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【定額制ビジネスに勝算あり】ワイシャツレンタル、会社員ニーズを掴む

ビジネス その他
月の営業日の数だけ注文が生まれる、ワイシャツのクリーニング。その安定した需要に注目したことから、ワイクリンは生まれた
  • 月の営業日の数だけ注文が生まれる、ワイシャツのクリーニング。その安定した需要に注目したことから、ワイクリンは生まれた
  • ワイクリンを提供するNextR代表取締役の長尾淳氏
【記事のポイント】
▼市場調査でつかんだニーズをサービス設計に生かす
▼ネガティブな意見も、克服すればサービスの差別化ポイントに
▼若い世代で変わるシェアへの意識、そこに定額制の商機あり


■成功するサービス設計の裏にある市場調査

 定額制でユーザー同士がモノを貸し借りするような、シェアリングエコノミーサービスが日本でも広がりつつある。若い世代は物に困ることがないので、ものを所有することにあまり執着しないことも、この流れを後押ししているようだ。このような状況に合わせて、BtoCでも今までにない定額制サービスが生まれつつある。

 中でも、若者の間で一定のマーケットを確立しているのが、定額制による服のレンタルサービスだ。ただ、これはあくまでファッションの延長線にあるもの。娯楽のためのもので、ユーザーは飽きたら止めてしまうだろう。しかし、そこにユーザーの必然性を見出し、ストック型のビジネスとして成功させている企業がある。

 長尾淳氏が代表取締役を務める「NextR」が展開するのは、ワイシャツのレンタルサービス「ワイクリン」。16年4月のサービス開始以降、順調に顧客数を伸ばしている。

 このサービスが生まれたきっかけは、自身の体験にあるという。会社を興す前は夫婦共働きのサラリーマンだった長尾氏。その中で、仕事柄毎日必要となるワイシャツの洗濯が、夫婦の間で問題になっていた。土日に誰かが洗濯し、アイロンかけも必要になる。クリーニングを頼むにしても、平日はお店の開いている時間に合わせるのも難しく、土日は店が混んで行列に並ぶ必要があった。

 この経験からワイシャツの洗濯やメンテナンスに対して、長尾氏は需要を見出す。やがて、事業化を考えるに至ると、会社経営者の知り合いや友人にアドバイスを求めた。それだけでなく、客観的な情報も必要だとして、調査会社に依頼してアンケートによる市場分析も行ったという。

 このアンケート調査はニーズの裏付けにもなり、サービスを設計するうえでの重要な情報になった。サラリーマンがいくらぐらいのワイシャツを買っているのか。洗濯やクリーニングにどんな不満があるのか。調査をせずに自身の考えや憶測だけで判断していたら、「サービス設計で失敗し、本当のニーズに応えられなかった」と長尾氏は話している。



■ストック型として成立する継続率の高さ

 ワイクリンはなぜ順調なスタートを切ることができたのか? 長尾氏によるとその背景には、約1年間をかけた綿密な準備があったという。

「染み抜きやボタンつけなどメンテナンスも付属すること。ワイシャツは20枚単位で、1か月に1回のやりとりで済むこと。アンケート調査の結果もとに、細かくサービスを設計したことが、ニーズにうまくハマったのではないでしょうか」

 事業計画について知人に相談する中で、人の着たワイシャツをレンタルすることに抵抗があるという意見もあったという。これを元にワイクリンでは、自分専用とするナンバリングを導入。失敗の可能性を一つ一つつぶしている。

 事前の市場調査が功を奏し、実際の利用者からも好評を得ているという。なによりワイシャツのメンテナンスから解放されることの利便性は、一度体験するとやめられないようで、継続率は非常に高い。いったん解約した人が、再び契約してくることもあるという。

■徹底したアウトソーシングで異業種参入に成功

 ワイクリンのビジネスは、徹底したスモールスタートとアウトソーシングによって成り立っている。NextRがスタートアップということもあるが、例えばワイシャツの受け取りや配送には宅配便を利用している。ワイシャツはメーカーと提携して調達し、クリーニングやメンテナンスは企業向けのクリーニング事業者に外注している。

 一方で、プロモーションはサービスイン前の3月に、一度行ったプレスリリースのみ。PR会社に依頼してテレビや雑誌、Webメディアなどに配信している。もともと、市場調査でニーズに対して手応えを感じていたが、サービス内容の物珍しさもあり、すぐに各種メディアで取り上げられた。そのほかの販路開拓としては、16年11月にはJTBベネフィットと契約し、JTBグループ向けの優待サービスにワイクリンを組み込んでいる。

 こうしてワイクリンのビジネスモデルを見ると、立ち上げからプロモーションまでが、事業計画どおりに運んでいるのが見て取れる。では、今後の展開はどうだろう? もともと営業職だった長尾氏は、法人の開拓も考えているという。企業の福利厚生として、出張や単身赴任者といったシーンに向けて、新しいサービスを展開していくイメージだ。

 独身者や共働きの家庭が増え、ワークスタイルの変革が叫ばれる中で、消費者には日常生活においても負荷を軽減したいというニーズが見える。家事代行サービスのマーケットは拡大傾向にあるというが、こうした日々発生する作業を肩代わりする事業は、定額制にすることで安定した売り上げを確保する可能性を秘めている。ワイクリンのようにアイディア次第で、新たなビジネスを生み出せそうだ。

~定額制ビジネスに勝算あり:1~ワイシャツレンタル、会社員ニーズを掴む

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》
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