相互接続、相互運用を目指す新しいInterop——村井純氏

2009年8月5日(水) 22時20分
ナノオプト・メディア 代表取締役 藤原洋氏の画像
ナノオプト・メディア 代表取締役 藤原洋氏
慶応義塾大学 教授 村井純氏の画像
慶応義塾大学 教授 村井純氏
マーケット標準の場としてのInteropの画像
マーケット標準の場としてのInterop
慶応義塾大学 教授 中村修氏の画像
慶応義塾大学 教授 中村修氏
 4日、ナノオプトニクス・エナジーがInterop Tokyoを始めとする情報通信関係のイベントについて、CMPテクノロジーから営業権の譲渡と、運営スタッフの転籍を発表した。譲渡されるイベントはInterop Tokyoの他、IPTV Summit@Inter BEEなどだが、11月には、ガリレオの天体観測400周年を記念した「世界天文博」を新規イベントとして開催する計画もあるという。

 今回の発表は、モバイルと通販関係のイベントがUBMジャパン(CMPテクノロジーの親会社)に残るが、それ以外のイベント事業が事業部ごとナノオプトニクス・エナジーの子会社であるナノオプト・メディアに移管する形になる。CMPテクノロジーのイベント事業からの事実上の撤退にも見える。

 記者発表会には、ナノオプト・メディア 代表取締役の藤原洋氏、CMPテクノロジーからナノオプト・メディア F2Fフォーラム事業部 事業部長になった大嶋康彰氏のほか、初期のころからInterop Tokyoの開催に係わってきた慶応義塾大学 教授 村井純氏、同 中村修氏らも出席して、新しいイベント事業と、次年度のInterop Tokyoの運営方針などについて発表を行った。

 まず、藤原氏がCMPテクノロジーから事業を引き継ぐ目的や背景について語った。ナノオプトニクス・エナジーはR&D型のベンチャー企業で、精密機械、光学機器の他、超電導技術の研究開発を行っている。これらの分野は産学連携が活発であり、InteropというイベントのインフラをIT以外の業界にも展開していくためと、今回の事業移管の目的を述べた。放送や自動車(ITS)業界、あるいはスマートグリッドのようなインフラ事業にもIP化は着実に浸透しており、Interopでもこれらの業界を取り込む形で、新しい提案をしていきたい、という考えだ。

 これを受けて、村井氏は、1988年ごろからInteropの開催や運営に係わっており、今回のイベント主催者の交代によって、Interopの生まれ変わりを目指すとした。なぜ、そのような変革が必要なのかという点については、Interopの本来担っていた役割をあらためて強化したいからと説明した。そもそもインターネットが学術ネットワークから商用ネットワークに発展していったとき、企業や研究者の新しい技術や製品が、実際の市場やインターネットでどの程度使えるものなのかを実証実験する場がInteropだったという。

 Interopという言葉も「Interoprability(相互運用性)」という言葉からきている。これは、さまざまな仕様の機器やシステムを連携させて動作させるということだ。新しいルーターやスイッチ、サーバーソフトウェアがIPネットワーク上でどのように相互接続できるか、それによってどんなサービスが構築できるかを企業どうしが、あくまで市場からの目線で評価しあい、研究しあう場だった。

 このような場が求められたのは、IETFがRFCという方式でインターネットの仕様を決める基本的なポリシーによるものからだという。インターネットでは、ラフコンセンサスとワーキングコードが重要視される。つまり、仕様の詳細はラフでもいいが、実際に動作するコード実装や製品の提示がなければRFCとして採用されない。紙の上で詳細まで決める一般的な国際標準とは違う文化ということだ。

 中村氏は、実証実験の機能を強化するという点について、現状のInteropのShowNet、NOC(Network Operation Center)の役割を挙げ、Interopが他のトレードショーとの差別化ポイントを述べた。各社の先端技術製品やソフトウェアを持ちより、エンジニアや学生たちがバックボーンからネットワークを構築し、さまざまな相互運用性を検証する場としてのNOCやShowNetを強化したいとの意向を示した。

 記者発表やその後の質疑応答から判断すると、2010年のInteropは原点回帰を目指すようにも思えるが、村井氏によれば、IT業界だけで実証実験や検証の場というのであれば原点回帰になってしまうが、いまやオールIP化はあらゆる業界に進んでいるとして、従来の業界や監督官庁による縦割りを超えた相互接続、相互運用を目指す新しいInteropを目指すとのことだ。
《RBB TODAY》
注目の情報[PR]

注目ニュース

Interop Tokyo 2010はナノオプト・メディアが主催——産学連携と実証実験の場を強化

 ナノオプト・メディアは4日、1日をもってCMPテクノロジーからイベント事業の一部の譲渡受け、2010年のInteropを含むイベント事業を開始すると発表した。

【Interop Tokyo 2009(Vol.10)】“Best of Show Award”2009アワードが発表

 Interop Tokyo 2009は、出展された製品やソリューション、サービスのなかから優れたものを選ぶ“Best of Show Award”を発表した。

【Interop Tokyo 2009(Vol.8)】簡単に3Dアニメーションを制作できる「T2Vプレイヤー」

 Interop Tokyo 2009のベンチャーブースにて、インターネット総合研究所(IRI)は、テキストでセリフや動作、カメラアングル等を指定するだけで、簡単に3Dアニメーションを制作できるソフト...

【Interop Tokyo 2009(Vol.5)】IRI、光通信量子暗号伝送装置を展示

 Interop Tokyo 2009のベンチャーブースにて、インターネット総合研究所は、伝送経路の物理層の暗号化技術「PHYSEC」を実装した製品を展示していた。

【Interop Tokyo 2009(Vol.3)】アイシロン、5ペタバイトのバックアップシステム

 Interop Tokyo 2009において、ストレージベンダーのアイシロンが新製品となるバックアップアクセラレータの発表と展示を行っていた。

【Interop Tokyo 2009(Vol.2)】バンテンのデジタルサイネージでRBB TODAYを宣伝してみた

 幕張で開催されているInterop Tokyo 2009では、レギュラーのITやネットワーク技術の展示以外に、デジタルサイネージの展示会(DSJ 2009)も併催されている。

【Interop Tokyo 2009(Vol.1)】Interop Tokyo 2009が開幕

 10日、IT系では国内最大級となるイベント「Interop Tokyo 2009」が幕張メッセにて開幕した。

【Interop Tokyo 2008 Vol.9】ヤマハ、3.5G携帯電話を回線に利用できる拠点間ルータ

 Interop Tokyo 2008のヤマハと住商情報システムのブースでは、3.5G携帯電話を回線に利用できる拠点間ルータ「G1」を展示している。

【Interop Tokyo 2008 Vol.8】オフィスにもSkypeを——法人向けのSkype無線LAN端末

 Interop Tokyo 2008の松下電器産業ブースでは、無線LANに対応した法人向けのSkype端末を参考出品している。

【Interop Tokyo 2008 Vol.7】水をかぶっても動き続けるL2スイッチ

 シャワーで水を浴びても動き続けるL2スイッチ。Interop Tokyo 2008の日商エレクトロニクスブースでは、カナダRuggedComのL2スイッチを展示している。

【Interop Tokyo 2008 Vol.6】“鳥の巣”をIPv6が覆う——松下電器の照明制御システム

 北京オリンピックのメイン会場「北京国家体育場」(通称:鳥の巣)がある公園をIPv6が覆う。松下電器産業は、北京市内の公園にIPv6を用いた省エネ照明制御システムを構築中だ。その概要をInterop ...

【Interop Tokyo 2008 Vol.5】地震速報を受信し暖房器具を自動停止するNGN対応ホームゲートウェイ

 「Interop Tokyo 2008」の日立製作所ブースでは、「NGN対応インテリジェントホームゲートウェイ」を展示している。外出先から自宅の家電が操作できるほか、緊急地震速報を地震すると、家電を...

【Interop Tokyo 2008 Vol.4】地球を光ファイバーのじゅうたんに——村井純氏

 「地球を光ファイバーのじゅうたんに」。「Interop Tokyo 2008」にて行われた慶應義塾大学環境情報学部教授の村井純氏による基調講演「地球とインターネット〜人と社会と科学技術のイノベーショ...

【Interop Tokyo 2008 Vol.3】Isilon IQとVMwareで拡張性と信頼性の高い仮想化技術を提供

 「Interop Tokyo 2008」のアイシロン・システムズのブースでは、同社のクラスタストレージ「Isilon IQ クラスタ ストレージ」と仮想化技術の「VMware ESX Server」...

【Interop Tokyo 2008 Vol.2】6.5Gbpsの無圧縮4kハイビジョンを大阪から幕張に伝送

 ネットワーク技術の総合イベント「Interop Tokyo 2008」は、ネットワークを用いた放送技術のイベント「IMC Tokyo 2008」と共催している。このIMCでは、朝日放送(ABC)が無...

【Interop Tokyo 2008 Vol.1】Interop Tokyo 2008開幕! 注目は、グリーンIT、コンテンツ、サービス、モバイル

 11日、千葉幕張メッセにおてInterop Tokyo 2008の展示会が開幕となった。

【Interop Tokyo 2008〜事前見所チェック】RAIDに代わる新たなスタンダードになるか!? ストレージ業界の新潮流アイシロンのクラスタストレージ

 急成長を遂げるアイシロン・システムズ日本法人の関根悟氏に、ストレージ業界の動向、IQファミリーのメリット、今後の展開、Interop Tokyo 2008に出展する同社ブースの見どころなどについて話...

RSS

特集・連載

ブロードバンド/無線LANスポット検索

ブロードバンド検索
-

ピックアップフォト