変化するプリンティング市場——ビジネスチャンスのカギを握るのは?
ガートナー ジャパン 主席アナリストの三谷智子氏による「世界プリンティング市場—市場概要と新たなビジネスチャンス」のなかで、GDP成長率における2009年の見通しでは、−3.8%のマイナス成長とされる先進国・地域に対し、前年(6.0%)よりも伸び悩みはあるものの1.5%のプラス成長が予想される新興市場(アフリカおよびアジア新興国)の、市場としての可能性が紹介された。
新興市場における出力機器の台数シェアは、2008年の45%から、2010年には48%、2013年には50%まで成長するとガートナーでは予測する。新興市場のシェアは2008年実績(出荷台数1億3,100万台・金額600億ドル)で、台数45%に対し金額30%との数値が出ており、新興市場では低価格製品へのニーズが高いことが読み取れる。今後、出力機器の単価が下がる傾向からガートナーでは、2008年〜2013年の推移として、台数ベースでは1.1%の成長が見込まれるものの、金額ベースでは−O.7%と予測している。
では、変化しているプリンティング市場において、どのようなビジネスチャンスがあるのだろうか。三谷氏は、必要な時に必要な部数だけ印刷できるオンデマンド印刷や、Web-to-Printを実現する「クラウドプリンティング」、印刷関連業務のアウトソースに対応するMPS(Managed Print Services)、企業の生産性向上と業務の効率化を実現するスマートMFP(SMFP)がそのカギを握ると説明した。
これらのサービスを、成熟度で「テクノロジーの黎明期」「過度な期待のピーク期」「幻滅期」「啓蒙活動期」「生産性の安定期」の5段階に分類した場合、クラウドプリンティングがテクノロジーの黎明期、スマートMFPは啓蒙活動期。MPSに関しては日本と欧米で異なり、欧米ではすでに啓蒙活動気に入っている一方、日本ではテクノロジーの黎明期から過度な期待のピーク期への移行期にあると、ガートナーでは分析している。日本が遅れをとっている理由としては、日本ではMPS参入企業が出力機器ベンダーのみであること、複写機・MFPの充実、実際の効果についての事例公開が少ないことなどがあげられている。
なお、上記のサービスが生産性の安定期に入るのは下記の図のとおり、クラウドプリンティングとMPS(日本)が5〜10年、スマートMFPについては2〜5年程度先と見られている。
三谷氏は、「2008年後半から世界のプリンティング市場は急速に縮小しており、2010年以降のハードウェア販売で成長が期待できるのは新興市場であり、新興市場の成長はこれまでの先進国の歩みより早い」「ハードウェアの販売とアフターセールスの売り上げから利益を得るビジネスモデルから、ソリューションやサービスベンダーの焦点は移行。ユーザーニーズを的確に把握してサービスを提供することが重要である」と説明して締めくくった。
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