【インタビュー】水平型のソリューションモデルを活かした中小企業のモバイル活用 | RBB TODAY
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【インタビュー】水平型のソリューションモデルを活かした中小企業のモバイル活用

エンタープライズ 企業
ソフトバンクモバイル プロダクト・マーケティング本部 法人モバイルソリューション統括部 ビジネスマネジメント部 部長 杉田弘明氏
  • ソフトバンクモバイル プロダクト・マーケティング本部 法人モバイルソリューション統括部 ビジネスマネジメント部 部長 杉田弘明氏
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 昨今、中小企業向けのITソリューションが、PCやサーバーといった従来型のシステムから、アウトソース、クラウド利用、スマートフォンやタブレットといった形へシフトしつつある。連動して、携帯電話キャリアが提供する法人向けソリューションも変わりつつある。

 企業のモバイル活用のひとつにiPadを用いたものがある。iPadを携帯キャリアとして唯一提供するソフトバンクモバイルに、中小企業のモバイル活用について聞いた。

■iPad・iPhoneの導入/企業のモバイル活用の始まり

 同社のプロダクト・マーケティング本部 法人モバイルソリューション統括部 ビジネスマネジメント部 部長 杉田弘明氏によると、スマートデバイスがビジネス用途として法人でも使われるようになったのは、2008年末頃から2009年にかけて。同社がiPhoneを導入したのが2008年の7月で、法人向けに意識されるまでには少しタイムラグがあったという。その後、Android端末などの普及も進み、スマートデバイスのビジネス利用も注目され、iPadに関しては、発売前からビジネス用途・法人向けというものが非常に意識されていたとのこと。

 iPad発売当初の法人利用としては、企業規模の大小を問わず、主にメールサービスとスケジュール管理が定番だった。それは、そもそも自社で導入しているグループウェアやメールシステムと、容易に連携できるデバイスとしてニーズがあったからで、特に、新たな設備投資やシステム構築にあまりコストをかけられない中小企業にはうってつけの製品だったのだろう。

 そうして、iPadやiPhoneをはじめとしたスマートデバイスの企業利用が広まるにつれ、企業向けに特化したアプリケーションも加速度的に増加。ソフトバンクモバイルでは、「SoftBank Solution Provider PREMIUM」(SSP PREMIUM)というパートナープログラムを用意しており、サードバーティーによる法人向けのアプリケーションやソリューションの開発支援を行っている。中小企業の法人ユーザーは、このようなプログラム、代理店経由のソリューション、あるいはアプリマーケットなどを通じて、最適なソリューションを最適な導入コストで利用できる。

■中小企業、モバイル活用の事例

 こういったオープンな水平展開による中小企業向けソリューションにはどのような事例があるのだろうか。特徴的なものを杉田氏にいくつか紹介してもらった。

 「石川県のバス会社ですが、専用のアルコール検知器の代わりにスマートフォンを使ったソリューションを利用しています。このソリューションを開発した会社も中小企業ですが、アルコールセンサーとスマートフォンのアプリで検知器を実現しています。バス会社の携帯できるアルコール検知器の数が十分でないことが問題になっていますが、このソリューションなら高価な検知器を運転手全員に用意しなくても、手軽にアルコール検知を実施することが可能です。また、この会社ではドライブレコーダにもスマートフォンを利用しています。」

 高価な専用機器の代わりに、安価なセンサーとスマートフォン(アプリ)を組み合わせて代用した事例で、メールとスケジュール管理が主だった頃を考えると、企業のモバイル活用の範疇が大きく広がっていることが伺える。また、杉田氏は、このソリューションについてタブレット上の動画コンテンツを再生しながら説明してくれたが、このコンテンツは、前述のSSP PREMIUMの一環としてソフトバンクモバイルがプロモーションのために制作したものだという。

 同社の通信機能付デジタルフォトフレーム、PhotoVisionを利用した事例も紹介された。これは、北海道の建築会社が始めた使い方で、施工主にPhotoVisionを貸し出して、新築や改築の状況を随時確認してもらうというサービスだ。現場では、携帯電話で写真を撮影してメールでPhotoVisionに送信するだけという、システムとしては極めて単純なソリューションだが、施工主はリアルタイムで現場の状況が確認でき、現場の負担も少ないということで好評を得ているそうだ。このソリューションはもちろんiPadやその他タブレットでも実現できるが、さらにシンプルに用途を絞ることで、誰にでも使いやすく、負担の少ないサービスとなっている。

 同社は、パートナーを支援する取り組みとしてソリューションの公募も実施している。第1回の公募には、大企業からベンチャー企業まで100社以上の応募があったといい、同じファイルに複数のユーザーが同時に手書き編集できる、「Drawon」というアイデア共有クラウドアプリが採用された。これはiPad/iPhone向けのアプリで、利用登録50人までであれば月額15750円と、比較的安価に導入できるものだ。開発企業も決して規模の大きいところではなく、中小企業目線でのニーズが反映されたソリューションであるといえる。

■個々のニーズを具現化する、中小企業のモバイル活用

 以前インタビューした大塚商会では、スマートフォンやタブレットの利活用について、ベンダーからの提案よりもユーザー側のニーズが先にあって、相談や問い合わせをしてくる例が多いと述べていた。また今回インタビューした杉田氏の話によれば、スマホや高機能PCの普及が進み、iPhoneやiPad、個人で使用しているPCなどが、会社で使っているものよりも高スペックである場合が増えてきたため、それらを使えばこんなことが(仕事で)できるのではないか、という声が出始めたのだという。会社としてIT化が遅れていても、個々の社員からニーズが生まれつつある場合も増えているということだ。

 こういった市場の動向は、提供する側が垂直型ですべてを用意して管理する時代は終わりつつあることを示してはいないだろうか。そうであれば、これからのソリューションは、オープンなパートナー戦略との親和性が高いといえる。とくに中小企業にとっては、すべてがおまかせの「定食」型のソリューションより、水平型のモデルによって、自社の規模やサービス内容に応じて複数のサードパーティのものから必要なものを選択するスタイルのほうが、クラウドとの相性もよく、導入しやすいモデルといえるだろう。
《中尾真二》
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