【インタビュー】APT及川直彦氏……データと直感、ビジネス実験という考え方 | RBB TODAY
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【インタビュー】APT及川直彦氏……データと直感、ビジネス実験という考え方

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APT日本代表及川直彦氏
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 企業の意思決定において、データによる分析と直感・経験則のどちらが正しいのか。この問題の結論を出すことは難しい。しかし、意思決定に重要なのは、データや直感だけではない。ビジネス実験によって結果を予測するという考え方もある。

 このように主張するのは、アプライド・プレディクティブ・テクノロジーズ(APT)という会社だ。同社は、過去データによる各種経営分析、データサイエンスに加え、ビジネス実験データの分析によって意思決定をサポートする独自のソリューションを開発し、多くの欧米企業にサービスを提供している。本社はアメリカのバージニア州、アーリントン郡。

 APTのシニアバイスプレジデントで日本代表の及川直彦氏に、同社のソリューションやビジネス実験の有効性について聞いた。

●回帰分析にはノイズが多い

--- 経営の意思決定において、実験データも重要であるとのお話ですが、それはどのような理由によるものですか。

及川代表:ある商品の値段を決めるときいくらにすべきか、値上げと値下げではどちらに効果があるのか、といった意思決定の課題があるとします。従来の分析では、例えば、過去の値上げや値下げの施策とそのときの効果がどうだったかというデータを使った、回帰分析という手法があります。横軸に単価(施策)、縦軸に売上(効果)として座標にプロットします。その点を分析することで一定の法則を見出す手法ですが、回帰分析の問題点は、それぞれのデータがノイズを多く含んでいることです。売上という効果の背景には、価格以外の要素が多く含まれています。そのデータを収集したときの経済状況、政策の影響、天候の影響など同じ条件であるとは限らないため、結果に価格設定がどれほど影響していたかは、じつはわかりません。季節商品がその年の天候によって売れた(売れなかった)だけかもしれないからです。

 また、効果を測定する指標も重要です。ある商品を値下げすると、集客は増えるかもしれないが客単価は下がるかもしれない。どのポイントでバランスさせるのかといった予測も、変数が多くなるのでますます複雑かつ困難になります。

 ならば、一部の店舗で小規模な実験を行い、実際の効果を確かめればより正確な予測が可能なのではないか、というのが弊社のソリューションの基本的な考え方です。

●テストとコントロール

--- しかし、実店舗の実験結果も、その本当の要因がわからないのは同じではないですか。

及川代表:はい。ビジネス実験も従来の方法では実験データのノイズとバイアスの問題があります。まず、実験するテスト店舗は、施策対象となる店舗群または全国の中で平均的なところでを選ぶ必要があります。代表性の担保といいますが、特殊な店舗での実験はあまり意味がありません。

 そして、もうひとつ重要なのは、ビジネス実験では、テスト対象のデータから施策の効果だけを抽出するための比較対象の存在が欠かせません。テスト対象と似た店舗のデータ(施策なし)を収集し、テストデータと比較します。たとえばテスト店舗の売上が落ちたとします。このままだと、施策は効果なしと判断しがちですが、施策なしの比較店舗の売上も落ちていたとしたら、その落ち込みの幅を比較すれば施策の効果が判定できます。

《中尾真二》
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