|
●手に汗握る手術バトルは必見
私のお気に入りはというと、チャン・ジュンヒョクに課長になる野望を抱けと言う義父が、「強いものが生き残るのではなく、生き残ったものが強いものなんだ」と言う場面があるのだけど、このセリフだ。そうなのかぁと頷いてしまった。
原作は小説といっても日本版ドラマの影響がまったくないとは言い切れないだろう。主人公のキム・ミョンミンも「日本版ドラマは22話すべて観たが、観なかった方がよかったのかもと思ったりもした。似たような場面を演じるときは、やっぱり日本の俳優の演技を思い出してしまうので、最大限日本版ドラマは忘れることにした」と映画雑誌とのインタビューで漏らしていた。
もちろん違うところもある。日本版では出番の少なかった菊川教授だが、韓国版では課長の座を狙うノ・ミングクという名前のジョンホプキンス病院から来た名医という設定でチャ・インピョが演じる。原作にもないノ・ミングクとチャン・ジュンヒョクの共同手術のシーンは見もので、ここでチャン・ジュンヒョクがノ・ミングクのミスを見つけバトルに勝つという設定なのだけど、本当に手に汗を握った。
 |
 |
| 韓国版・菊川教授であるノ・ミングクを演じるチャ・インピョ |
手に汗握る手術バトル |
ノ・ミングクを演じるチャ・インピョは、夫婦揃って寄付やボランティアに積極的な素晴らしい人柄。血縁を何よりも大事にする韓国で、「これ以上子供達を海外へ養子に行かせてはならない」と女の子を養女にした勇気のある人だ。作品選びにも慎重なタイプで、作品さえ良ければ役柄は関係ないと考え、『白い巨塔』でも数話しか登場しないノ・ミングク役を選択したそうだ。
●“韓国ドラマらしくない”ところが魅力!?
そして、このドラマの人気の秘密は“韓国ドラマらしくない”というところにある。ドロドロの三角関係や複雑な家族関係、姑のいじめや初恋の人との不倫、記憶喪失、そして交通事故もない。韓国人ですら「もうそんなドラマはいらない」と思っているためか、このごろは時代劇や、ロビストや空港安全要員などの特別な職業をもつ人の物語をドラマ化する「専門職ドラマ」傾向が強くなっている。
『白い巨塔』のもう一つの人気の理由は、出演人の演技の調和が見事だというところ。トップスターが登場しない代わりにみんながいい味を出している。演技がド下手でチャンネルを変えずにはいられないタレントも登場しない。
日本の小説が原作でヒットしたドラマといえば、SBSの「恋愛時代」が代表作。ドラマファンの間では伝説の名ドラマとして語り継がれている。日本は距離が近い分、感情的な部分や情緒的な部分もとても近いと思う。
韓国って中国に近いように思われているけど、中国人は苦手という人も多い。考え方が違うし、アメリカやヨーロッパなど語学研修や旅行先で出会ってすぐ仲良くなるのは韓国人と日本人というケースも多数。最近、韓国男性と日本女性の結婚もすごく増えてるのを実感する。私の周りですでに5組。韓国の男性はいいですよ! 当たり外れがあまりないから安心してお付き合いできると思いますよ。あれ? 話題がそれてしまったけど、結論は、かっこいい俳優さんが大勢出演する日韓『白い巨塔』をぜひ見比べてください、ということです!
(趙章恩)
■著者紹介
趙章恩(チョウ・チャンウン):韓日ITジャーナリスト
3歳から高校卒業まで韓日を行き来する生活で、中学生の頃から通訳として活躍。韓国大手商社の日本担当を経て現在ITジャーナリストであると同時に、世界中から殺到するIT視察団を切り盛りするコーディネーターとしても多忙な毎日を送っているが、寝る時間を削っても毎日最低2時間はドラマを見てしまう「ドラマ廃人」。ITよりドラマや芸能界事情のほうが詳しいのではと疑われている。日経新聞「ネット時評」、BCN、夕刊フジなどに連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め!」(アスキー刊)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ!」(ドナン出版)など。
●趙 章恩 一覧へ●
●ご意見・ご感想をお寄せ下さい●
|