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Slash Games編「直撃!ゲーム最前線」

ゲーム開発者はプレイヤーを積極的に「刺激」しよう ―
― Ludologyのゴンザロ・フラスカ氏インタビュー

2004年9月30日


 Ludology(ルドロジー/ゲーム学)を提唱するゴンザロ・フラスカ氏に、メディアとしてのゲームについてお話を伺った。フラスカ氏はコペンハーゲンIT大学・コンピューターゲーム研究センターに所属、「newsgaming.com」を率い、アメリカ大統領選挙のためのビデオゲームを共同制作したことでも知られる。

新しいゲーム学「Ludology」を提唱するゴンザロ・フラスカ(Gonzalo Frasca)氏


 どんなゲームも誰かの反感を買う恐れはある。物議を醸すことを恐れるな
 

―― フラスカさんはCNNジャーナリストというキャリアをお持ちですが、そのことはルドロジー研究にどのような影響を与えていますか?

 私はCNNのほかにもカートゥーンネットワークで働いた経験もあり、ファンタジーとリアリティの両方に興味がある。newsgaming.comを見てもらうと分かると思うが、これらの経験から「現実の問題に基づくゲーム」という視点を得た、といえるだろう。


―― 講演はゲームという表現形式は演劇や映画のように「多様な使いかたのあるメディア」に進化している、というお話だったように感じました。メッセージがプレイヤーに対して強く伝わり過ぎたタイトルについて、何か例を示していただけますか?

 ゲームがグローバルマーケットになっているので様々な影響が出てきている。例えばエレクトロニック・アーツが、太平洋戦争を舞台に日本軍を敵として描いている「メダルオブオナー ライジングサン」を出したが、これは日本の反感を買わなかった例だ。その一方で、FPSやリアルタイムストラテジーでイスラエルやアラブを攻撃するゲームがあり、これらは反感を買っている。どんなゲームも、攻撃的なものはどこかで反感を買う可能性がある。


―― 開発者はゲームに埋め込むメッセージにより注意深くなるべきなのでしょうか?

 いや。注意深くならなくていい。それはプレイヤーを刺激できているということなのだ。賛成であれ反対であれ、プレイヤーから意見を引き出していくことがエンタテイメントメディアの役目なので、あまり気にしすぎるべきではないだろう。

 ただ、グラフィックスをリアルにしすぎると、設定やディテールなどあらゆる面でのリアルさを「プレイヤーに期待させすぎる」恐れがある。ゲームにはリアルを再現していない部分もあるので、キャラクタをマンガっぽくする方法をとったりもしている。

 もっとも、注意深くならなくていいといっても、暴力性で問題となったグランドセフトオート3のように、子供向けに提供していいかどうかという判断は別だ。レイティングによる制限は必要だろう。


―― ゲームボーイアドバンスや携帯電話など、ゲームに常に接することができる環境が整ってきています。ユビキタス化するゲームがプレイヤーの生活に侵入的になることで、どのような影響が出てくると考えますか?

 我々が子供の頃は、ご飯の時にはゲームを中断して食べるのは当たり前だった。ユビキタスにゲームできる技術が整っても、ゲームをする時間・場所、ゲームしない時間・場所を分けるという社会的なマナーは必要だ。

 これに関しては、ゲームデザイン面からも注意が必要だ。たとえば「たまごっち」は、ずっとゲームに接することを要求しているが、人をずっと巻き込むデザインというのは気をつけるべきだろう。


―― 熱中するタイプのゲームとして、MMORPGもしばしば問題になりますね。

 例えばテレビを考えて欲しい。どんなに番組に熱中しても、授業があるとかパーティがあるといった時には、ちゃんとテレビを中断して出るだろう。MMORPGもそうなると思う。


―― MMORPGでは、権力やお金の問題が、現実以上にはっきり出てしまう印象があります。ゲームデザインとプレイヤーコミュニティのどちらの影響が大きいと考えますか?

 両方のバランスだ。ゲームデザイン側で避けようとしても起きる問題で、ゲームデザイン時点の想定外のものをユーザが生み出す。それがそういう問題を生み出すのだ。ゲームコミュニティ側が止めようと思えば止められるが、デザイナーでは止められないだろう。


September 12thゲーム画面(クリックで拡大表示)
―― コミュニケーションとしてのゲームについてお聞きします。オンラインゲームがコミュニケーション性の高いゲームだというのはわかります。では、オフラインゲームにおける「コミュニケーション」はあるのでしょうか?

 シングルプレイかマルチプレイかは鍵ではない。インターネット上には公式サイトや、TIPSページ、掲示板などがある。また、オフラインでも学校や会社で「あのゲームやってる?」「アイテムが見つからないんだ」といったふうに情報交換したりするだろう。ゲームをしてないときのコミュニケーションもあるということだ。


―― 日本では現状、『September 12th』のような「はっきりと政治的なメッセージをもつゲーム」というのはあまり見られないように思います。米国以外、たとえばヨーロッパでは、強いメッセージを込めたポリティカルゲームは出てきているのでしょうか?

 ポリティカルゲームは、北米以外でもゆっくりゆっくり進行している。

 たとえばオーストラリアのアーティストが作った「Escape from Woomera(エスケープ フロム ウーメラ)」は、不法移民の収容所に閉じこめられて、そこから逃げ出すというゲームだ。これはオーストラリアの過去の移民政策を題材としたもので、隠されてきた歴史をオープンにしたとことで賛否両論があった。一般市民の教育のために、州の予算で作られたゲームだ。

 こういうゲームは、今後いくつも出てくるだろう。


―― 古いゲームですが、「バランスオブパワー」もポリティカルゲームにあたるとお考えですか?

 もちろんだ。作者のクリス・クロフォードは、非ファンタジーの世界観でメッセージを伝えるとともに、物議を醸すことに成功した。これこそポリティカルゲームだ。

 ビデオゲーム以前でいえば、モノポリーもそう。もともとは1904年、ある女性が考えた土地を独占するゲームから始まり、時間をかけて現在の一般化された形に出来上がってきた。ポリティカルゲームは、ビデオゲーム以前からカードゲームやボードゲームで長い歴史があるジャンルといえるだろう。


―― ありがとうございました。

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