こんな404があったら!? クリエイティブアワードの審査員が入賞の秘訣を伝授
このうち、「クリエイティブアワード2009」の審査員を務める中村洋基氏(電通 コミュニケーション・デザイン・センター アートディレクター/テクニカルディレクター)と佐野勝彦氏(博報堂アイ・スタジオ 第四クリエイティブグループ 佐野チーム チームリーダ/クリエイティブディレクター)による、どうやったらアワードでグランプリがとれるか、というインスピレーションセッションの模様をお伝えする。なお、「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード 2009」のグランプリの賞金(賞金総額ではない)はなんと100万円だ。
会場は飲食のサービスが可能なライブハウス風のスペースで、プロジェクタによるスライドやデモ映像の上映こそあるが、雰囲気はライブセッション、トークショー風で、非常に熱気を感じるものだった。
最初は中村氏によるセッションだ。冒頭で、参加者にWebデザイナーであるという人、なんらかの形でFlashを使っている人が何人くらいいるかを尋ねると、それぞれ半分くらいずつの手があがった。
コンテストは一般の部と企業の部とに別れるが、中村氏は、一般の部に応募することを前提として話を始めた。賞金が出るのは一般の部のみだ。中村氏によれば、一般の部ではお金をかける必要はなく、とにかくシンプルで楽しいものがよいだろうとした。続いて、自分たちの作ったコンテンツとして、「どこでもラストガイ」やホンダのカーナビであるインターナビのプローブカーの情報を可視化するサイトなどを紹介した。「ラストガイ」はプレイステーション向けのオンライン配信だけで提供されるゲームだが、それをPRするために作られたWebゲームが「どこでもラストガイ」だ。好きなURLのページ上で「ラストガイ」を遊んでしまおうというFlashコンテンツだ。また、インターナビのデモサイトは、プローブカーのGPS情報を地図といっしょにアニメーション表示するものだが、そのハイウェイの夜景のような光の動きを楽しむというものだ。
これらのコンテンツを作った動機として、中村氏は、「広告は実は嫌われ者のような気がしている。しかし、ブックマークのようなツールは嫌われていない。広告やいろいろなもののアピールも嫌われない発想が必要なのでは」との認識を述べた。
佐野氏のセッションでは、まず素朴な疑問を広げていってアイデアにつなげるという発想法を紹介した。その例として、手相占いによれば生活習慣などによって手相が変わるというがそれは本当か? という佐野氏の疑問から、手のひらのコピーを1年間撮り続け、それをFlashでアニメーション化するというアイデアが紹介された。非常に根気のいる作業だが、なにか面白いコンテンツになるのではないかという。
また、満員電車はなんで発生するのか。という疑問から、東京の地下鉄のダイヤをすべて入力したアニメーションコンテンツを紹介した。地下鉄の路線図上を実際のダイヤと同じように移動する点を初電から終電まで再現したものだ。これも実用性はないものだが、佐野氏によれば、東京で一番最後まで動いている電車は大江戸線だそうだ。それを発見することができたという。さらにクライアント案件と前置きしながら、就職活動の履歴書をラブレターにたとえ、経歴や志望動機などを応募者が熱く語るビデオレターを投稿、上映するというサイトなどが紹介された。
サンプルの紹介のあとは、では、実際どのような作品を作れば審査員の心にささるのだろうか、というセッションの核心部分に入った。ひとつは、審査員もWebデザイナーや普通のクリエイターだとすれば、彼らの「あるある感」に訴えられればポイントは高いのではないかという。
たとえば、プロモーションサイトなどを作っているとき、スケジュールの問題などで本番サイトが間に合いそうにないと、「Coming Soon」というティザーサイトを立ち上げることがある。本当にスケジュールが押してくると、このティザーサイトさえ作ることが面倒になってくるそうだ。そこで、「Coming Soon Generator」だ。
サイト名、URL、キーワード、タレント名などフューチャー、公開対象(全国、全世界など)をフォームに入力すると、迫力のある映像とともにあおり文句が表示され、最後にURLや「Comming Soon」の文字が表示されるFlashページが生成されるというものだ。
また、存在しないURLをアクセスしようとしたときに表示される、通称404エラーのページをメディア化できないか、としていろいろなパターンの404表示のアイデアを披露した。たとえば、「404 Not Found」と表示したページの余白に「もしかしてこれ?」と別のサイトをレコメンドしてくれるものだ。
さらに、見つからなかったことを励ましてくれる「404 みつをバージョン」(にんげんだもの)、スロット風に数字が揃いそうで揃わないページ、しかも確変突入を思わせるアニメ(某ロボットアニメ)のロングリーチバージョンのデモなども行われた。これには会場爆笑である。
以上のように、各所にネタがちりばめられ、時間を感じさせないセッションだったが、要所にアイデアや発想のヒントが盛り込まれ、クリエイター諸氏には非常に有意義なものだったに違いない。最後のQ&Aでも、実際の審査方法はどうなっているのかというするどい質問や、このようなアイデアはどうやったら生まれるのか、といった質問が出された。
アイデアの発想方法について中村氏は、ジェームス W. ヤングの「アイデアのつくり方」という本を紹介し、まずはターゲットの情報を集めろ、そして考えあぐねてもいいアイデアはでないが、そのような活動の中で、電車の中、トイレ、お風呂といったところでひらめきが得られるものであるとの考えを示した。情報を集めて考えてもアイデアは出ないが、それをしていないとインスピレーションは自然には湧いてこないということだろう。そして、Flashなどの技術の習得もやはり重要だという。よく、専門家以外のほうが奇抜なアイデアがでるというが、現実にはそれはまれで、やはり日ごろ関連の情報に接していて、常にそのことを考えているようでないと、本当のブレークスルーは生まれないだろうと述べた。特に佐野氏の作品のような作り込みの深さは時として、実際の機能より重要になることがある。また、このようなコンテストでは「ふざけた内容のものはポイントが低い」ということを念を押していたので、この点も注意が必要だ。
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