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この10年のただならぬ重さ
2006年3月28日
今、私の手元に、1冊の古い雑誌がある。「Yahoo! Internet Guide」1997年5月号。その表紙には、あのジェリー・ヤン氏の直筆サインが入っている。サインの日付は3月なので、今からちょうど9年前ということになる。
そんなものをわざわざ取り出したのは、今日、Yahoo! Japanが10周年だそうで、記念記者会見に行って来たからだ。別に私が招かれたわけではなく、たまたま取材の仕事が編集部から振られただけだが。その会場で、記念のプレゼンテーションを行っているYahoo!
Inc.創業者兼取締役のジェリー・ヤン氏を見ながら、この9年ないし10年という時間の、ただならぬ重さについて思いを馳せていた。
このたった10年で、インターネットは世界を一変させてしまった。それは劇的な速さだった。20世紀にラジオやテレビが登場した時もこうだったのだろうか、私には知る由もないが。ともあれ飽和したかに思えていた先進社会が、インターネットによってまだこれほどにも変わり得たこと、それを目の当たりにしたことは、大変な驚きであり喜びだった。
だが、では世界がどのように変わったかというと、私にはそれをうまく言い表す言葉が見つけられない。おそらく後世の歴史家たちは、20世紀と21世紀の文化を隔てることとなる爆発的変化があったと説明するに違いない。
ところで、先のジェリー・ヤン氏の直筆サインというのは、それまであった雑誌にYahoo!の名前が冠せられて新装刊されたことを記念して行われたサイン会でもらったものだ。
実はそのサイン会は、秋葉原の「LAOX The COMPUTER」館の入り口前、つまり屋外で行われていたのである。私は編集部から動員されたわけではなく、自分のミーハー趣味でサインをもらいに行ったのだが、Yahoo!の創業者にそんなドサ回りのようなことをさせなくても、と思ったのを憶えている。そして当時は秋葉原でさえ、ヤン氏が何者かを知っていて足を止める人は、本当にわずかだったのだ。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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