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Slash Games編「直撃!ゲーム最前線」

「GDCはクリエイティブなゲームづくりの刺激を受ける場所」
GDC ジャミル・モルディナ氏インタビュー ―東京ゲームショウ2004

2004年10月6日


 東京ゲームショウ2004にあわせて、世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference」のカンファレンスディレクター、ジャミル・モルディナ氏が来日した。

 Game Developers Conference(GDC)では今後、日本からの開発者がもっと参加しやすくしたいという。

Jamil Moledina氏
GDCカンファレンスディレクター ジャミル・モルディナ(Jamil Moledina)氏


 アメリカの開発者はみな、日本の開発者は革新的なゲームを作ることに長い歴史を持っていることは知っている。みんな、日本のゲームをやって育った開発者たちなんだ
 


―― 東京ゲームショウの印象はどうですか?

 E3と違って、一般の人に開放しているというのがとてもいいね。混雑しているというのはいいサインだ。


―― GDCとはどういうものか、お話しいただけますか?

 まず第一に、他の開発者の人から学ぶことのできる、カンファレンスだね。ゲーム開発について約300のセッションがある「カンファレンス」セクションと、開発に使うツールの展示をおこなう「展示」セクションの二つの要素から成り立っている。

 従来のゲーム開発というのは孤立した作業であったが、GDCはそうしたバラバラの開発者同士が情報を交換して学び会える場所であり、さらにクリエイティブなゲームづくりの刺激を受ける場所なんだ。


―― 参加者はやはり北米の開発者が中心なのでしょうか?

 GDC2004の数字でいくと、アメリカが6,054人(81.69%)でもっとも多い。以下、カナダが320人(4.32%)、イギリスが196人(2.64%)。その次が日本からで123人(1.66%)だ。

 我々は、日本の開発者にもっと来てもらいやすくしたいと考えていて、その一つに同時通訳の充実を予定しいている。これまでは(日本人発表者向けの)日本語から英語だけだったが、ビジョントラックなど重要な英語のいくつかのセッションについて、英語から日本語への同時通訳を置く予定だ。

 また、国際ラウンドテーブルなども考えている。


―― アメリカのゲーム産業の中で、GDCはどういう価値を持っていると思われているのでしょうか?

 開発者が感じている価値は2つある。一つはカンファレンスセッションで、常にスキルを高めていけるような学習機会となっている。もう一つは、いろいろな開発者が集まり交流することから生まれるコミュニティ感だ。

 GDCは上も下もない特別な機会であり、直接の交流ができる場だ。官僚的なバリアがなく、プロジェクトリーダーや開発者、学生……。すべてのクリエイティブなスピリットを持った人たちが集まって。垣根を越えて交流できる場になっている。


―― アメリカのゲーム開発力が上がっていると日本の開発会社は考えていますが、GDCはその要因の1つであると思われますか?

 「YES」と答えるのは謙虚心に欠ける気はするが、さまざまな人が集まることで、ジャンルのクロスラインがGDCで起きているとは言えるだろう。

 開発ツールベンダやミドルウェアベンダ、グラフィックスカード会社、マイクロプロセッサベンダ、グラフィックやアニメーションのツール…… ゲーム開発に必要なものを作っている人が、ゲームクリエイターといっしょにいる。ここにはゲームに新しい何かを作り出す要素・環境があると思う。


―― それだけのコミュニティが出来上がるのに、どれぐらいかかったのでしょう?

 GDCは毎年成長してるんだ。最初は小さく始まったが、毎年新しい要素がついてきている。

 まず、プログラマにフォーカスしたところからスタートし、さらにプログラミングだけでなく他の要素、サウンドやグラフィックなども取り込むことで成長してきた。それによって、すべてのゲーム業界関係者が参加する意義のあるイベントに成長した。

 GDCの次の成長は、将来どんなゲームを作れるかといった『ビジョン』を扱うところにあると考えている。そういった5年先10年先をカバーする時代になってきたわけだ。


―― GDCを今後どう変えていきたいと考えていますか?

 大部分は変えたくないが、『ビジョン』についてのトラックを追加することは考えている。以前のゲーム産業は、映画業界や音楽業界の妹や弟のように扱われていたが、今は同じステージに立っている。娯楽産業ということで同じレベルにあると考えている。

 エンタテインメントという概念まで到達したことで、ビジョントラックでは映画や音楽のクリエイターなどを呼び、ゲームというジャンルにとらわれないイノベーションを目指していく。


―― GDCでは多くの現役開発者が講演を行っていますね。ゲームデベロッパーは米国でもやはり秘密主義だったと思うのですが、それが変わってきたのはどういう理由によるものでしょうか?

 いろいろな要素がバリアをオープンにした。一つは、個々の独立系デベロッパーの力だ。独立系デベロッパーの場合、ゲームを開発してからパブリッシャーに売り込んだり、パブリッシャーにアイディアを持ち込んで開発資金を得たりと、いろんな形がある。このため、情報をオープンにせざるを得ない面がある。

 もう一つの要素というのは……何と言えばいいのかな……独立系デベロッパーは、自らの評価を高めるために情報をオープンしていく必要があるんだ。例えば、バイオウェアのようにね。

 アメリカ人開発者は、知的財産権に関する法律を自分たちに有利に使っている。オープンにできるのは知的財産権が守られるという安心感があるんだ。そうはいっても、日本とアメリカの開発が違うとは思えない。みんな自分なりの秘密はあるはずだからね。

 GDCのいいところは、会社のトップがいないところで開発者同士が話せるという環境にあるんだ。


―― GDC参加について、彼らはどうやって経営者からの理解を得ているのでしょう?

 会社のトップレベルは、GDCで開発者同士の交流があることを心配しない。信頼に任されているところはあるが、特別なコードや社内の秘密を言わないことが分かっているからね。それに、チームリーダーもちゃんと出席しているし。

 開発者ももちろんビジネスなので、ここまでは話せるというラインを持ってお互いに情報交換している。GDCがリラックスした場所を提供することで、秘密を守りながらも、必要な情報はシェアして助け合うことができるんだ。

 もちろん、参加する人たちが情報交換に懐疑的であるというのは合理的だと思うが、GDC運営サイドとしては、情報交換についてのおそれを少なくすることに努力している。


―― 日本の開発者に向けてメッセージをお願いします

 GDCのドアは、あなたたちにも開いている。ぜひ来て欲しい。

 みな、日本の開発者は革新的なゲームを作ることに長い歴史を持っていることは知っており、GDCに日本の開発者に来て欲しいと思っている。日本の開発者を尊敬しているのだ。実際、日本に関する情報をGame Developer Magazineのカバーストーリーで取り上げたり、講演者を呼んだりした際には、非常に反響がある。

 マリオブラザーズやスペースインベーダー、魂斗羅……。アメリカの開発者もみんな、日本のゲームをやって育った開発者たちなんだ。

 日本の開発者も、GDCに参加してアイディアを発表して欲しい。そして、アメリカ人も、アイディアを発表していく。こうしたアイディアの交流によって、今日の世界中の開発者が、消費者の欲しいと思っているゲームを作りだせればと願っている。


―― ありがとうございました。


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