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最低落札価格の嫌らしさ
2006年4月7日
私はネットオークションがわりあい好きで、良く利用しているのだが、以前からどうしても馴染めず、はっきり言って今も嫌いなものがある。「最低落札価格」というやつだ。
一般的なネットオークションのシステムでは、出品者は個々の品物について、予め開始価格と競りの期間などを設定して出品する。それに対して、落札希望者たちは締め切りまでの間に購入希望額を入札し、値段を競り上げていく。入札(競り上げ)は締め切りまでの間に何度も行うことができ、最終的に締め切り時刻の時点で最高値をつけた人が落札する。
そのため、人気のある品物は競り上げがヒートアップして思わぬ高値をつけることがある反面、人気のない商品や、注目されなかった商品では、入札がなかったり、ほとんど値段が競り上がらなかったりすることもある。入札がなければ売れないだけだが、値段が思ったほど上がらなくても、開始価格以上であれば入札は有効だから、その値段で売らなければならない。そこで、開始価格とは別に「この値段以上にならなければ、入札があっても落札させない」という価格を設定できるようになっている。それが「最低落札価格」だ。
最低落札価格の嫌なところは、それがいくらになっているか、入札する側には分からないことだ。自分が買いたいと思う額を入札してみて、初めてそれより高いか、安いかだけが分かる。つまり、最低落札価格以下での競り上げは、一切が無意味なものになるのだ。
まともな人間なら「だったら最初から、売りたい最低価格を開始価格に設定しておけば良いだけの話ではないのか」と考えるところだが、そこにネットオークションの綾がある。開始価格を低く設定しておけば、それだけ注目されやすいのだ。だから、それこそ10円とか1円といった値段を開始価格にして、客に無駄な入札を繰り返させる。それでいながら、出品者の利益は最低落札価格で確保できる。そういう売り手の態度は嫌らしいと私は思う。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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