インフラと国際競争力は関係あるのか?——総務省タスクフォース・検討部会
とソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は切りだした。
先週開催された総務省のタスクフォースはインターネットで視聴することができる。孫氏はパネルを用意してインターネットで全国民が確認できる状況で説明をしようと準備しつつも、パネルで見せるよりもファイルが動画と合わせて表示される状況が良いのではないかと質問したという。「しかし、ファイルがうまいこといかないんだと言う。何故だと聞いてみたら、日本の通信政策の本部であるこの総務省のビルがISDN2本でつながってると。64kbit/sec。メガにもいってない。これが日本の通信の総本部である総務省の、大きな立派な建物のなかの設備状況であるということを聞いて愕然とした」(孫氏)。インターネットは世界中の人々が観ることができる状況になっているが、このような状況にあることは問題であると考えるべきだと指摘した。
ISDNの推進で失われた10年を作りだし、競争力をなくしてしまったという氏の見解は記事で紹介したが、部会ではインフラと上位レイヤーの関係についても各事業者に質問が飛んだ。「国内ではうまく競争が起きているところと、そうでないところがあるようだ。競争が盛んになっているところは国際プレゼンスが高いのか?競争がおきていても、国際プレゼンスが高くないのはなぜか?」という点と、上位レイヤーとインフラとの関係においてインフラ競争がおきればAmazonやGoogleのような企業が生まれるのか?どういうところを変えていけば上位レイヤーがうまくいくのか?という点だ。
これに対しては、ほとんどの事業者が上位レイヤーとインフラには相関関係がないとの見解を示した。ただ、国内競争力がないところでは国際競争力も育たないとの意見で一致していたように思われる。
ジュピターテレコムのジュピターテレコム代表取締役社長の森泉知行氏は「これからは双方向サービスが重要になってくる、それには自前のインフラを持つことが大切だと思っている。NTTが放送に参入して厳しい戦いになってるが、それでも持ちこたえているのは自前のインフラをもっているからだ」とCATVの現状を説明しながらも、そのインフラと上位レイヤーとの関係は直接はないという認識だ。「新たなサービスというのは大学をドロップアウトした人とか学生が作り上げている」として、これが日本で起きない理由として、日本が積極的にそういう人を支援しようという仕組みがない点、自分から発想するのが苦手である特性などを挙げた。
一方でソフトバンクの孫正義氏は、下位レイヤーのインフラも関係あるとの認識を示した。まず氏は「(GoogleやAmazonと)少なくとも同じようなサービスで一生懸命頑張っているのはYahoo!、楽天、SBI証券といったところで、つまりNTTグループがほとんど活躍していない分野だろう」「直接本業としてやってる者たちを呼んで、その場で彼らがもっと活躍するしやすくするためにはどうしたらいいかという議論をすべきだろうと思う」と指摘した。また、Yahoo!BBをはじめた時のことを引き合いに出し、次のように話した。「そもそも、Yahoo!BBを赤字出してまではじめた理由は、日本のインターネットはこの部屋のように、まさにISDNでつながっていて、NTTの料金体系の夜11時以降でないと自由につながらない状況だった。世界一高い、世界一遅いという状況で、これじゃあYahooはやってられない、アメリカの他の会社に負けてしまう。インフラが遅すぎて高すぎて、上位レイヤーが活躍しようがないということで仕方なしにNTTにADSLをやるべきだと社長にまで直訴した。しかし、そんなまがい物の技術なんか使えない、ISDNが正当な技術であり次は光ファイバー。その途中でADSLなんて要らないといって10年間失った」。このように振り返り、上位レイヤーが活躍するためには下位レイヤーが安い、速い、安心安全という状況にあり、それが競争政策によって担保されないといけないと発言した。
また、国際競争力という点では、どの部分で競争力をつけようとしているのかという視点も話題になった。KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏はデジタル化が進んだことによって、携帯電話や液晶テレビなど誰でもが作れるような時代になってしまったことは明らかだと力説。「何の技術であろうと基本的にはメーカーは作る。それが市場で勝てるかどうかというのは技術の問題ではない」「技術で標準化をにぎろうという時代は無理な時代になってきている」としたうえで、アクセス部分を含めた新しい時代の公正かつ有効な競争環境をどのように再構築し機能させるかについて早急に検討を進めていただきたいと要求した。
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