― 「Half-Life 2」は、「Half-Life 1」の方法を引き継いでいるように強く感じられるのですが、最初からそのように作っていったのですか?
「Half-Life 2」は二つ目のプロジェクトということで、一作目が評判が高かっただけにユーザの期待も高かった。そのため、何をするのかを決めるときに……最初いくつか実験をしたんだ。
その一つが物理エンジンで、よりリアルに世界を表現するためのものだ。しばらく、物理を使ったゲームプレイはどんなものかを調査した。重力銃を使って物を拾う、くっつけるなど、いろいろ実験をおこなった。
あと、キャラクタ表現テクノロジの調査も行った。アートディレクションと結びつけるのに5年間かかっている。眼、顔、表情のブレンディングなどの、とても複雑なシステムだ。非常に多くの時間をかけている。
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| インタビュアー 新清士氏 |
― 特に、人間的な表現力を持ったキャラクタについてお聞きします。どうやって機能を絞り込んだのでしょう?
多くの科学的研究を調査した。中でも大きく取り込んだのは、ニューヨーク大のケン・パーリンが行っている、表情を形作る筋肉の動きだ。彼らは人工的に表情を作り出すソフトウェア開発の研究もしていて、とてもすばらしい研究成果を出していた。
また、眼の振る舞いのシミュレートを行うシェーダを作った。眼の動きなどが、変だとキャラクタは人形みたいになってしまう。特に映画のアニメーションでも、頭の動きに対して眼の動きがおかしいとかがみられる。だから眼の研究は重要な投資だった。
― 最初にキャラクターが完成したのはいつ頃ですか?
2001年には、最初のバージョンのアレックス、バーニーの眼と表情、ブレンデリングの最初の実装をおこなった。これをデータが壊れないようにして、調整にどんなコントロールがいるのかなどを確認しながら、アニメータが使えるツールにするのに時間がかかった。フルバージョンのドラマパート作成ツール「FacePoser」が出るまで2003年の夏の終わりまでかかった。実際、大変だったよ。
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小さいグループで開発を進めることで長期開発のモチベーションを保つ
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― 「Half-Life 2」の開発には5年という時間がかかっていますね。これだけ長期間の開発だと、モチベーションを維持していくことは大変だったのではないですか?
Valveにはよく組織にある階層構造がない。指導するシニアメンバはいるが、特徴的なのは人を小さいグループにわけて問題に取り組んでいるところ。この小グループにはレベルデザイナ、アニメータ、プログラマなど異なる専門の人が集まるようにしている。小さいグループだと、つながりを感じて、自分の貢献、チームメンバの貢献が明らかであるとモチベーションを保ちやすい。
こうした方式だと、自分の担当しているゲームのパートの一部を作ってテストして、フィードバックを受けて、さらに作って、ついには見たことがないものが出来上がるというのがとても面白い。楽しいプロセスだ。
― 「Half-Life 2」のソースコードが盗まれた問題について、今はどう感じていますか?
ああ……ソースコードの盗難はとても大変だった。しかし、ファンも含めて、多くの人のサポートが得られたのは嬉しかった。またその当時ゲームがラフな状態で製品版の売上げに影響がなかったのもよかった。
― 今後、開発がエレクトロニック・アーツ型のハリウッドスタイルに近づいていくと言われているが同じように北米企業はその方向に進むのでしょうか?
難しい質問だ。専門化したパイプライン(開発手順を決めたルール)が存在しないと、高い質にたどり着くまでがとても大変だ。我々は領域をまたがった技術を持つ人材を求めている。複数のことに興味がある専門家達だ。一番でないと大変という世界だが、境界を越えて働く人の役割が大きい。ただ、業界全体でいったら専門化が進むだろうね。ハリウッドみたいになるだろう。
― Valveもハリウッドスタイルになるんでしょうか?
そうならないように努力している。スペシャリストは必要だ。しかし、一つの専門家というものだけが重要なのではなくて、サウンドエンジンのプログラムを作ったすごいサウンドの専門家がいるけど、同時に彼はゲームデザイナでもあって、広い視野をもっている。二つの分野のギャップをうめているんだ。