次世代移動通信システム国際標準である3G-LTE(3rd Generation-Long Term Evolution)向けの高速無線伝送・アクセス制御技術群(OFDM : Orthogonal Frequency Division Multiplexingベースの高速・低遅延無線伝送方式、アクセス制御RRC : Radio Resource Control / MAC : Medium Access Controlプロトコル)を開発し、その規格化に貢献した。高速・低遅延の伝送を行うためには、さまざまな制御情報の送信が必須であり、制御情報伝送の効率化が重要である。筆者らは、報知情報を固定リソースで送信する情報と可変リソースで送信する情報とに分割送信する方法を開発し、セル・トラヒック状況に応じた柔軟な運用を可能とした。また、高スループット伝送に必須の適応データ送信技術に必要となるL1/L2制御情報の送信方法として、帯域割り当て端末数に基づき制御チャネル送信用の全無線リソース量制御を行うとともに、伝搬路品質状況に基づき各端末の制御チャネル割り当て無線リソース量を制御することにより、データ送信の周波数利用率を向上させた。
そこで、柔軟な運用とともに高効率な報知情報伝送のために、報知情報を固定リソースで送信する情報と可変リソースで送信する情報とに分割し、セル環境やオペレータ要求に応じた柔軟な運用を可能とする方式を開発した6) 。また、帯域割り当て端末数に基づきL1/L2制御情報送信のための物理チャネルPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)に用いる全無線リソース量の最適化を行う適応オーバーヘッド制御(ACSOC : Adaptive Control Signaling Overhead Control)とともに、伝搬路状況に基づき各端末へのPDCCH割り当てリソース量を制御する制御信号リンクアダプテーション(CSLA : Control SignalingLink Adaptation)を開発した。
上記の動作を効率よく行うために、SIB2~9に対してSIwindow(System Information window)と呼ばれる繰り返し送信を行う期間が設定される。このSI windowはSIBごとに決められており、その時間内のみで報知情報の繰り返し送信を行うことにより、端末は特別な通知なしにSIBごとに合成処理が行える。SI windowの長さおよびSIwindow内の繰り返し送信回数は基地局が設定できる。このため、端末のデータ送信に使用するための無線リソースを考慮しながら、サブフレームあたりの報知情報に使用する無線リソース量を制御でき、端末の消費電力低減を図ることが可能である。