなっているけれども、さすがに面倒だ。いくら何でもそろそろ、spamフィルターを使うべきなんだろうが、その話はまた別に譲る。
そういう迷惑メールを見ていて思うのは、送信者や件名などで、いろいろと細工が進んで来たなあ、ということだ。どういったもの、と具体例を挙げるのははばかられるが、差出人(送信者)を個人名にしたり、件名を友人からのメールや業務上の連絡のように装ったり、あるいは受け取った人が利用している何らかのサービス提供会社からの連絡であるかのようなものにしたり、といったケースだ。
もちろんいずれも、類似の事例がこれまでになかったということではない。ありふれた迷惑メールのパターンに過ぎないと言ってしまえばそれまでだ。だが、spamという存在が世間的に知られようになり、それへの対策が少しずつではあるが進んで来た結果、それをかいくぐろうとする側の手口も、やはり巧妙化して来ている。そして重要なことは、こうした「小さな騙し」が氾濫する世の中は、あまり健全な方向に向かわないということだ。
世の中がどこまでも清潔で、悪事のかけらもない空間であるべきだ、などという絵空事を言うつもりはない。多くの人間がいる限り、世間には必ず「陰」の場所がある。だが、大半の人々が暮らす日向の世界を健全に保つためには、その陰が日常をじわじわと侵食することを許さない姿勢が重要なのではないか。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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