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消えてしまったWebページのこと
2005年12月9日
前にも書いたことがあるが、私は自分の関わった仕事については、できるだけ成果物を残しておきたいと思っている。したがって雑誌をなかなか捨てられず、どうしても捨てる場合は自分の記事の関わったページだけでも切り取って保存しておきたいくらいだ。
しかしWebページでの仕事が増えて、なかなかそうもいかなくなって来た。Webページの記事を1つ1つ保存するのが意外に手間がかかる。何かツールなどを使えば良いのだろうと思いつつ、あまり真剣に探してもいないせいで、これというものに出会えていない。
そんなわけでついつい、Webページの保存を疎かにしていたら、とうとうある仕事の記事が、手元に保存し損なったままサイトから消されてしまった。比較的大手のWebサイトでの仕事だったので、そうそうすぐ消えることはあるまいと思って高を括っていたのだ。
私にとってはまったく畑違いの仕事で、内容も大変だった。飲食店の店頭で、実際に飲食した後のお客さんにインタビューし、満足度を集計してまとめる、という仕事だったのだが、店頭でのデータ取りまでも各ライターがやらねばならなかったのだ。去年の晩秋、夜はやや寒くなる中、何時間も店の前で立ち続け、一部のお客さんからは虫を追い払うような仕草をされながら、自分は良い歳をして何をやっているのだろうと思ったものだった。
それだけに、理解ある店主の皆さんに優しくしていただいたことや、せっかく飲食した後の気分の良い時なのに、わざわざアンケートに答えてくれた人たちの親切は、私の身に沁みた。まだ私が立ち直り切れていない時だったが、少しずつ誰かの親切をもらいながら生きていけると思えた、大切な仕事になった。
そんな個人的な感傷とは無関係に、そのWebページはある日ざっくりとなくなっていた。その企画の更新が途絶えた時点で保存しておけば良かったのだが、時すでに遅し。何だかぽっかりと穴の開いたような気分になった。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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