水と油が混ざる不思議な現象「乳化」、そのチカラの応用は? | RBB TODAY
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水と油が混ざる不思議な現象「乳化」、そのチカラの応用は?

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界面活性剤(乳化剤)の活用例
  • 界面活性剤(乳化剤)の活用例
  • マヨネーズの水溶液の顕微鏡写真
  • 界面活性剤の作用一例
  • 「水による口腔内の洗浄効果」の実験方法とその結果
 「水と油」ということわざがあるように、本来は混ざらないはずの水と油が混ざる不思議な現象が「乳化」だ。キリン「アルカリイオンの水通信Vol.7」では、この「乳化」に焦点をあてて、その豆知識を紹介している。

■「乳化」した液体、その特徴

 乳化では、ある条件がそろったときに、水と油が均一に混じり合う。一般的な条件としては、「乳化成分(乳化剤)が加わる」ことなどがあげられる。乳化剤をはじめ、水分と油分をなじませる働きをもっている成分は「界面活性剤」と呼ばれ、身の回りに、「界面活性」のメリットを活かした日用品や食べ物がたくさんある。界面活性剤(乳化剤)の活用例としては、洗剤、化粧品、接着剤、バターやマーガリン、アイスクリームなど、さまざまなものがあげられる。

 合成添加物のイメージを持ちやすい界面活性剤だが、天然成分のものも数多く存在し、動物が生まれて初めて接する「母乳」も、実はその1つだという。母乳に含まれる栄養素や免疫成分、とくに脂肪が小さな粒子で均一に混じっているのは、特殊な脂肪とタンパク質でできている「乳脂肪球膜」が界面活性剤となっているからだ。また「石鹸」は、5000年前から使われてきた界面活性剤。油や泥を石鹸が包み込み、汚れ成分を水のなかに取り込んで落とす。

■ 「弱アルカリ性」によって起こる油滴の分散

 これらに代表される「洗浄効果」は、実は界面活性剤以外の物質にも見られる。油成分である脂肪酸は、「アルカリ性物質」でも乳化し溶けるという性質がある。溶かされた脂肪はグリセリンと脂肪酸塩に分解される。この脂肪酸ナトリウム塩(脂肪酸塩)は石鹸の主成分。つまりアルカリ性物質は、脂肪を一種の石鹸に変えてしまうのだという。炭酸ソーダは界面活性剤を含まないが、pHが11.4のアルカリ性物質のため、油汚れを落とすのに効果的だ。強アルカリ性の苛性ソーダや苛性カリは、石鹸の材料ともなっている。

 このように、アルカリ性物質には、油を乳化・分散させる作用がある。キリンが実験したところ、弱アルカリ性(pH8.8~9.4)の水のほうが、中性の水(pH6.5~7.0)に比べ、マヨネーズの油とタンパク質をバラバラに分け、油滴がより細かくなったとしている。これはいわゆる「乳化」と同じ現象と言え、「油分をさっぱりと洗い流す効果が中性の水よりも高い」と考えられる。

 この違いは、食事などで心当たりのある人も多いだろう。油分を多く含む食事のときに、飲料によって感じ方が変わるかどうかという官能試験をキリンが行ったところ、「弱アルカリ性の水のほうが、中性の水よりもさっぱり感を高く感じやすい」という結果が出たという(油脂残存感が1.3倍低下)。比較したのはいずれも無味無臭で炭酸ガスを含有しない市販の容器詰め飲料水であることから、この「さっぱり感」が“弱アルカリ性というpH”から生まれたものと推測されている。

 これまでは利き酒やワインテイスティングで使われていた「水による口内リセット」が、脂っこい料理に対しても有効な可能性がある。肉料理の最中、さらには翌日などに、口中に脂っこさを感じたとき、アルカリ性飲料でリセットするといいかもしれない。
《冨岡晶》
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