アプリの海外展開で失敗しないためには?……パネルディスカッション | RBB TODAY
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アプリの海外展開で失敗しないためには?……パネルディスカッション

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アプリの海外展開で失敗しないためには?さまざまな意見が飛び出したパネルディスカッション
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CRI・ミドルウェアが11月13日に開催した「海外マーケティング×モバイル開発技術セミナー/新規市場を小さな投資で大きく開拓 海外展開の壁をグローカライズで突破せよ!」では、議論をまとめる形で、最後にパネルディスカッションが開催されました。

パネリストはデロイトトーマツ コンサルティングから、セミナーの基調講演も務めた八子知礼氏と中山敦雄氏。Wowmax Media LLCの海部正樹氏。CRI・ミドルウェアの押見正雄氏。そしてTwitterのつぶやきがコミックになるアプリ『Feel on! POST』をリリースし、英語版がインドネシアのApp Storeでコミュニケーション部門の第1位を記録した、L is Bの横井太輔氏です。なおモデレータはCRI社の幅朝徳氏が務めました。

■西海岸では、どーもくんが大ヒット?

第一の質問は「ローカライズやグローバル展開がしやすいアプリは何か」というもの。これには海部氏が「できるだけ説明不要なもの」と即答しました。アクションゲームのように動詞1つで内容が説明できるものが最適というわけです。そうしたアプリが必ずしも成功するわけではないが、その方が海外展開しやすいのは事実だとされました。

また八子氏は「当初から海外展開を前提にしていないものは、一般的に難しい。また国内向けに作られているアプリの中には、あえて海外展開する意味がないものもある」と警鐘を鳴らしました。これについては横井氏も、『Feel on! POST』の英語版開発が、カナダの開発スタジオと共同で1年かかったとコメント。逆に日本人が作ったものでも、カメラ系などのアプリなどは、比較的海外展開に成功していると補足されました。

続いて「アプリマーケットで日本のアプリがヒットを収めにくい理由は?」という質問に対して、中山氏は「そもそも『売れた』という基準値が高すぎるのでは?」と疑問を提示。費用対効果の視点で見ると、フィーチャーフォン時代のソーシャルゲームはファミコンバブル時よりも利益率が高く、スマートフォン時代になってもスーパーファミコン時代程度には稼げていると指摘しました。

また海部氏は「(Youtubeで全米に火がついた)韓国人ラッパーの江南スタイルのように、本当に優れたものなら口コミで広がる」とコメント。そのうえで中途半端にローカライズするのではなく、思いっきり日本スタイルを貫くか、海外市場を前提に作り込むか、どちらかに決めた方が良いと話しました。ちなみに西海岸ではNHKのキャラクター「どーもくん」が大ブレイクしているが、メイドインジャパンだとは知られていないそうです。

■社内のネガティブな声をどう解決する?

「海外展開で苦労している点」という質問に対して、横井氏は「今も苦労している最中」だとしつつ、やはり言葉の壁が大きいとしました。同社の「Feel on! POST」はツイートの内容に応じて漫画風のイラストが自動生成されるというものですが、アプリを見せて驚かれても、なかなか海外展開に結びつかなかったそうです。本気で海外展開を行うには、海外に拠点を設置し、海外スタッフを登用する必要があるが、スタートアップ企業では難しいとコメントしました。

ちなみに『Feel on! POST』のインドネシアでの成功についても「インドネシアではブラックベリーが大人気で、iPhoneの普及台数が少ないことが背景にあるのでは」と冷静に自己分析していました。マーケティングを積極的にしたわけでもなく、シンガポールでのイベントでプレゼンしたところ、口コミで広がったといいます。もっともダウンロード数も日本の半分以下というのが現状で、貨幣価値が違うため、売上も立ちにくいのが現状。それでも海外からの取材を受けるなど、ビジネスのネタが多数生まれたのはメリットだったと回答されました。

続いての質問は「海外展開を行う上で、社内にネガティブな声が多いが?」というもの。これについて八子氏は「社外の人脈やネットワークをうまく使おう」とコメント。SNSなどを通して、海外の人と直接つながれる時代なので、これらを活用するのも手だとされました。押見氏も同意見で「既存のワークシートにおさまらない案件は敬遠されがち」と認めつつ、草の根的なコミュニティの力が会社を動かすこともあると補足。うまくネットワークを広げていこうと回答しました。

一方で中山氏は「会社は一度失敗してしまうと、なかなか負の体験から抜け出せない」とコメントし、初期の段階で不用意に失敗しないことが重要だと提言しました。そのためリクープラインを入念に調整し、過剰な期待感を持たないようにすること。そして小さいことからコツコツと成功体験を重ねていくことが重要だとしました。

■50年後の日本市場はどうなる?

「海外展開を行う上で陥りやすい失敗は?」という質問に対しては、海部氏が「日本流の押しつけになってはいけない」と回答しました。アメリカでは失敗したときに、その理由についてキチンと説明するように教育されるそうですが、これが往々にして日本人にとっては後ろ向きで、言い訳ばかりしているように聞こえるそうです。ここをきちんと受け止めて、公正に対応することが重要だと説明されました。

一方八子氏は「経営者が過剰な期待を抱く一方で、社内のエース部隊を投入しないため、失敗確率が高まるばかりか、落胆も激しくなる」と指摘。特に最近では日本企業が一社で進出するのではなく、集団で攻めていく姿勢が重要だと回答しました。

最後の質問はズバリ「これからの日本はどうなる?」というもの。中山氏は書籍「2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する」で、日本はGDPが世界第9位に後退し、文化は豊かだが政治的・経済的に混乱が続く、イタリアと似たポジションの国になると分析されていると紹介しました。そして、この是非の判断はできないが、個人的には何もない海外の草原で汗を流す方が楽しいと回答されました。

八子氏も国内経済は今後縮小均衡に向かうが、人口がそれなりに大きいため、今後20年間くらいは大丈夫ではないかと予測。しかし50年後どうなっているかは、わからないと回答しました。そして今のうちにがんばって海外市場に出て行くことが重要で、そのためには商品やサービスのバランスについて再考することも必要だとしました。日本企業は得てして細部まで作り込もうとするが、採算面についての意識も必要というわけです。

海部氏は「ロサンゼルスに住むメリットの一つは、ハリウッドの映画プロデューサーと友達になれる可能性があること」と会場を沸かした後で、彼らが日本は(浮世絵のように)独自の文化=ハイ・カルチャーを生み出せる国だとみなしていると紹介しました。中でもゲームやアプリはクリエイターの考えを素直に出しやすいコンテンツではないかと指摘。後の世代に恥ずかしくない仕事をしていきたいと語りました。

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《小野憲史@INSIDE》
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