名大と富士通、“過信”を招かない情報システムの研究開始 〜 振り込め詐欺や交通事故を抑止
両者は基礎学理の研究を行い、「振り込め詐欺防止」と「交通事故抑止」を目的とする実証実験に着手するとのこと。まず期間の前半で、警察庁(警察大学校)と名古屋銀行の実験協力により、振り込め詐欺誘引通話のときの、被害者の異常な心理状態での発話や行動を検出する技術を開発し、実証実験を実施する。これにより、被害者に異常な心理状態におかれた電話であったことをアラームし、通話内容を落ち着いて再考する機会を作る。後半では、ドライバーの「認知・判断・運動」機能の低下や車載された音声対話システムによるドライバーや利用者の「とまどい」を検出する実験等を実施する予定だ。
人間がその時点で発揮しうる「認知・判断・運動」能力と、システムが人間に想定する機能との間に齟齬がある場合、両者の間には「過信」が生じる。たとえば、「振り込み詐欺」で通話相手を親類だと思い込んで暗証番号を教えてしまったため、システムがふだんは使わない遠隔のATMでの引き落としを正常処理として受け付けてしまう場合がそれに当たる。「過信」状態では本来人間が持つ能力が阻害され、結果としてシステムがそれを利用する人間の意図とはまったく異なる動作をする場合がある。この研究では、人間行動に内在する「認知・判断・運動」特性を統合的にモデル化し、観測された行動からその時点での人間の内的状態を把握する方法を確立し、「過信」を招かない情報システムの構築を図る。
この研究は、科学技術振興機構(JST)が実施する目的基礎研究事業である戦略的創造研究推進事業(CREST)の2009年度新規採択課題として、名古屋大学 大学院情報科学 研究科 武田一哉教授を研究代表者とする「行動モデルに基づく過信の抑止」が採択されたものだ。これに基づき、名古屋大学と富士通は、10月1日より振り込め詐欺防止などに向け、より実用化を目指した研究を研究を開始したという。
今後は、基礎学理の研究に加え、名古屋大学と富士通と警察大学校および名古屋銀行とで連携し、研究成果を「安心・安全」の視点から応用システムに利用可能な実用技術にまで高める予定。
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