“クラウドの現状は「過度な期待のピーク」”、ガートナーが見解発表

2009年10月9日(金) 13時05分
 ガートナー ジャパンは9日、クラウド・コンピューティングに関して、状況や定義を含めた見解を公表した。

 ガートナーでは、クラウド・コンピューティングを「スケーラブルかつ弾力性のあるITによる能力を、インターネット技術を利用し、サービスとして企業外もしくは企業内の顧客に提供するコンピューティング・モデル」と定義しており、「必要なときに必要なサービス、リソース、情報もしくは環境を、低コストかつ低エネルギーで提供する仕組み、およびそこから提供されるサービス、リソース、情報もしくは環境」として説明している。

 ガートナーのハイプサイクル(新技術普及の経過予想)によれば、この1年、クラウドコンピューティングへの関心と期待は急速に高まっており、現在は“「過度な期待」のピーク期”に位置付けられているという。そしてこれは、「市場が過熱気味であり、混乱も多く見られる状況であることを示している」としている。

 現在語られているクラウドのうち、消費者向けのクラウドは継続的な進化の過程にありながらも、すでに利用可能な状況となっているとのこと。その一方、企業ビジネス向けのクラウドについては、ほとんどが発展途上であり、利用に当たっては慎重な調査と判断が求められる状況にあるという。企業ビジネス向けのクラウドは、大きく分けて、外部クラウド・サービス・プロバイダが提供するサービスの利用を前提とする“企業外クラウド”と、企業内にクラウド・サービス・プラットフォームやインフラストラクチャを構築し、そこから企業内や企業グループ内にクラウド・サービスを提供する“企業内クラウド”に分類できる。企業外クラウドと企業内クラウドともに、現在、考え方、テクノロジ、実装、提供されるサービスなど、すべてが発展途上であるため、どちらが優れているといった比較が簡単にできる状況ではないと、その背景を説明している。

 これらの背景のもと、クラウド・コンピューティングに関して、ガートナーでは「2012年末まで、IT部門は企業外クラウド・サービスの購入よりも、企業内クラウドへの投資を優先する可能性が高い」「企業内クラウドに適切に投資していれば、今後、企業外クラウド・サービスが成熟した際に、必要に応じて企業外クラウドを段階的に利用することが簡単になる」としている。また「クラウド・コンピューティングは、これから10年をかけて、ITの提供、利用など、ITに関するすべてを変えていく可能性を持つ重要な概念でありテクノロジ」でありつつも、「クラウドとは何かが理解できていない状況も多く見られる」とし「ベンダーやインテグレーターは、クラウドをあらたな商材ととらえ、ソリューションや製品の提供に躍起になっていますが、まだまだ混乱や未消化の部分も多く、本質的な変化をとらえ切れていない側面が見受けられる」とした。

 ガートナーでは、ベンダーやインテグレーターには、これからのクラウド時代におけるビジネスとテクノロジの在り方を経営上の重要課題として十分に検討すること、さらにすべての関係者が、企業外クラウド、企業内クラウドおよび消費者向けクラウドの発展について、トレンドを継続的に注視しておくことを推奨すると結論づけている。

 なおガートナー ジャパンでは、11月11日〜13日の3日間、ホテル グランパシフィックLE DAIBA (東京・台場) にて「Gartner Symposium/ITxpo 2009」を開催する予定。Gartner Symposium/ITxpoは、ガートナーが毎年、企業の経営層および情報システム担当者向けにリサーチの集大成を発表している世界最大級の戦略的ITイベント。日本での開催は2009年で14回目を迎え、他に米国、フランスなど世界5個所で開催される。
《冨岡晶》
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