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Slash Games編「直撃!ゲーム最前線」
ガンホー森下社長インタビュー 「2007年、あの新作は?不正への対策は?」
2007年2月1日
北斗の拳ONLINEやラグナロクオンラインII獲得など、さまざまな話題で2006年も注目を集めたガンホー・オンライン・エンターテイメント。しかし同社の2006年は、ラグナロクオンラインのゲームマスターが不正にゲーム内にZenyを作り出していたことが明らかになるなど、問題にも直面した。
2007年の方向性について、代表取締役社長の森下一喜氏にお話を聞いた。
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ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏
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Q:まず、気になる新規タイトルについてお聞きします。大きく分けて2つ、海外からのライセンスものと国産の自社開発ものがありますが、まず国産系の方の開発状況はいかがでしょうか。
森下氏:「北斗の拳ONLINE」と「グランディアオンライン」ですね。
「北斗の拳ONLINE」は2006年末にリリースを予定していたんですが、売りとなる戦闘の部分など、もう少しクオリティアップを図った方がいいんではないかということになり、開発の方と協議した上でリリース予定を2007年の第2四半期に変更しました。
「グランディアオンライン」に関しては、最初はゲームアーツ社内で開発をしていたんですが、開発をガンホーに全て移行しました。ゲームアーツからの転籍スタッフも含めて、今は完全に社内で開発をしています。
企画コンセプトは変わらないんですが、グラフィックに関するコンセプトを調整しています。かなり大作的な作り込みをしてきたところがあったのですが、現行マーケットのスペック標準にあわせてクライアントのグラフィック部分に関して大幅に開発方針を変更しました。サーバやシステムなどそういったところはもう組み上がっています。我々としては理想的なものに仕上がってきている手応えがあり、「北斗の拳ONLINE」の後にリリースできる予定です。我々としてもかなり力を入れている作品で、グランディアの良いところを継承しつつ、「グランディアオンライン」としての新しさも、かなり追求できている内容になってきています。ユーザさん自身が自分自身をその世界の中でどう自己表現するかというところでも、これまでにない、内面的な部分での自己表現というのをいろいろできるように工夫しています。
Q:一方で、ライセンス系では「ラグナロクオンラインII」が韓国で立ち上がってきていますが、日本ではいかがでしょう?
森下氏:我々としては、“ラグナロク”というブランドを息の長いブランドとして今後も伸ばしていきたいと思っています。「ラグナロクオンラインII」については、現在のラグナロクオンラインユーザも当然ターゲットと考えています。グラフィックはだいぶ進化した形ですが、世界観は似ていますから。ただ我々としては、それだけではなくて、今後もいろんなイベントやメディアミックスを企画していきますので、「ラグナロクオンライン」、「ラグナロクオンラインII」とも、新しいファンをどんどん増やしていきたいなと思っています。
Q:メディアミックスというお話がありましたけど、アニメの後、「ラグナロクオンライン」に関しては静かだった感じなのですが、今年はどうでしょう?
森下氏:そうですね、企画自体は決定しているものも含めて、いくつかあります。メディアミックスだけではなくて、「ラグナロクオンライン」としては初の試みのものも含め、いろいろ計画中です。
Q:いろいろな試みが既にされている中で、それでもまだ新しいことを?
森下氏:そうですね、僕らは新しいもの好きというところがあって、新しいもの新しいものにどんどん挑戦して、新たなものを創造していきたい。
2006年度というのは、我々にとってはいろんな仕込みの時期だったのかなと思っているんです。新タイトルの正式サービスはなかったのですが、既存タイトルに集中していた時期であったと。ガンホーグループ戦略としてナンバーワンのゲームメディアを作っていこうという目的があるので、PCのオンラインゲームだけではなく、家庭用ゲーム機、モバイルゲーム、までを視野に入れた“仕込み”の年でした。もうガンホーっていうのはグループとしてみた時に、オンラインゲーム会社ではなくなっているんですよね。
実際、いろんな会議の中でも、オンラインゲームの話題だけではなく、モバイルゲームの話だったり、家庭用ゲーム機の話だったり、いろいろな展開を話し合っています。1つにこだわることは全くしていないんです。
コンテンツのブランドというところでいえば、いろんなメディアミックス、プラットフォームを含めて、相互のシナジーを生かしながらブランドをどんどんこう作っていこうとしています。「ラグナロクオンライン」もそうですし、「グランディアオンライン」、「エミル・クロニクル・オンライン」(以下、ECO)などもそう。我々はグループのシナジーを最大限に活かして行ける、そういう展開を目指していきたい。
Q:シナジーということで、ガンホー・モードであるとか、EC(電子商取引)プラットフォームとしてのオンラインゲームの可能性が非常に面白そうだと思うんですが、携帯との連動や連携について、今までのところ「え?これで携帯連動?」という感じで、ちょっと弱いかなっていう部分があったと思うんですけれど。
森下氏:携帯の連動サービスについては、スペック的な限界もあり、我々はフェイズごとにマイルストーンを設定しています。
まずは、普段はPCで遊ぶけれど移動中などちょっとした時間にコンテンツに触れてもらって、メディア価値を高めていく。連動という点では携帯ゲームを遊んでいただいたユーザさんに携帯ゲーム内で、PCゲーム内アイテムのプレゼントコード番号を発行し、それをPCで入力すると、アイテムが手に入るというようなことからスタートしていこうと。
夢を言えば、携帯電話でPCと同じように自分のキャラクターを操作できれば楽しいでしょう。確かに理想的ではあるかもしれないけれども、やっぱりそれは将来の話、テクノロジーの進化を待たないといけない。
まず今はできることをする。できないことをやれって言ってもしょうがない。ただ、携帯ゲームやって面白かったね、「ECO」の携帯ゲーム面白かったねっていうだけじゃなく、ロイヤリティを見いだせるようにするというのが今できる限度かなと思っています。
Q:なるほど。ECに関しては、今度どういう形で?
森下氏:Eコマースと、そこに連動するゲーム内広告は非常に大きな可能性を持っていると思うんです。
ただ1点、我々の中で一番慎重になるポイントは、ゲームには世界観があって、ファンタジーの世界の中であるとか、「北斗の拳ONLINE」でいえば世紀末の世界観であるとか。セカンドライフ的な仮想現実空間とはまた別の世界観をしっかり持った中で、どのように世界観を崩さず、またユーザさんにも嫌悪感を感じさせずに馴染んでもらえるか。いきなりドーンとスタートするんじゃなくて、テスト的に、ユーザさんの反応などを見ながら、徐々にやっていくのが一番いいんじゃないかなと思っています。そういう意味では、ユーザさんから見た時に、その世界観の中のものが一番反応しやすいのかなと思っています。
Q:ゲーム内広告の難しい部分として、ゲームをプレイしに来ている人は、ゲームの要素に集中してしまう部分がどうしてもある気がします。広告を出す側から、懸念などは出ていますか? 期待の方が大きいのでしょうか。
森下氏:今までのところは、ピザやお菓子など企業タイアップ絡みだったのですが、ユーザさんにとって、その情報が何らかの形でゲームと密接しているのであれば、あまり嫌悪感は生じないのかなと。ただ、全く関係のないものが出てくると、ユーザさんにとってはどうなのかなっていうところもある。
いわゆるオンラインゲーム内広告においては、2通りのパターンがあると思うんですね。1つはカジュアルゲームというところ。可能性が充分あり、我々としては一番やりやすいと思うんですね。カーレースは現実に看板が普通に出てますし、リアルなスポーツゲームであれば●●カップ、●●杯などもできるでしょう。
やりやすいのは、ユーザさんがそれに対して別に違和感を感じない部分ですね。例えばプロ野球とか球場に看板が出てるじゃないですか。皆、野球を見に来ている、看板を見に来ているわけじゃない。でも、じゃあなぜその部分が売れるのかというと、テレビに露出されるからですよ。いや、テレビで見てる人も野球を見てるんですよ。でも、そういうふうな広告は当然あると思うし、違和感を感じないものとして提供できるものであれば可能性は十分あるんじゃないかと。
RPGみたいな、世界観にどっぷり入り込むゲームの方が難しい。我々としては、そこは苦心するポイントかなと思っています。だから今は、カジュアルゲームからスタートしていって、RPGの方も徐々にいろいろと試していきたいと思っています。
Q:でも「ポリンまん」のお話とかを聞くと、オンラインRPGプレイヤーさんのロイヤリティの高さというのを実感します。サンクスでも瞬間最大風速で売り上げ1位だったと聞いているんですけれども。
森下氏:そうですね。「ポリンまん」は当然プロモーションではありましたが同時に流通サイドや小売サイドに対してなかなか説明が難しいオンラインゲームというものが、そういう記録を実際に目の当たりにしてもらうことで、マーケットの存在に気づいてもらえるいいデータにもなりました。ガンホーがどうこうではなくて、オンラインゲーム市場に対するいろいろなコラボレーションの可能性がどんどん広がっていくわけです。我々は2002年からスタートしてきましたけども、ただ単に「ラグナロクオンライン」を売ってきただけではなく、オンラインゲーム市場も同時に開拓してきたと思っているんですよ。
Q:オンラインゲームの市場に関しては、まだ当面、拡大ができるような感じですか?
森下氏:そう、開拓余地はまだまだいっぱいあると思う。特に次世代機が発売されたことで、オンラインゲームの可能性がより広がっていくんじゃないかなと思っています。
僕が最初に独立して創業したのは2000年で、当時はまだダイヤルアップの世界で、ISDNがようやく定額サービスを始めた頃ですが、アメリカからロビーサーバとマッチングのシステムをもってきて、それを家庭用ゲーム向けのSDKにして提供するシステムをスタートしたんです。当時はドリームキャストしかなかったですが、今度の次世代機でようやく3ハードが揃ってオンラインに対応する状況になった。PS2も対応していなかったわけじゃないけど、外付けユニットが必要だとかハードルが高かった。これから次世代ゲーム機では、オンラインという機能が付くことで新たな遊びを提供していくことが、オンラインゲーム市場にとっては非常に追い風になっていくだろうと考えています。ようやくそういう時代になってきたのかなと、個人的には非常に感慨深いですね。
Q:そういった時代に、オンラインゲームが広く受け入れられていく中で問題になるのがセキュリティや不正についての問題だと思います。特に御社は去年、「ラグナロクオンライン」のZeny作出のため不正アクセス禁止法違反で(元)GMが逮捕されました。データ上の数字を書き換えればRMTで現金が手に入るという状況がある限りは、「また起きるんじゃないの?」という懸念が拭い切れないかと思います。システム的にこうしました、ルールでこう決めています、ではない部分で実効性を上げるためにどのような対策を取っているのでしょうか?
森下氏:一番のポイントは、彼がなぜそれに及んだのかということの分析で、なぜそれが可能だったのかということも含めて、原因をきちっと究明していく必要があった。おそらくどこの企業も皆そうだと思うんですが、我々も、社員に対してお前は泥棒だみたいに疑ってかかっているわけではないんですね。彼の個人的な背景、ギャンブルが好きとか、生活が苦しいとか、そういう個々の状況まではさすがに会社として把握するのは難しい。しかし、不正なことをしようと思ってしまうこと、それから、不正が実際にできてしまうことを抜本的に見直しました。不正をしようと思わせない環境づくりというのが、極めて重要なポイントかなと思っています。
当然、システムやセキュリティ、組織面や物理的な対策も仕組みとしては必要です。さらにそれだけじゃなくて、社員自身がそういう気を起こさないような職場環境にしてあげることも必要と考えて、例えば社内で一斉席替えを実行して、今までは島型の机配置にしていたところを、完全に1列にして全部後ろから(PCの)作業画面が見えるようにしました。島になっていると、向き合っている同士は画面が見えないし、背中が壁なら死角になりますから、それがないように。誰が何をしてるか、画面で何をしているかが見えることで、1人1人がそういうことを起こさない環境を作っていくわけです。
社員も皆、やっぱり嫌な思いをしたと思うんですね。まさか自分達の一緒の同僚の人間がそんなことをしていたとは思わなかった。だから、そういうことを皆で起こさない気になろう、1人1人が牽制してそういうふうにならないようにしようという、意識付けをしていくために、あえてそういう席順にしたんです。見た感じ、異様な感じですよ。
Q:学校の教室の一番後ろに上長が座っているという感じですね?
森下氏:そうそう。後ろから上長が把握して見ている。さらに、それを監査する機能として、別の部門がゲーム内データに関する作業を正しく行っているか、行動ログをすべてチェックして不審な動きがないか確認しています。そういう部分をきちっと体制化して、ルール化して、運用していく。
また、全社員向けにコンプライアンスの講習も続けています。さらにセキュリティルームを作り、通常のセキュリティカードに加えて指紋認証を入れたりもしました。
それともう1つはやはり教育すね。人のものを取ってはいけませんとか、人を騙してはいけませんとか。人間として、社会人としてガンホーの中だけではなくてもそのスタッフにとって一生必要なモラルについても教育をしています。
昨年度というのは、我々がこれからさらに成長していくためには企業として非常に重要な年だったと思います。その時期というのを負の年とするのではなく、飛躍のためのバネになる年だったというふうにしたいなと思っています。
今年もいろいろと面白いみんながびっくりするようなことをどんどんチャレンジしていきたいです。やんちゃな子供からやんちゃな大人へ飛躍していきたいです。
Q:なるほど、ありがとうございました。2007年もご活躍を期待します。
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