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スキャンディスクが掘り起こす過去
2005年5月13日
もうほとんどの人は忘れてしまったかも知れないが、Windows95や98にはスキャンディスクというプログラムがあった。ディスクを検査して、ファイルシステムの不整合などがあった場合に修正してくれるものだ。エラーや停電、操作ミスなどでOSが異常終了した際に、再起動してこれを実行すると、たいてい1つや2つは破損したファイルが見つかる。
私は今もWindows98のマシンを原稿書きに使っているので、このスキャンディスクとは縁が切れない。破損したファイルの壊れている部分については、念のためにファイルに変換させて、テキストエディタで中身を見るようにしている。ほとんどの場合は単なる無駄な作業なのだが、たまにブラウザのキャッシュの破片などが見えることがある。
先日もそうやって切り出された破損したファイルの残骸を見ていたら、思わぬものに胸を突かれた。もう7年も前に私が、その頃極めて身近にいた人と交わしたメールの切れ端だった。その数年後、それぞれの生きる道が別々のものになっていくことに心引き裂かれる思いをした時に、だからと言って過去のメールまで遡って削除する気にもなれず、ハードディスクの手を触れない片隅に、ひっそりと残しておいたはずのものだった。
確認のために元のメールデータを数年ぶりに見たが、そちらは破損していなかった。つまり当時のキャッシュデータが、削除された後もたまたま別のデータによって上書きされずに残っていたものらしい。ハードディスクは何度か換えているものの、そのたびに内容を引き写して来たので、何かの偶然が重なって残っていたのだろう。DOSとWindows 3.1の併用期から10年も使い続けているマシンには、いろいろな過去の名残が堆積している。
それにしても、なぜそんなものが今さら、突然目の前に現れたのだろう。何か虫の知らせといったものでなければ良いが、と思いつつ、今となってはその人の行方すら知らない。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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