【インタビュー】ベネッセ「チャレンジ タブレット」開発者……学習環境ごと提供 | RBB TODAY
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【インタビュー】ベネッセ「チャレンジ タブレット」開発者……学習環境ごと提供

IT・デジタル ノートPC
チャレンジ タブレット(試作品。画面も)
  • チャレンジ タブレット(試作品。画面も)
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 2月11日、ベネッセコーポレーションは進研ゼミ『中一講座』4月号から導入されるAndroid OS搭載の自社開発7インチタブレットPC「チャレンジ タブレット」の発表会を行なった。

 チャレンジ タブレットは、『中一講座』を年間購読し、なおかつタブレットPCの申し込みを済ませた読者に無償で提供される。本体・コンテンツ共に無償という、破格のサービスだ。

 このタブレットPCは、『中一講座』のメインテキスト「チャレンジ」を一層活用するための端末で、OSはAndoroid 2.3.7を搭載。チャレンジ タブレットとインターネット回線さえあれば、いつでもサービスを受けられるのが魅力だ。毎週決まった時間に行なわれる「双方向ライブ授業」や、テキストの解説を動画で行なってくれる「動く!答えの本」、購読者の状況に応じて先生がメッセージを送ってくれる「声かけサービス」など、これまでにない通信教育サービスを提供する。

 もちろん、Androidタブレットなので、アプリケーションのインストールも可能。ただし強固なペアレンタルコントロール機能を搭載しているため、インストールに制限をかけることも可能だ。

 ベネッセコーポレーション中学生事業部長・小野祐輝氏にお話を伺った。


--- このサービスを行なうに当たり、アプリケーションでの提供ではなく、あえて端末まで開発された理由は?

小野:タブレットが中学生の家庭にどれだけ普及しているのかを調査したら、まだまだ普及率は低いんですね。我々は2008年ごろからウェブサービスを行なっているのですが、中学生がなかなかアクセスしてくれないのが悩みでした。いまの中学生は忙しく、平日は部活もあります。それに一家に一台のパソコンだと、パソコンを起動するのも面倒だったり、親に気を使っている中学生も多いのです。これでは敷居が高いので、学習環境ごと提供していくことで、我々の学習コンテンツにアクセスしてもらうようにしました。

--- 端末もサービスも無料と発表されましたが。

小野:通信教育で月額の受講料をいただいていますので、1年間受講していただければ無料で使えます。ただし、途中で解約されたお客様には、規定の金額を払っていただきます。

--- どれくらいのユーザーを見込んでいますか?

小野:2012年10月に発表したときは、初年度は約10万台くらいを想定していました。これは中学1年生全会員の約4割です。いま、ちょうど受注をいただいている状態なのですが、いまのところ順調で、目標を上回る勢いです。

--- この「チャレンジ タブレット」の構想はいつから始まったのですか?

小野:パソコンでのサービスを開始した2008年のころは、「タブレット端末」のようなコンセプトのデバイスはありませんでした。それが2010年ごろからiPadが出て、タブレットが徐々に普及してきました。そこで我々は、2011年の半ばくらいから、チャレンジ タブレットの企画を進めてきました。

--- 本体のデザインで気をつけた点は?

小野:バッテリー駆動なので外でも使えますが、基本的には中学生が勉強するとき、紙のテキストの隣に置いてもらうように設計しています。そこで、目に優しく、使いやすいようにスタンドをつけました。立てる方向によって、斜めに置いたり、立てて使ったりできます。

内部の仕様については、インターネットにフルアクセスできることを懸念する親御さんが多いため、有害サイトなどにはアクセスできないようにしています。また、ペアレンタルコントロール機能をつけて、アプリケーションのインストールも制限をかけられます。中学1年生から安心して使っていただけるように、「親モード」と「子モード」を切り替えられます。この仕様は特に気を使って開発しています。

--- OSをAndroid 2.3.7にした理由は?

小野:我々のサービスに最新のOSは必要がないと判断したからです。最新版を使うよりも、我々が安全にカスタマイズでき、信頼性も保てるAndroid 2.3を選びました。OS自体には手を加えていませんが、その上で動作させるプログラムを開発しています。

--- アプリケーションのインストールやウェブの閲覧は、どのように行ないますか?

小野:Google Playは親御さんがオーケーを出したものだけがインストールできます。ですが、親御さんによってはアプリのダウンロードもYouTubeも見せたくないというケースがあるので、その場合は一切できないように制限をかけることも可能です。そうすれば、弊社の学習コンテンツだけ使えるようにできます。

--- バッテリーの持続時間はどのくらいですか?

小野:学習机で使っていただくように想定していますが、ちょっと移動して使いたいときのために3時間くらいは持つようにしています。本体のスペックは、スピーカーとSDカードスロット、システムメモリー1GB、ユーザーメモリー4GB。それと背面に200万画素のカメラも搭載しています。

--- 今後、カメラはどのようなコンテンツで使用しますか?

小野:まだ具体的なお話できませんが、開発中です。自分の解答を写真に撮って送ってもらうとか、そんなサービスもできますよね。近いところでは、教育ではなくて遊びのためのアプリケーションで、撮った写真にフレームがつくようなアプリを作っています。これは子供のモチベーションを上げるためのアプリケーションです。

--- オフラインでできることはありますか?

小野:弊社が作っている紙の「チャレンジ英和辞典」と「チャレンジ和英辞典」という教材があるのですが、そのリソースを使った電子辞書が2冊分インストールされています。これはオフラインでも使えます。お得感は感じていただけると思います。

--- 紙の「チャレンジ」と「チャレンジ タブレット」で提供される問題は同じものですか? 異なっていますか?

小野:差別化しています。2008年からウェブのコンテンツをしばらく提供してきて、紙に向いている教材とデジタルに向いている教材は違うことがわかってきました。お子さんの利用状況を見ていても、その傾向ははっきりしています。いまの教育教材のなかで紙が主流ですが、デジタルは「定着」させるための教材に向いています。暗記したり繰り返したり、どの問題を間違えたのかをストックしたり、そんな教材が特に適しています。ですので基本的な理解は紙で、繰り返したりテスト前に見なおしたりする問題は、チャレンジ タブレットのなかに貯めていけば効率的に学習できます。「紙は理解、デジタルは定着」といった考え方です。

--- デジタルならではのサービスは?

小野:1万以上あるWeb演習問題は、本誌と完全に連動しています。チャレンジとウェブで連動させるのは、実は簡単なようでいて難しいんです。このコンテンツのいいところは、間違ったところだけを自動的に集めてくれる「ニガテ解消BOX」。これは紙ではできませんね。過去に間違った問題だけをテスト前に解きなおすことができるのは、デジタルならではのサービスです。

--- 先生にネット経由で質問ができる「教科質問ひろば」は、SNS時代のサービスですね。

小野:チャレンジ タブレットから質問してもらえると、翌日の17時には回答をお戻しするサービスです。本当はもっと早く回答したいのですが、我々の回答は、その回答で間違いがないかどうかを慎重にチェックしてからお答えしているので、どうしても時間がかかってしまいます。

--- ライブ授業についてお聞かせください。

小野:毎週1回、決まった時間に「数学」の授業を配信します。配信の基盤はUstreamを使っています。この「ライブ授業」はいつでもアーカイブは見られるのですが、ライブでの受講をお勧めしています。というのも、時間を決めたペースメイキングは通信教育を長く続けるコツなんです。毎週決まった時間にライブで見て「みんなで授業を受けている」という環境を味わってほしいですね。それにライブで受講していただければ、全国の中学生の一斉回答にも参加できます。

--- 現在数学だけのライブ授業ですが、今後反響次第で他の授業も配信されますか?

小野:そうですね。状況を見てから判断したいと思います。それと、長期休暇の時期に「夏期講習」とか、何日間か連続でやるようなことも考えています。夏期講習はいまでもウェブでもやっていますから。

--- いまの若いお子さんはネットで動画を見ることにどう思っているのでしょうか?

小野:当社の調査結果によると、中学生の家庭のブロードバンド普及率は8割くらいで、WiFiが入っているのは5割くらい。そして、中学2年生の約6割がYouTubeを見ているそうです。好きな映像を選んで見ているんですね。なので我々がネットで配信するライブ授業には、なにも違和感なく受講してもらえると思います。ひと昔前の「ラジオ」のような感じなのかもしれません。いい反響が得られることを期待しています。
《佐藤隆博》
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