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真摯な作り込みが感動を生む
2006年1月31日
この2箇月ほど、私は週に2回か、ともするとそれ以上のペースで秋葉原に足を運び続けている。このコラムでも以前(*1)触れた「秋葉原48劇場」という場所に通い詰めているためだ。ここは秋元康氏が総合プロデューサーとして「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、アイドルを育成する専用のステージだ。
前回紹介した際に述べたように、私はこのプロジェクトが「今の」ないしは「ここ1、2年の」秋葉原の空気を反映しているとは思っていない。ただ今の時点で、秋葉原を直接には知らない、もしくは「観光」に行く街として捉えている全国の人に向けてアイドルという存在をアピールする場合、借景として利用できるのはやはり秋葉原をおいてほかにないのだろう。それはラーメンを売り出す時に根拠なく北海道の名前を借りるのと同じことだ。
その点についてのこだわりを捨ててこのプロジェクトを見ると、秋元氏を初めとするプロモート側が、良質なコンテンツとしてのアイドルを作り出そうと真摯に取り組んでいることが分かる。実を言えば、私は最初に報道で知った時、グループもののアイドルを群像型の育成で送り出すというのは、あまりに手垢のつき過ぎた手法ではないか、と批判的に捉えていた。しかし、そんな思いは、一度ステージを見た瞬間に吹き飛んだ。劇場や楽曲、振り付け、衣装などあらゆる点で、きちんと金をかけ、一流の人たちが作り込んでいる。アイドル候補の女の子たちにも厳しい試練を課し、真剣な頑張りを引き出している。それらが一体となって、観る者に感動を与えるコンテンツとしての力が醸し出されているのだ。
そのAKB48のCD「桜の花びらたち」が、明日発売されるので、ぜひ聴いてみて欲しい。耳に残り、心に染み、口ずさみたく佳曲だ。アイドルというものに偏見がある人でさえ、これは良いと素直に思ってもらえると思う。世代を超えて愛され、卒業シーズンの定番として、長く歌い継がれる楽曲になるだろう。
*1 「それで秋葉原発と言われても」(2005年12月13日掲載)および
「変わりゆく街としての秋葉原」(2005年12月16日掲載)
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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