|
縦読み検索機能の必要性
2006年3月31日
私がこれからの検索エンジンについて考察している中で、現在および近い将来において特に必要性が高まると考えているのは、日本語では「縦読み検索」と呼ばれる検索機能だ。縦読みというのは、改行位置をユーザーが指定するようなスタイルの掲示板などにおいて、横書きの書き込みの行頭もしくは行頭から数えて何文字目かを「縦」に読むと、違う意味の文が現れるように隠しておくというものだ。
縦読みというと、ネット掲示板に生じたあだ花、冗談に過ぎないと思う人もあるかも知れないが、そんなことはない。古くは「いろはにほへと」で始まる47文字を7文字ずつ横書きして行末を縦読みすると「咎(とが)無くて死す」となり、無実の罪によって落命した無念が詠み込まれていることが明らかになるという例もある。また、和歌には折句歌という手法があり、たとえば平安時代に在原業平が「からころも
きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」という歌に「かきつばた」を詠み込んでいる例は、あまりにも有名だ。つまり日本語においては、含意を忍ばせるための伝統的な手法なのだ。
こうした「縦読み」を支援する機能は、現在の有り余るほどのコンピューティングパワーを使えば、実現に向けてさほどの困難はないと言える。もちろん検索ワードは人間が適当に見当をつけて入力する必要があるが、縦読み検索機能によって単語の位置が分かれば、あとはその上下を縦に読むと文になるだろう。
さらに難度の高い検索機能としては、表示上の改行文字数の指定がない場合がある。一見すると何もないようでいて、表示幅を特別な数字にした時に限って縦読みが可能になるというものだ。これは日本語以外の言語での「何文字おきに文字を拾う」という読み方に相当し、かつてのベストセラーにならって「『聖書の暗号』検索」機能と呼ばれるものだ。
以上は1日早いエイプリルフールネタ。力及ばず、この文には縦読みを仕込めなかった。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
●小笠原陽介 一覧へ●
●ご意見・ご感想をお寄せ下さい●
|