NTT、光子を用いた量子コンピュータの鍵となる「量子バッファ」を世界初実現 | RBB TODAY
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NTT、光子を用いた量子コンピュータの鍵となる「量子バッファ」を世界初実現

エンタープライズ その他
光子を用いた量子コンピュータ
  • 光子を用いた量子コンピュータ
  • 量子バッファの役割
  • 結合ナノ共振器による光子の遅延実験結果
  • 量子コンピュータの基本素子
 日本電信電話(NTT)は11月13日、光導波路上にオンチップで集積化した「量子バッファ」を世界で初めて実現したことを発表した。これにより、光子の正確な同期を達成できることから、光子を基本素子とした量子コンピュータ実現の可能性が高まったという。

 量子コンピュータを構成する基本要素「量子ビット」に何を用いて、それをどのように安定に保持し、相互作用させるかについて、さまざまな方式が提唱されている。とくに「光子」は、環境との相互作用がほとんどないことから、他の手法に比べてノイズ耐性に優れた量子ビットとして、期待されている。量子ビット同士を相互作用させ演算操作を行うには、「量子ゲート」が必要だが、光子の到着時刻を調整することで、量子ゲートの動作を達成する「量子バッファ」の実現が先行課題となっていた。

 今回NTT研究所では、光子パルスが光導波路中を進む速度が、真空中の光速より大幅に遅くなる「スローライト」効果を用いることで、「量子バッファ」を実現した。シリコンフォトニック結晶技術を用いて作製した結合ナノ共振器中で、光子パルスがそのパルス形状を保ったまま真空中の光速より大幅に遅い速度で伝搬することを利用した。本デバイスの採用により、光子パルスの形状を保持したままパルス伝搬の大幅な減速(真空中の光速の1/60程度)を実現した。

 今後は、量子バッファに加え、導波路上に集積化した高効率光子検出器の作製を行うなど、量子コンピュータの実現に向けた要素技術の研究を進める方針だ。
《冨岡晶》
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