【コト消費化するインバウンド】美容サロン、日本の流行を感動に! | RBB TODAY
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【コト消費化するインバウンド】美容サロン、日本の流行を感動に!

ビジネス その他
高いシャンプー技術と座り心地の良い椅子が、訪日観光客から人気
  • 高いシャンプー技術と座り心地の良い椅子が、訪日観光客から人気
  • ゆったりと過ごせる空間は、来店した訪日観光客から高い評価を受けている
  • プライベート感が保たれる広々とした店内で、日本最高の美容サービスの提供を目指す
  • 左からUNIX第一営業部部長の堀井信彦氏、KIRARITO GINZA店主任の福永雪氏、同店店長の加藤孝幸氏
【記事のポイント】
▼ホテル設置のエリアガイドへの掲載で、宿泊客を誘導
▼“世界が注目する”日本の流行スタイルにニーズが
▼顧客満足度向上のカギは、はっきり分かりやすい仕上がり


■カウンセリングの質向上に、外国語対応が不可欠

 爆買いのトレンドに乗ってブランド街やデパートが人気を集め、今なお都内でも有数のインパウンドが集まるスポットとなっている銀座。ここで、“コト消費”が騒がれる前から、インバウンドに注目されてきた美容院がある。それが、14年にオープンした「UNIX KIRARITO GINZA店」だ。

 美容院チェーン「UNIX」では現在、関東地方に30店舗を展開している。第一営業部長の堀井信彦氏によると、その中でもKIRARITO GINZA店は当初からインバウンドを意識し、外国語表記のメニューなどを用意してきたようだ。

「オープン当時は爆買いブームもあり、銀座にはたくさんの中国人がいらしており、そこにビジネスチャンスを感じました。日本の美容は世界一だと思っているので、それを訪日観光客の集まる銀座で発信していこうと考えたわけです」

 とはいえ、美容には客との間に細やかな意思疎通が必要だ。そこで白羽の矢が立ったのが、中国に留学経験のあるKIRARITO GINZA店主任の福永雪氏。もともとUNIXの社員だった福永氏が中心となり、福永氏の友人も加えて、まずは外国語表記のメニュー表を作成した。中国語を話すゲストが来店した際は、美容師とともに福永氏が同席してカウンセリングを行う。中国語は福永氏1名で対応しているが、英語は数名のスタッフが話すことができるため、状況に応じてサポートする体制になっている。

「全員が中国語や英語を話せるわけではないので、話せるスタッフがいない時が一番の課題です。とはいえ、外国人の方が毎日来るというわけではないので、スタッフの配置はお客様の予約状況に合わせて対応しています」

■ホテルからの紹介で訪日観光客を呼び込む

 KIRARITO GINZA店はインバウンド対策美容室として、訪日観光客や在日外国人に認知を広めている。以前からUNIXではほかの店舗でも、外国語対応などをしていないにも関わらず、外国人のお客が訪れていた。では、なぜKIRARITO GINZA店がここまで認知されるようになったかを探ると、地元銀座との繋がりが大きいようだ。

「『銀座ガイド』というマップや日本政府観光局(JNTO)のサイトに店舗情報を掲載してもらったことが、訪日観光客の方に知ってもらうきっかけになりました。初期の頃は、ツーリストインフォメーションセンターからご紹介いただくこともありましたね」

 「銀座ガイド」は銀座周辺のホテルに設置されているため、ホテルから宿泊客の予約が入ったり、その紹介で来店することも多い。ただ、日本に来てから来店を検討するのでは、ツアーや観光に取られる時間が多く、満足いくサービスを提供できない場合もあると、KIRARITO GINZA店店長の加藤孝幸氏は話す。

「ツアーの途中でふらっと来店される場合だと、1時間程度しか時間を取れない方が多い印象です。お客様が受けたいサービスはカットにプラスして、パーマやカラーなので、最低でも3時間は欲しいところ。そこで、今検討しているのが日本に来る前にUNIXを知ってもらうことです。台湾や中国の富裕層に案内を差し上げて、こちらで施術をする時間を取ってもらった上で訪日する仕組みを考えています」



■日本の流行に対する関心の高さ、満足度につなげる

 UNIX KIRARITO GINZA店に来店する日本人は場所柄30代以上が多く、訪日観光客も年齢層が高めだ。ゆったりと落ち着いた雰囲気の店内は、白を基調とし、高級感も漂う。利用した訪日観光客からも清潔できれいなことを驚かれるのだとか。彼らが求めるのは、日本らしさ。お店の美しさに加えて、サービスもその一つだ。

「来店された訪日観光客のお客様からは、丁寧な対応が想像以上にいいと言っていただきます。日本の美容室では当たり前なこと一つ一つが母国とは違うようです。例えば、最初にカウンセリングがあって、施術をして、最後にもう一度カウンセリングをすることを驚かれたり、シャンプーが丁寧で感動する方もいます」

 また、日本の美容をジャパニーズスタイルと言って、日本で流行っていることを体験したいと注文する訪日観光客が多いそうだ。そのため、美容師が通訳を介して日本の流行を伝える努力は怠らない。

「カット、カラー、パーマ以外にも、日本の流行について話をしているうちに、ネイルやヘッドスパなどのメニューに興味を持ってくれる方もいます。提案をすれば、やりたいという方が多いですね。予算は人それぞれですが、10万円という方もいました」

 技術的な面では、はっきりかわいくしてあげる、きれいにしてあげるということが大切だという。ニュアンス重視の日本人に対して、訪日観光客は自分がこうなりたいという最終形に近づけることによって満足度が上がる。友人や家族と来店することが多いので、他の人が見て「かわいい」と言ってもらえるように仕上げることもコツだ。

■インバウンドの悪い面は先手を打って対策を

 インバウンド需要が高まる一方で、日本語を話せない外国人を断る美容室も増えている。実際に来店した訪日観光客のマナーが悪かったり、話し声がうるさかったり、ドタキャンされるなどの被害が続く店もあるようだ。

「私たちの店舗では、今までインバウンドによるマイナスな出来事もなく、日本人のお客様から苦情がでることもありません。とはいえ、友人同士でお話をしそうなお客様の場合は、奥の席にご案内したり、席の配置も工夫しています」

 日本の高い美容技術を体験してもらい、感動すること。それが、訪日観光客にとって、一番の顧客満足度につながるという。となれば、国内の美容院には潜在的にインバウンドに対する需要はあると考えてよいだろう。問題はUNIXでもKIRARITO GINZA店がインバウンド対策店として認知されているように、その認知をどう掴むか。その前段階として、まずはホテルでの認知を高めるのも一つの方法論となりそうだ。オプショナルツアーのような形で、日本の美容を体験してもらうというのは、昨今の訪日観光客におけるコト消費へのニーズにもマッチするだろう。

【コト消費化するインバウンド:3】美容サロン、日本の流行を感動に!

《寺田愛/HANJO HANJO編集部》
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