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ブログが媒介する思わぬ交流
2006年4月19日
製品でも情報でも芸能でも、物事にはあまねく、送り手と受け手が存在する。そして発展した現代社会では、送り手と受け手を媒介するのは大規模な流通システムやメディアであり、実際の送り手と受け手は遠く隔たって、顔の見えない存在になっている。だが10年ほど前から、個人がWebページを開くことが一般的になってからというもの、受け手側が趣味で開設し、運営していたはずのページが、送り手側の目に止まって、思わぬ交流が始まる、といったことが起きるようになった。
実際に私も、比較的早い時期から、身近にそういう事例を目の当たりにしていたし、それをコラム記事で紹介させてもらったこともある(*1)。最近ではその契機になるのがブログであったり、さらにはSNSの日記であったりする程度の違いはあるとしても、そういう送り手と受け手とが交流するということ自体は、さほど珍しいことではなくなっている。
と、分かった風なことを言いながら、それがまさか、自分の身に起きるとは思っていなかった。数箇月前から、ある事柄について、私のプロフィールを一切明かさず、その趣味の世界でしか使わないハンドルで、受け手としてのブログを開いていた。仕事とは逆に、そのブログでは読者のことを意識せず、私が言いたいことだけを勝手に書き流していた。それがどういうわけか、送り手側のある著名な方の目に止まったらしく、会いたいとまで言われてしまったのだ。非常に有名な人なのに、ほぼ匿名の、正体も知れないファンブログの書き手に、わざわざ会ってみようというのもすごい話で、さすがに恐縮してしまった。
そしてつい先日、実際にその方とお会いして、お話をして来た。私はうれしいやら気恥ずかしいやらで舞い上がってしまい、何を口走ったか覚えていないほどだ。ただ、本当にブログがキッカケでこういうことが起き得るということを、観察者としてでなく当事者として実感できたのは、実に貴重な経験だった。
*1 小笠原陽介「楽しさを分かち合える誰かに」ジャストシステム刊“JUST MOAI”1997年4月号「デジタルビットの隙間に」(12)
http://www.tsp.ne.jp/~oga/j970400y.html
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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