【インタビュー】ベン・スティラー 主演&監督作『LIFE!』と“いま”にかける思い | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【インタビュー】ベン・スティラー 主演&監督作『LIFE!』と“いま”にかける思い

エンタメ 映画・ドラマ
5年ぶりに来日したベン・スティラー
  • 5年ぶりに来日したベン・スティラー
  • 『LIFE!』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
  • 『LIFE!』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
  • ベン・スティラー
  • 『LIFE!』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
  • 『LIFE!』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
 ハリウッドを代表するビッグスターの一人にして「僕の短所は誰よりも自分が知っているし、常に向上したいと思っている」と謙虚に語る、俳優ベン・スティラー。主演・監督・製作の三役を務めた映画『LIFE!』が本日公開。ごく平凡で地味なサラリーマンが、ある日、それまで空想の中でしか夢見ていなかったような旅に飛び出る。それは「いつかは」ではなく、「いま」を生きる冒険…。

 人生の転機を迎え、諦めかけていた夢を追う主人公に、働き盛りのビジネスパーソンこそ共感必至の本作について、公開直前に来日したスティラーが語ってくれた。

 スティラー演じる主人公・ウォルターは雑誌「LIFE」の写真管理部で働くサエない男。日々空想の中では、ヒーローになったり、気になる女性をものにしたりするが、現実では何も行動できないウォルターが、雑誌の廃刊決定をきっかけにとある冒険に旅出ることになる。物語のテーマについて、スティラーはこう分析する。
 「脚本を手掛けたスティーヴン・コンラッドは、ウォルターのように努力家だけど日の目を見ない平凡な人間を深く理解していると思う。そういう人間には、多くの人が共感出来る。僕のように注目を浴びている人間でさえ、心のどこかで、本当の自分は理解されていないと感じるもの。決して多くの人に理解される必要はなくて、ウォルターにとっては、写真家のショーン一人。それで十分なんだ」。

 ウォルターが経験する様々な冒険。語るスティラーの言葉からは、彼の仕事観も垣間見える。
 「若い頃は、人に認められるためや、評価されるために仕事するけど、ある年齢に達すると、自分のために仕事するようになる。ウォルターだって最初は会社のため、あるいは気になっている女性に評価されたいがためだったかもしれないが、次第に自分のために旅に出るようになる。どんなに頑張っても、最終的にそれを理解しているのは自分だけ。だから自分のために仕事することが大切なんだ」。

 海から山へと、旅を彩る大迫力のロケーションも本作の見どころ。アイスランドでは、スティラー自ら極寒の海に飛び込み、体をはった。
 「僕はなるべく臨場感、リアリティにこだわって撮影したかったんだ。海のシーンは、最も天候が激しく波の荒い9月まで待って、いちばん最後に撮影した。めちゃくちゃな状況だったしとにかく寒かったけど、俳優の僕としては演技する必要がなかったから楽だったかな(笑)。実際に怖くて凍えそうだったからね」。

 さらに印象に残るシーンとして、山の上ででショーン・ペン演じる写真家と二人きりのシーンも挙げる。
 「とてもシンプルなシーンだけど、映画を象徴するようなシーンだ。一日で撮影しなければならなかったし、辿り着くだけで大変だった。でもショーンも現場を大切にするフィルムメーカーで、撮影にはとても協力的だった。このシーンの時だって、撮影が終わると自ら機材を運び下山を始めたんだ。それを見て、僕も彼を見習わなきゃ、って反省したよ(笑)」。

 ちなみにスティラー自身、これまで経験した人生を変えるような冒険は…?
 「たくさんあるよ! 人生そのもの、毎日が冒険だね。旅するのも好きだし、初めて訪れる場所、例えば5~6年前にアフリカへ行った時なんかは、僕だちが当たり前と思っているような生活が欠けていて、すごく衝撃的な体験だった。大地震の後のハイチを訪れた時もそう。視野が広がり、自分がいかに恵まれているかを感じたよ」。

 これまでコメディアンとして大成功を収めてきた彼が、このタイミングで『LIFE!』を撮ったこともまたひとつの冒険であり、転機であり、その上必然的だったのかもしれない。「一瞬一瞬を大切にしたいし、年を重ねれば重ねるほど、人生はとても早く過ぎ去っていくものだと感じる」と話す。
 「僕には二人の子どもがいるんだけど、彼らの成長は本当に早いし、人生は永久的なものではないということを日々実感しているよ。それは若かった頃より、確実に強く感じている」。そして、「少なくとも10年前よりいま、より良い人間になっていると思いたいし、様々な経験をして将来はさらに成長していたい」と向上心を強調する。

 最後に訊いてみた。いまだ実現出来てないけど、やりたいと思っていることは?
 「もっと子どもたちと一緒に旅行がしたいな。今回は連れて来られなかったけど、日本にも連れて来たい。世界のいろいろな文化を一緒に体験して、楽しみたいよ!」