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架空世界でのロールプレイ
2005年11月4日
良い歳をして、また変なモノにハマりかけている。「王立アフィリア魔法学院」という名の飲食店だ。内装や食器、従業員の制服、メニューの名称など、独自の物語設定に基づいて統一感を演出しており、コスチュームテーマカフェと位置づけられている。いきなり変なモノ呼ばわりは失礼だが、40歳近い独身男が「ここが好き」と公言するには勇気が要る場所という意味で、ご容赦願いたい。
数年前から秋葉原近辺を中心に、メイド喫茶やその亜流が人気を集めていることは、脇目で見ている程度に知っていた。が、私はいわゆる「萌え」という感覚は良く分からないので、自分が行くことはないだろうと思っていた。ただ、フェミニズム系の人は眉をひそめるだろうな、という気はしつつも、そういった「付加価値つきの飲食店舗」を楽しいと思う気持ちは、私も分からないわけではない。
一方で、かつてワンダーエッグという独自の物語を背景としたテーマパークに通い詰めたり、その流れで同じナムコが運営するナンジャタウンにもオープン当初からしばしば行ったりはしていた。その後、ナンジャタウンがフードテーマパーク化、つまり「背景に物語世界を持つ飲食施設」へと移行していった経緯を、個人的な関心を持って見ていた。
王立アフィリア魔法学院は席数40程度の小さな店舗だ。コンピュータゲームなどの音楽を手がける人がプロデュースしているそうだが、大手メーカーが噛んでいるわけではないようだ。オープンして1箇月ということもあり、率直に言って粗も見える。飲食物が特に素晴らしいわけでもないし、料金も安くない。
だがそれでも、既知の物語を擬似体験する場として店舗があるのでなく、客が飲食のために出入りする店舗を出発点として、物語のメディア展開を予定しているという点が、私にとっては非常に楽しく感じられるのだ。いわばリアルな空間でのロールプレイングだが、そのロールは既存のキャラクターではない。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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