香りや手触りまで再現 ~ NICT、正倉院宝物や高松塚壁画をバーチャル体験できる「デジタルミュージアム」公開
NICTでは、超臨場感コミュニケーション技術の一環として研究開発をすすめている多感覚インタラクション技術、貴重な文化財をデジタル化して長期に亘る保存や情報共有を可能とするための超高精細映像の表示技術、個人の体験に合わせて文化財の観賞を可能としたミュージアム支援技術の研究開発を進めている。これらの技術をバーチャルとリアルの本格融合したミュージアム展示へ応用し、あたかもそこに実物があるかのごとく五感で体験できるシステムを開発。現在開催中の「平城遷都1300年祭」で展示し、7月31日から「平城京なりきり体験館」にて公開する。今回展示されるのは、正倉院宝物「銀薫爐」、国宝高松塚古墳壁画の西壁「女子群像」・北壁「玄武」、平城京時代の奈良をCGで再現した3次元地図の3点。
「多感覚インタラクションシステム」では、正倉院宝物「銀薫爐」があたかも手元にあるがごとくバーチャルに再現し、見て、聞いて、触れるだけでなく、さらに奈良時代の人が体験したであろう香りも再現した。銀薫爐は天平勝宝8歳(756年)7月26日に光明皇后が東大寺盧舎那仏に献納された宝物。精巧に模した模造品の形状やテクスチャを非接触のデジタイザーで取得し、3次元モデルを構築し、そこに硬さ、接触音、香りを付与して、五感で体験可能とした。
「超高精細映像表示システム」では、国宝の「高松塚古墳壁画」をNICTが開発した高速画像表示技術を用いて、リアルタイムに見たい箇所のインタラクティブ表示を実現。携帯端末を用いてズームイン・ズームアウトや左右ターンなどの操作を可能とした。また、テラヘルツ技術を用いて壁画内部の非破壊調査を行い、保存修復のための有益な情報を取得するとともに可視化を実現した。高松塚古墳は7世紀末から8世紀初めに築造された古墳であり、石室内部(内法:奥行2.6メートル,幅1.0メートル,高さ1.1メートル)に星辰(星宿)図、日月像 及び四神図、人物群像(女子群像,男子群像)が描かれた壁画古墳。
さらに、NICTが開発した写真と地図とのマッピング技術を活用したアプリケーションと、平城京時代の奈良をCGで再現した3次元地図とで連携。ミュージアム所蔵の文化財(平城京時代の3次元地図)に各人のミュージアム外での体験(写真撮影)を関連付けることで、写真を撮影した場所が、平城京時代にどのような場所であったかを体験できるシステムを構築した。
NICTでは、今後はこれらの技術をさらに発展させて、実物がなくても貴重な文化財をバーチャルに五感で体験できる今までにない新しい「デジタルミュージアム」の実現を目指すとしている。
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