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■ ゲーム内広告需要の背景

  いわゆるオンライン広告の1つとして、Webゲームの余白内にバナーを出すという広告は、2000年前半に定着した。市販ゲームの画面内に広告を出すスタイルは、2003年頃から行われ始めた。ゲーム内に広告を掲載する試みは、無料で商品の画像を掲載するというタイアップ形式で始まったようだ。ゲームに実際の商品の画像を載せるとリアリティが増す。しかし、実際の商品やロゴには意匠がある。タイアップは「広告主がゲームユーザに商品を宣伝し、その対価として、意匠の使用を許可する」というスタイルだった。ゲームメーカー側からみると、商品の意匠を無料で使わせてもらい、ゲームの世界にリアリティを演出できる。カーレースやスポーツゲームでは、むしろゲームメーカーが意匠に関してライセンス料を支払うという状況だった。

 一方で、アメリカでは2005年からゲーム内広告が成長した。そこにはテレビスポット広告の媒体力低下と、コンテンツ不足によるオンライン広告の成長鈍化が背景にある。アメリカでは数少ないキー局が全国に番組を流すという従来のスタイルから、ケーブルテレビ、衛生チャンネルの普及による多チャンネル化がどんどん進んでいる。一方でチャンネルは増えてもテレビを見る人は増えないから、視聴率の分散という形で跳ね返ってくる。全米が見るというスポーツ中継を除けば、テレビスポットの費用対効果は下がっていると考えられる。

 一方でオンライン広告はどうだろうか。オンライン広告は主にバナーとして提供されている。そしてバナー広告を出すには、バナーを貼るためのWebサイトが必要である。バナー広告そのものを見るためにネットに繋ぐ人はいないからだ。個人・企業を含めて、Webサイトの増加率に勢いがなくなった。これはグローバル情報社会研究所が開催したGISフォーラムの発表で示されている。コンテンツ不足がゲーム内広告市場を停滞させていることがグラフでハッキリ示されている。

オンライン広告の低迷。GISフォーラム資料より
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 テレビ広告の低迷、バナー広告の減速。この背景を受けて注目されたメディアがゲームだった。会員管理された大ヒットゲームはテレビ番組よりも票を読みやすい。また、ゲームは最低でも30分程度は遊ぶだろうから、どんなWebサイトよりもステイタイムが長いことになる。アメリカの広告主は気付いてしまった。ゲームは優良なメディアだと。そんな気運が盛り上がった2006年1月。米国社会にゲーム内広告の効果を認知させた有名な事例が発生する。Engage In-Game Advertising社がカウンターストライクのサーバを開設。そのマップ内に大手ファーストフードチェーン「サブウェイ」の広告を掲載した。Engage In-Game Advertising社は3万1千以上の試合に広告を配信し、プレイヤーが広告を見た時間数は1万9千時間人に及んだ。

Engage In-Game Advertisingが『カウンターストライク』で掲示した広告。マップのテクスチャを書き換えたハードコーディングタイプだと思われる。
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 この数字は広告代理店としては大成功だったが、これはカウンターストライクの発売元、Valveの反発を招いた。事前に許諾を得なかったからだ。米国ではゲームユーザのマップ制作や改造(MOD)は慣例的に認められている。Engage In-Game Advertising社もこれに倣ったものだと考えられる。しかし、Valveは遺憾の意を表明した。ただ、Valve社はこの事件をきっかけにカウンターストライクというゲームを「メディア」として認識したと思われる。そして今月の広告配信へと繋がっているというわけだ。

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