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米光一成&荻原貴明「ゲームデザイン研究所」
第3回:ジレンマ突破の楽しさって何?
2006年5月12日
2つの「ゲームの楽しさ」
ゲームに最低限必要な3つの要素
1 ルール:ルールが明瞭である
2 インタラクティブ:プレイヤーの操作・行動によって変化する
3 ジレンマ:目的のための駆け引きが重要である
その頭文字をとって「ルイージ主義」と呼ぶ(詳しくは
第一回目
で)。
この「ルイージ主義」を、「ゲームの楽しさ」という軸で考えてみよう。
ゲームの楽しさは、大きくわけて2つある。
1つは、操作する楽しさ。
インタラクティブから生まれる楽しさ
だ。
「カンフーマスター」では、矢印キーでプレイヤーキャラクターが左右に動き、上キーでキック、スペースや下キーでパンチの攻撃をすることがインタラクティブな楽しさにつながっている。
この部分については、また項を改めて考えてみることにする。
■カンフーマスター
もう1つは、困難を乗り越える楽しさ。
ジレンマを突破することから生まれる楽しさ
だ。
「カンフーマスター」では、プレイヤーが適確な距離で敵を攻撃し、敵を倒して得点を得ることは、ジレンマ突破の楽しさにつながっているだろう。
そして、この2つの楽しさ(「インタラクティブの楽しさ」と「ジレンマ突破の楽しさ」)を生み出す土台となるのがルールだと言えよう。
■ルイージ主義
つまり「ルイージ主義」の3要素は、楽しさを軸にすると、インタラクティブとジレンマの2つを、ルールという土台で実現することだと考えられる。
さて、今回は、「ジレンマ突破の楽しさ」について考えてみよう。
ジレンマ突破の楽しさとは
「ジレンマ」を辞書を引くと、「自分の思い通りにしたい二つの事柄のうち、一方を思い通りにすると他の一方が必然的に不都合な結果になるという苦しい立場。板ばさみ」(三省堂「大辞林 第二版」)とある。
dilemmaのdiは「2つ」を意味し、lemmaは「仮説」「前提」を意味する。
複数の仮説・前提が、目の前にあり、われわれは悩んで、どれかひとつを実行する。
「不確実なこと、やってみなければわからないこと」が目の前にあるために、プレイヤーは緊張する。
「不確実なこと、やってみなければわからないこと」を、どのようにすれば突破できるのか? それを発見すると、プレイヤーは、そのゲームにチャレンジしたくなる。
ゲーム制作で気をつけるべきポイントその3。
チャレンジするように挑発するデザイン:プレイヤーが置かれた不安定な状態を突破する道筋を発見し、チャレンジしたくなるようにデザインすること。
ゲームが、プレイヤーを挑発するのだ。「できるか?」と。
もちろん、うまく挑発しなければ、プレイヤーはのってくれない。
ぜんぜん成功しそうにないチャレンジは、やりたくない。どうチャレンジしていいのか想像のつかないものも、やりたくない。
逆に、やれば必ず成功してしまうようなチャレンジでは、すぐに退屈してしまう。それはすぐにチャレンジでなくなり、作業になってしまう。
常にプレイヤーが、「よし成功してやるぞ」と心地よい緊張をおぼえる挑発を試みなければいけないのだ。
ゲーム制作で気をつけるべきポイントその4。
緊張をともなうチャレンジ:「よし成功してやるぞ」と心地よい緊張を生み出す挑発を試みて、プレイヤーをチャレンジしたくなる状態にすることがゲームデザインの大切な要素だ。
そして、次に大切なのは、チャレンジの結果(たとえば成功/失敗)を明確に示すこと。
成功した場合は成功したことが喜びとなるように伝え、失敗した場合はどこが失敗したのかを明確にして再度チャレンジしたくなるように伝えることが大切だ。
ゲーム制作で気をつけるべきポイントその5。
チャレンジの結果の明示:プレイヤーのチャレンジした結果を明確に伝えること。
現実世界は、あまりにも複雑な要因が絡まり合っている。何をどうチャレンジすれば、良い結果が導き出されるのか解らないような状態も多々ある。ジレンマと呼ぶには、あまりにも不確定要素が大きすぎる。さらに、それを突破するための行動も、自分の責任だけですぐに実行できないような境遇に陥ることもある。
不安定な状態なのに、何もできない。ストレスがたまる。
ゲームで、そのような曖昧で嫌な状態になってしまうと、もちろん楽しくない。ゲームではなく作業になってしまう。
ゲームが、「できるか?」と心地よい緊張をともなうチャレンジをプレイヤーに投げかける。挑発を受けて、プレイヤーがすぐにチャレンジする。結果が示される。成功すればジレンマ突破の楽しみが味わえる。失敗すればジレンマ突破のためのヒントがつかめてチャレンジする意欲が高まる。
この「緊張」と「緊張からの解放」の繰り返しが、「ジレンマ突破の楽しさ」の基本だ。
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