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そして、それらを支える「ルール」
最後にルールについて考えてみよう。
インタラクティブとジレンマを支えるのが、ルールだ。
インタラクティブとジレンマを生み出してゲームを成立させようとしたときに必然的に生じてしまうのがルールとも言えるだろう。
ここでも、現時点でのぼくの考えで、ルールを定義してみる。
ルール:インタラクションするときにプレイヤー側とゲーム側が共通して持つ規則
ただし、コンピュータゲームのルールには大きな特異性がある。
「すべてのルールが最初に提示されなくてもよい」
のだ。
たとえば、こんなアクションゲームがある。
最初の面では、プレイヤーが右キーを押せば、押した間だけ、右に移動していた。キーを放せばすぐに止まる。
ところが、ある面では、そのルールが変わる。
ステージは、氷のステージだ。床も氷でできている。
右キーを放しても、キャラクターはすぐには止まらない。
つるつるとすべって、しばらく右へ進んでしまう。
「右キーを押している間だけ、右に移動する」というルールが、「右キー放しても、しばらく右へ進んで、ちょっとしてから止まる」というルールに変わっている。
これは、最初から示されているルールではない。
実際に、氷の上で移動してみて、プレイヤーは始めて、このルールを知ることになる。
これは、他のゲームでは、あまり考えられないことだ。
たとえば、トランプゲームを考えてみよう。
「ババ抜き」というゲームをプレイするときには、そのルールを全員が最初からすべて知っているという前提で始める。
知らない人がいたら、教えてあげてから、ゲームを始める。
たとえば「3は2枚組ではなく3枚組でないと捨てることができない」という新ルールがあるとしても、ゲームを始める前に全員がそれを知っていなければ、ゲームとして成立しない。
プレイしている途中で、自分だけがこの新ルールを導入していて、3を3枚組で捨てれば、「おいおい、何やってんの!」と怒られるだろう。
「3は3枚組で捨てられるんだよ」と新ルールを主張しても受け入れられないだろう。次のゲームから導入するのならいいけど、ということは可能であっても。
ゲームは、最初に全ルールが明示されているのが普通だ。
ところが、コンピュータゲームは、そうではない。
ルールを推測する楽しさをゲームの楽しさとすることができる。
ゲーム制作で気をつけるべきポイントその10
ルールを推測する楽しさをプレイヤーに与えるようにデザインせよ。
氷の床を見て、「すべるんだな?」と推測する楽しさ。
案の定、すべる床で、ツルツルとすべる中、うまく操作して通り抜けたときの喜び。
新しい操作感覚(ルール)のもとで、新しいジレンマを乗り越えていく楽しみ。
そういった新しい楽しさを次々とプレイヤーに提供するためにも、新しく加えられるルールがプレイヤーをもてなすためのルールになっているべきなのだ。
ルール部分を考えると、プレイヤー側とゲーム側は、フェアな場に立てていない。
そのことを勘違いして調子にのるゲームデザイナーは、つまらないゲームを作る。
ゲームデザイナーが、ルールを作り、そのルールの外へは(基本的に)プレイヤーは出ることができない。
だからといって、ゲームデザイナーが、独りよがりにルールを創造してしまえば、プレイヤーは遊ばない。
ルールにおいて、ゲーム側は神だが、人間に拒否される権限を持つ神でしかない。
わがままな神の作りし世界は、プレイヤーに拒否されるのだ。
(テラヤマアニさんは、
「クソゲー論 神の不在とクソゲー」
で、この状態を、神の不在と呼ぶ)
ゲームデザイナーは、プレイヤーに受け入れられる世界を創造しなければいけない。
ゲームデザイナーは、プレイヤーを厚くもてなす神でしかないのだ。
■EGG MAN2
(画面内の「START」をクリックしてゲームを開始してください)
米光一成(よねみつ・かずなり)
1964年生まれ。広島県出身。コンパイル、スティングを経てフリーランス。
「ぷよぷよ」「トレジャーハンターG」「バロック」「キングオブワンズ」などを企画監督脚本。ゲームデザイナー、ライター、講師として幅広く活動中。『日本文学ふいんき語り』(麻野一哉・飯田和敏・米光一成/双葉社)と『デジタルの夢でメシを食うためにボクらは!』(米光一成編著/マイクロマガジン社)が好評発売中。
「こどものもうそう」
ブログを更新中。
荻原貴明(おぎわら・たかあき)
1976年生まれ。群馬県出身。(株)デジタルビイムを経て2004年9月に独立し、フリーランスとして活動開始。
現在は、Niftyが運営する「デイリーポータルZ」「Game@Nifty」にてFlashゲームを制作。
主にFlashを使ったサイト制作、ゲーム制作を中心に活動中。
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