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■ 杉山淳一:自らも参加するEスポーツジャーナリスト

1.個人的に今年一番のゲーム関連ニュースは何ですか?

 「アジア大会にEスポーツ採用」

 今年は「ゲームはスポーツなのか」、「Eスポーツとは何なのか」、ということをじっくり考え、一応の結論が導き出せたことが嬉しかった。日本人自体が“スポーツ”を勘違いしており、海外の文化とのギャップを産んでいるということも発見できました。『スポーツとは何か』という本に出会えて良かった。著者の玉木正之氏にも感謝です。

 そして年末に、アジア・オリンピック評議会(OCA)が第2回アジア室内大会用のスポーツ種目としてEスポーツを採用したというニュースがありました。Eスポーツという文化を追っている身としては、Eスポーツとオリンピックの橋渡しが叶った記念すべきニュースです。Eスポーツに関心を持つ人が増えただろうな、Eスポーツで検索する人も多かっただろうなと思います。『Eスポーツとは何か』をその騒ぎの前に書けてよかった。

 「MOD、MOD的手法がゲーム業界に認知された」

 ゲームユーザが制作したMOD「カウンターストライク」のヒットにより、欧米ではゲームエンジン+MODというゲーム制作手法が認知されていましたが、日本ではすべてイチから開発するものという認識でした。しかし、今年のAOGCや東京ゲームショウの基調講演でMOD的手法について語られました。日本のゲーム業界でMODが認知され、今後、海外の優れたゲームエンジンと日本のグラフィックやストーリーが組み合わされて、面白いゲームがたくさん出てきそうな気がします。日本のゲーム業界にMODを認知させた功績として、IGDA日本の新清士氏を今年のゲーム業界MVPに挙げたいですね。

 経済産業省『ゲーム産業戦略』を発表

 経済産業省とCESAと東大のコラボレーションで、ゲームを日本の国家戦略産業として盛り上げていきましょう、という方針が決定されました。これ自体は良いニュースです。しかし、発表された内容には流通やユーザーについてなにも記述されていませんでした。

 ショップ、ユーザーやコミュニティも含めて、ゲームの販売に関することは産官学の"産"が担当します、ということでしょうか。ゲーム産業にもっとも大切な要素は、ゲームに金を出し、ゲームを楽しむ人々です。国がゲーム産業を重く受け止めてくれたのは嬉しいですが、ユーザー不在の議論が始まるようで不安でもありました。

2.個人的にオンラインゲーム関連ニュースで最も悪いニュースだと感じたニュースは何ですか?

 MMORPGの不祥事相次ぐ、RMT加熱

 オンラインゲームサービス会社の元社員がゲーム内の仮想通貨を偽造してRMTで利益を得ていた事件をはじめ、加熱するRMTが引き起こした海外からの不正アクセス、ユーザの個人データ流出などの不祥事が相次ぎました。これらは一般メディアでも大きく報じられました。MMORPGの人口が増えて、社会的認知度が上がっています。しかし、ゲームを運営する会社やスタッフの中には、その重大さ、影響力の大きさを過小に評価している人もいるようです。

 ゲームを作る人、運営する人は、ゲームユーザを大切にしてください。「当社のゲームのユーザは……」、「ユーザのみなさまへ」なんて表記をする会社はダメだなあ、と思います。お客様、と表記してください。コンプライアンス制度を確立してください。大人から子供まで、安心して遊べる場所を作るよう配慮してください。

 RMTは僕は反対です。反対しても終わらせられるものではないんですが。ゲームというのは、同じゲームを遊んでいるもの同士、社会的地位や財産の有無を忘れて、平等に楽しめるべきだと思うんです。MMORPGの世界に浸るためには現実を忘れたい。だから現実のカネを連想させる仕組みはゲームをつまらなくすると思います。

 現実の金を払うと魔法が使えるのか、というと、そういう楽しみは現実の世界にはないんですけどね。現実のカネが必要なゲームをやるくらいなら、現実の世界で金を稼ぎ、現実の世界の学校でスキルを身につけ、現実の世界で社会的地位を高めたり、友達を増やしたり、恋人と出会う方が楽しい。現実の世界のほうが楽しいってことに気付いたとき、MMORPGで遊ぶ人はいなくなると思います。だから現実と直結させる要素“リアルマネー”は排除した方がいい。

3.2007年に向けて注目しているゲームタイトルを3つあげてください

  1. StarCraft 2(開発中の噂)
  2. Sid Meyer’s Railroads 日本語版
  3. Level-R(開発中)
 『StarCraft』はSF仕立てのRTS。世界で大ヒットし、特に韓国で人気が白熱して国技と言われるほどです。日本でも発売されましたが、英語版のためマニアにしか受け入れられず、ブロードバンド黎明期だったこともあって人気が今ひとつでした。しかし、今は日本も対戦環境が整っています。日本のRTSとしては、中世が舞台のAoEシリーズより、SFのStarCraft2の方が流行りそう。韓国での人気は間違いなく、韓国は日本とタイムゾーンが一緒ですから、オンラインの遊び相手にも困らないでしょう。

 『Sid Meyer’s Railroads』は鉄道会社経営ゲーム。Sid Meyer氏はかつて、レイルロードタイクーンという鉄道経営ゲームを作っていました。タイトルはPOPTOPが継承し『レイルロードタイクーン2』、『レイルロードタイクーン3』が発売されました。しかし、今度はSid Meyer本人が鉄道会社経営ゲームに復帰しています。前作同様オンライン対戦も可能です。英語版が発売中で、日本語版は来年にサイバーフロントさんから出る予定です。日本人は鉄道好きが多いので、対戦で盛り上がりたい。

 『Level-R』はオンライン対戦専用のカーレースゲームです。3日間の技術テストに参加させてもらいましたが、ドリフト走行が面白い。コースのバリエーションも豊富だし、クルマをチューンする仕掛けもいい。僕は以前、ラリー仕様のクルマとFRクーペに乗っていて、かなり公道を走り込みました。今はRVでまったりなカーライフですが、このゲームで昔の感覚を思い出しました。正式サービスに参加するつもりです。

4.Windows Vistaが発売されますが、Windows Vistaに期待することはありますか?

 Shoot It! にも書きましたが、Windows VistaはOSとして始めてDirectXが必要スペックに加わりました。Windows Vistaを搭載するPCはDirectXに対応しているわけです。したがって、ストア販売PCのグラフィックスペックが引き上げられることになりそうです。今までは国産メーカーのPCはグラフィック性能が貧弱で、高画質なPCゲームで遊ぶためには自作やBTOのPCを使う必要があった。実はこれがPCゲーム停滞の大きな要因だったと思います。Windows Vistaのおかげで、国産有名メーカーのPCで高画質なPCゲームが楽しめるようになりますね。

 しかし、手放しでは喜べません。ネットサーフィンやメール、ワープロ、デジカメ写真の整理などの用途ではWindowsXPで十分なわけで、しばらくはWindows Vista搭載PCへの買い換えは進まないんじゃないかと思います。

 いつものことながら互換性も不安要素です。Windows Vistaは32ビット版と64ビット版が用意されるけれど、現在のゲームは64ビット版Windowsをサポート対象外とするタイトルが多い。64ビットCPUを搭載したPCが64ビット版のWindows Vistaを搭載していた場合は、不具合が出るゲームもありそうです。

 Windows Vistaは間違いなくPCゲームに寄与するOSです。しかし、ゲームメーカーのパッチが必要なケースもありそうで、「Windows VistaならゲームもOK」と言えるようになるには、かなり時間がかかるだろうと思います。

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