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筆者:『Half Life2:Episode One』までの話の流れを教えてください。

ロビン・ウォーカー氏:(以下、ロビン):『Half Life』では、Gマンがいかにゴードン・フリーマン(以下、ゴードン)を育て上げたかが描かれていました。それを受けて『Half Life2』では、Gマンがいかにゴードンを利用して、人々を反乱へと掻き立て、ブリーン博士の野望を打ち砕いたか、までを描いています。『Half Life2:Episode One』(以下、『EP One』)はまさにそこからゲームが始まります。Gマンから自由の身となったゴードンの戦いを描く、新たな『Half Life』サーガであると言えるでしょう。アレックスとゴードンは、シタデルの爆発を前に、混乱がひろがるシティ17から脱出しなければなりません。今回はそれがゲームのミッションとなります。

筆者:今回は、技術的にはどのような変化がありますか?

ロビン:『EP One』ではソースエンジンに数多くの技術を導入しました。まず、リアルタイムレンダリングの質そのものを改善しています。ライティング全般とキャラクター描画能力の質の切り上げなどです。特に、シェーダーモデルの最新技術を導入し、それを活用しました。また、アレックスに対する照明効果については、従来のドキュメンタリー風のものではなく劇場映画的なライティングに変更したのです。これに加え、アレックスの動きやテクスチャデータのボリュームが、以前の3倍以上になっています。また、『EP One』では、ソースフェーシャルアニメーションシステムのバージョン2.0が実装されました。これにより、アレックスの感情表現が、かつてと比べてかなり豊かになっています。いままで不可能だと思われた感情表現も容易にできるようになりました。また、フェイシャルフレックスアニメーションも以前の3倍の早さで動くようになっています。
  この他にも『ロースト・コースト』で実装されたHDライティングや、『Days of Defeat』ではじめて実装したカラーコレクション、モーションブラーも、『EP One』で効果的に使われています。

筆者:そういった新技術の導入を、ゲーム上のストーリテリングのために意図的に使われた例を教えてください。

ロビン:たとえば大規模な戦闘シーンですが、自分たちの意図するように作り上げるまでには、複数の課題をクリアしなくてはなりませんでした。具体的には、アントライオンが巣穴から飛び出てくる中、コンバインとの戦闘を強いられる場面。ここにはかなりの時間をかけて、アレックスのAIを調整しましたね。まず、アレックスはユーザがそれぞれのシナリオで何をしようとしているのか理解している必要がある。それぞれの状況に合わせ、アレックスはプレイヤーキャラの援護射撃をしたり、襲ってくる敵を倒したり、といったことを適宜遂行しなければならない。このようなアレックスのサポートがあることでユーザはより重要な問題に対応する時間が与えられる。前述のシーンで言えば、アントライオンの巣穴をブロックして、敵が次々と飛び出てくることを防ぐといったことになるでしょう。優れたAI.を導入したことで、アレックスをゲーム上のパートナーとして扱うことが可能となり、非常に深みのある戦闘体験をユーザに経験させることができたと思っています。

パートナーとして様々な任務をこなすアレックス
(C)2006 Valve Corporation. All rights reserved.
※クリックで拡大画面を表示

 また、HDライティングにしても、今回のゲームでは大変重要な役割を果たしています。コンバインシダデルには巨大なエネルギー炉のようなもの存在します。その中で、エネルギーボールが画面を埋めつくすという場面があるのですが、そこでは、ユーザにエネルギーボールが焼け焦げるような熱さであることを実感させたかったんです。ここで大切な役割を果たしたのが、HDライティングです。その場の熱さや、エネルギー源としての特殊性を描写することができたと思っています。

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