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■ 絶妙なツンデレがゲームを面白くする

 たとえば、RPGで考えてみましょう。

 姫様を助けにいく、という大きな目的が与えられた後、次々と、そのためのスモールステップとなる目的が与えられたとします。姫様を救うためには7つの宝石が必要だ。1つ目の宝石を手に入れるためには洞窟へ行け。洞窟は真っ暗だからたいまつが必要だ。たいまつが欲しければ手紙を届けてこい。うんぬん。

 「ストーリィテリング」が、ただの目的の明示だけに成り下がって、プレイヤーに「目的を与えられている」と感じさせると、いわゆる「おつかいゲー」と呼ばれるものになります。

 ゲームにプラスαされた楽しさであるはずの「ストーリィテリング」が、ただプレイヤを引きずり回すだけの道具になってしまうと、とても退屈です。

 あっちでコレもらってこい。コレほしいなら、あっちでソレ取ってこい。ソレはドラゴンが持ってるから倒してこい。ドラゴン倒すにはアレがいる。と、次々に単純なおつかいを依頼させられて、プレイヤーは、自分がプレイしているのではなく、やらされている気持ちになってきます。

 そしてプレイは作業になり、退屈になっていきます。

 これは、制作者に面白い「ストーリィテリング」を構築する能力がないために、ゲームに楽しさをプラスαできなかった例です。

 そして、やっかいなことに、能力のない制作者は「ストーリィテリング」をつけたから面白くなってると勘違いして、もともとゲームがもっていたインタラクションやジレンマの面白さすら損なったものを作ります。

 明確な目的を提示する場合も、プレイヤーに受け入れられるように提示しなければなりません。そうすることではじめてジレンマは際立ってくるのです。

 面白い「ストーリィテリング」をプラスαしないのならば、もっとシンプルな目的にして、システムで楽しむRPGにすれば良いのです。たとえばダンジョンの最下層に向かう、という目的が最初に明示されて、ほとんど「ストーリィテリング」がないけれども、とても面白いRPGはいくらでも存在します。

 どちらのタイプをデザインするにしても、ゲームデザイナーは、プレイヤーが「自分からプレイしている」と思えるようにデザインする必要があります。

 異性のタイプでいうと、デレデレとしてくるタイプは「おつかいゲー」タイプで、ツンツンしているタイプが「何をすればいいのかわからないゲーム」タイプです。

 一般的に面白いゲームは、ツンツンとデレデレのバランス/タイミングが絶妙です。

 どのように絶妙な具合で、ツンデレさせるか。目的のバランス軸のひとつは、そこにあります。



■ おぎわら版「草原さん」

 えーと、今回のFlashGameは、「草原さん」です。

 っても、本文で妄想したようなゲームを作るのはたいへんなので、「草原を走り回る」というモチーフで、荻原さんに自由にゲームを作ってもらいました。こちらも、なかなか、奇妙なゲームになっております。遊んでください!


草原さん


■ ゲーム説明

 ゲームがはじまると、草原さんが隠れます。

 隠れている草原さんの口のあたりに動物が来たら、食べるボタンを押す。

 食べ損なうとミス。3回ミスでゲームオーバー。

 動物を食べ続けると草原さんは大きくなりますが、黒いトゲトゲを食べると元の大きさにもどってしまいます。




米光一成(よねみつ・かずなり)
1964年生まれ。広島県出身。コンパイル、スティングを経てフリーランス。
「ぷよぷよ」「トレジャーハンターG」「バロック」「キングオブワンズ」などを企画監督脚本。ゲームデザイナー、ライター、講師として幅広く活動中。『日本文学ふいんき語り』(麻野一哉・飯田和敏・米光一成/双葉社)と『デジタルの夢でメシを食うためにボクらは!』(米光一成編著/マイクロマガジン社)が好評発売中。
「こどものもうそう」ブログを更新中。

荻原貴明(おぎわら・たかあき)
1976年生まれ。群馬県出身。(株)デジタルビイムを経て2004年9月に独立し、フリーランスとして活動開始。
現在は、Niftyが運営する「デイリーポータルZ」「Game@Nifty」にてFlashゲームを制作。
主にFlashを使ったサイト制作、ゲーム制作を中心に活動中。

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