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Slash Games編「直撃!ゲーム最前線」

年々レベルアップする手作りバーチャルリアリティ
IVRC本大会レポート!

小野憲史
2006年11月13日


会場となった岐阜県各務原市のVRテクノプラザ

 天高く馬肥ゆるIVRCの秋、というわけで今年も岐阜県各務原市のVRテクノセンターにやってきた。国際学生対抗バーチャルリアリティコンテンスト、通称「IVRC」の本大会を取材するためだ。

 IVRCは今年で14回目を迎える、学生向けのバーチャルリアリティ(=VR)作品のコンテストだ。東京の予選大会で勝ち抜いた4チームと、フランスLaval Virtualで選抜された2作品から、世界一の作品が決定される。総合優勝した作品は、副賞としてCG技術の国際学会として世界的に有名な、米シーグラフのエマージングテクノロジ部門に渡航サポートが受けられる。

 ゲーム業界的にも任天堂の新型コンソール「Wii」や、PS3の6軸検知コントローラ、EyeToyカメラなど、ここにきて急速にVR技術への関心が高まっている。こうした技術を使いこなして、優れたエンタテインメント作品を開発するには、従来とは異なる発想やセンスが必要だ。ゲーム業界に向けた、人材供給の苗床としても機能しているのである。

 岐阜本大会の見所は、東京予選の学生ならではの「はっちゃけた」アイディアの楽しさに比べて、作品がブラッシュアップされ、いっそう完成度が高まっている点だ。中には東京予選と、コンセプトは同じでもまったく異なる作品に改良される例もあり、目が離せない。そのどれもが学生の手作り感覚で作られている点が、筋書きのないドラマを生んでいるのだ。それではさっそく作品を紹介していこう。

■団体部門作品

●まじかるSPLASH

 東京予選1位通過作品。7本の円筒に向かってバトンを振ると、円筒の中に水柱が立ち上り、サウンドが流れる。「水柱に色をつける」「音が変わる」という東京予選での課題にみごと答え、バトンの動かし方で色が変わったり、風鈴のような音が流れるようになった。色は噴出孔の周りに8個のLEDを設置し、赤・青・緑の光の変化で実現させている。サウンド面ではサウンドシーケンサを自作し、バトンの動きにあわせて自動生成されるようにした。当初はオーケストラの音色をイメージしていたが、うまくいかず、最終的にピアノのイメージで音色が落ち着いた。バトンと水柱の動きの同期が完全には実現できなかったが、これがかえってアナログなよさを出している。

●ビュー・ビュー・View

 スクリーンに向かって息を吹きかけると、画面上に並べられた立方体が飛び散る作品。スクリーン上の壁に空けられた穴にうまく入れると、得点が加算されたり、スクリーンの向こう側から風が吹き出してきたりする。東京予選に比べて息を感知するセンサーの感度が15倍にも向上し、PCとの通信速度も4倍に向上。その結果、東京予選では息切れするくらい息を吹きかける必要があったが、こちらは軽い息で楽しめるようになった。立方体の反応も劇的に向上し、エンタテインメント性が向上している。物理エンジンにはPS3でも使用されるAGEIAのPhysXが使われている。スクリーンには網戸に張るメッシュ状のフィルムが加工されて使用されている。

「まじかるSPLASH」。子供でも理屈無用で楽しめるインタラクティブ・アート 「ビュー・ビュー・View」。息を吹きかけるというインタラクションがユニーク


●COGAME

 2台のプロジェクターで床にコースを投影し、おもちゃの亀をゴールまで誘導するゲーム。東京予選に比べて、亀の動きが多彩になり、速度も速くなった。池などの障害物に亀が当たると後ずさりをする、などのアクションも追加されている。プロジェクタから投影されるコースユニットはランダムで切り替わり、矢印がアニメーションするコース上では亀の歩く速度も上昇する。プロジェクタユニットにはバイオUを搭載しており、802.11gでプロジェクタや亀の位置をPCに伝達。PCからは赤外線で亀に情報を伝達し、左右のモータを動かす仕組み。亀ユニットは小型ラジコンカーを改造して、無線のかわりに赤外線で誘導できるようにした。

●ぐ〜るぐる

 つぼに刺さった棒をまわすと、画面の中で建物が壊れ、ばらばらになっていく。東京予選に比べてグラフィックがきめ細かくなり、早く回転させると竜巻が発生するギミックも加えられた。建造物に会場のVRテクノセンターも加わり、会場を竜巻で破壊してバカ受け……のはずだったが、制御基盤の故障で棒の回転の入力ができず、いきなりダウン。ゲームコントローラによる入力に切り替えて、ようやく時間内での実演展示に間に合った。物理エンジンには「ビュー・ビュー・View」と同じくPhysXを使用している。

「子象の行進」をBGMに、コミカルな体験ゲームとなった「COGAME」 惜しくも回路が故障した「ぐ〜るぐる」。作品の耐久性の重要さを改めて示した


 今回は4作品とも東京予選大会から改良が進み、どれも目を見張らせるものがあった。レベルも甲乙がつけがたく、細かい改良がこれほど完成度を高めるのかと改めて感じた次第だ。残念ながら回路の故障で「ぐ〜るぐる」は100%の力を発揮できなかったが、もし完全に作動すれば、IVRCの歴史に残る接戦になったと思われる。その中でも面白かったのは「まじかるSPLASH」のアバウトな水柱の動きだ。開発チームとしては力不足だった点が、個人的には新鮮に感じられた。これぞ「神のバランス」だろうか。

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