目指すはL2での統合! Wi2の野望は日々実現しつつある
これまでのWi-Fiコネクティビティは、使える場所に人間が移動するという考えだったが、Wi2は2つの従来と異なった側面からサービスを展開している。1つはエリア内ならどこでもWi-Fiコネクティビティが利用できること。もう1つは、人間の移動する場所に合わせてWi-Fiコネクティビティも移動するというアプローチだ。Wi2のビジネス開発本部長の高津智仁取締役に、このコンセプトに関しての想いをたずねた。
◆使わなければ0円、使っても上限490円は全国規模で最安値
RBB:丸の内のWi2 300のサービスに引き続き、リムジンバスでのサービスインおめでとうございます。キャンペーン期間中とはいえ、インパクトのある価格体系を持ち込まれています。丸の内エリアと空港リムジンバス・アクアラインの全バス内で利用できるWi2 300サービスは、従量課金で使わなければ0円。どんなに利用しても上限が490円/月。しかもBBモバイルポイントとlivedoor Wirelessが利用できるので、事実上全国サービスです。アクティブなユーザーはもちろんのこと、ときどきモバイルで無線LANを使うんだけどというビジネスマンにはまさにコスト面で最適なサービスです。この価格体系はどういった観点から定められたのですか
高津:Wi2 300のサービスは、IEEE802.11nの最大300Mbps。IEEE802.11iのセキュリティも確保したうえで、BBモバイルポイントとlivedoor Wirelessサービスエリアでも使えるという全国規模の無線LANサービスです。しかし、300Mbpsの通信速度が使えてビジネスマン必須のセキュリティも確保されるエリアは自社網エリアの大手町とバス内だけです。この側面だけを考えると、ほかの事業者のように定額サービスで提供するには提供エリアで見劣りがします。高速・セキュリティ重視で、エリアが狭いことをしっかりと受け止めて、エリアがもっと広がるまでの期間はキャンペーン期間として価格を下げて提供しています。キャンペーン期間中の料金は0円スタートで最大490円です。
上限を490円にした理由には、提供エリアの側面からですが、キャンペーン期間が終了するころにはエリアも広がっているので、月額105円スタートで上限980円の通常料金に戻ります。しかし、キャンペーン期間中に申し込まれた方々は、通常料金になっても0円スタートで490円上限のままです。早期にご加入いただきWi2を応援してくれた皆様には、経費にやさしいWi2サービスのままです。
◆提供エリアの拡大方針は人の集まる所
RBB:以後は利用できるエリアが広がり、7月末にはキャンペーン料金から通常料金に変わるということですが、エリア展開はどのようにお考えですか。
高津:Wi2オリジナルのサービスエリアは、高速通信と暗号化通信に加えて、無線LANインフラで利用している端末の現在位置情報サービスの提供(IMES)という3つの特徴を持ちます。この観点を最大限に生かせるところを中心に展開していきます。
Wi2 300として最初にサービスを提供したエリアは、丸の内エリアで丸ビル、新丸ビル、丸の内オアゾの3ビル内と丸の内シャトルバスです。これは、ビジネスユーザーが多く集まる丸の内で、高速通信が提供でき、しかも大型ショッピングエリアでIMESによってショッピング情報を提供できるという3つの特徴を実現できた場所です。同様な形で、全国各地の丸の内のような場所はエリア展開の候補になります。
丸の内エリアの次に提供した場所は、成田・羽田空港と各地を結ぶ京浜急行バスの空港リムジンバス・アクアライン、東京空港交通の成田空港線・羽田空港線のリムジンバス4路線の全500車両のバスです。バスの中でもWi2 300のサービスを利用すると、移動中のビジネスマンの方々にも安全な通信でビジネスをしていただけます。バスのキーワードは、空港から目的地まで移動する間のインフラをお手伝いすることです。今回は成田・羽田空港を中心にしましたが、成田・羽田以外でも同様な形で適用できる空港は候補になります。
RBB:ビジネスエリアを中心にエリア展開をされていくわけですか。
高津:今はビジネスに利用していただける場所での展開を進めていますが、高速通信と安全な通信はビジネスだけのものではなく、みなさんにも利用いただけるサービスです。
空港からバスに乗って移動する先は、ビジネスの現場やイベント会場、観光地といった人の集まる場所です。そして、人が集まると3Gの無線通信は速度が出にくくなります。そんな場所こそWi2 300のサービスがもっとも適合する場所です。ビジネスエリアというよりも、人の集まる場所全般が候補になります。
丸の内エリア同様に、大型のショッピングセンターはエリア展開したい候補地です。ショッピングセンターでのエリア展開となると、PCで利用するよりも携帯電話やスマートフォン、携帯ゲーム機でWi-Fiを使われることがほとんどでしょう。
丸の内で実証済みですが、IMESがあることで設備内での回遊は高まります。Wi2では、IMESを使った情報提供をバーチャルティッシュ配りとかマイサイネージといっていますが、モールにやってきた会員属性に合わせて、その人にあった買い物情報やイベント情報、タイムセールの情報やクーポンがプッシュできます。万人へあてたメッセージよりも、属性に合わせた特別メッセージのほうが、回遊につながる傾向があります。ショッピングモールへのIMESの導入は今後進むでしょう。また、海外の方には現地言語で情報を提供できるので、チャンスを逃さずに商売ができます。
◆海外からの旅行者は空港から一歩出るとデジタルデバイド
RBB:空港を意識したエリア展開でのWi-Fiの利用はどういったものを想定されていますか。
高津:バスの中でWi-Fiが使えると、ビジネスやバケーションで空港へ行く時間、もしくは空港から目的地へ行くまでの間を情報収集の時間として有効に使えます。出張報告をバスの中で仕上げて送信するという使い方もあるでしょう。しかし、もっと重要なことは海外の方の存在です。
海外の方が日本に来られると、空港とホテルの間がデジタルデバイドです。日本にきて空港を一歩出ると、電話はつながらないし、Wi-Fiもつながらない状況に陥ります。そこで、空港を出るときにWi2サービスを申し込んでおくと、バスの移動中でも情報を取得できます。そのまま丸の内のビジネス街へバスで直行して宿泊するような海外の方は、Wi2インフラを目いっぱい利用して、移動中もホテルの中でも自国とコンタクトがとれます。Wi-Fiをスポットで配置するのではなくて、動線で利用してもらえることがWi2サービスの本質です。
RBB:海外の方はモバイル通信ではWi-Fiを重視する傾向が強いようですよね。
高津:国際会議など世界的なカンファレンスで人が集まる場所ではWi-Fiを必要インフラとされる傾向があります。海外メディアや研究者の方にとって、カンファレンス会場でWi-Fiが使えることはごく普通のことで、802.11gよりも802.11nが使えるほうが利便性が高いと感じています。こうした要望があるからこそ、Wi2でも802.11nのサービスを提供しています。会場でWi-Fiが使えるなら、会場を中心とした周辺のホテルや観光地でもWi-Fiが使えたほうが利便性が高まります。空港から会場、そして会場付近のエリアとWi2 300のサービスが広がれば、海外の方は国内滞在中にWi-Fiで困ることがありません。
オバマさんの影響でしょうか。中国圏の方を除けば、ほとんどの海外ビジネスマンはBlackBerryを持参しているように感じます。携帯キャリアのローミングサービスを利用すると日本で通話ができないわけではありませんが、BlackBerryを国内で確実に使う方法はWi-Fi接続です。欧米と日本では時差もあるので、メールの送受信ができれば音声通信と同じぐらい利便性が高いコミュニケーションがとれますよね。やはり、Wi-Fiは海外の方のコミュニケーションとして重要な位置にあります。
そんなことからも、海外の方に向けて24時間利用のワンタイムプラン料金も準備しました。世界各国の提供価格を見ながら、1日のWi-Fi料金はいくらぐらいだろうかというところから検討して、横並びのような金額で24時間で800円という料金にしました。Wi-Fiがどこでも使えて、しかも金額はあまり変わらない、日本はなんていい国なんだと自国に帰って話してもらえるでしょう。
◆通信業界はL2での統合サービスに進む
RBB:Wi2 300というモバイルインフラのサービスを提供したあとの展開はどうされていく予定ですか。
高津:Wi2はWi-Fiを非常に重要な技術としてとらえて自ら構築しましたが、なにがなんでもWi-Fiというわけではありません。いろいろなインフラを検討して、現時点で選ぶならWi-Fiという結論になったので、Wi-Fiを利用しています。しかし、技術革新でさらに優れたものが出てくれば、それを自らが構築して利用することもあります。MVNOとして使うこともあるでしょう。
アッカ・ワイヤレス(Wi2の前身の会社)のときにはWiMAXを推進していましたが、当時の思想はそのままWi2に引き継いでいます。当時もWiMAXのラストワンマイルはWi-Fiであると考えており、ラストワンマイルの優位性は今でもWi-Fiにあるという結論です。アッカ・ワイヤレスのときはWiMAXを使っていた部分が、Wi2では有線や3Gになっています。今後、WiMAXが使いやすくなれば、3Gや有線の一部がWiMAXに置き換わることもあるでしょうし、WiMAXではなくLTEになるかもしれません。Wi2では、そのときのもっともベストなものを選んでネットワークを構築していきますし、新たな通信インフラの事業者として名乗りを上げることもあるかもしれません。
NGNがもっとも代表的な例ですが、今通信業界はモバイルも含めてL2で統合する流れが強まっています。Wi2サービスも同様で、これからは自前のWi-Fiエリアと3GのMVNO、Wi-Fiローミングの3つを統合していきます。ここがしっかりと統合されると、どこにいても最適なネットワークが使えるような環境が整います。利用者は端末の電源を入れるとネットワークにつながっていて、しかも常に最適なネットワークを使っている。そのサービスの事業者がWi2です。
すでに、ビジネス向けにはWi2 MobileというソフトバンクのHSDPAを使った3Gネットワークサービスも提供しています。日本全国で使えるWi2 Mobileと、特定エリアにおいて高速に通信できるWi2 300を組み合わせただけでも、利用者は意識することなく、その時にもっともいい電波を捕まえて通信ができます。そんな世界が実現するのもそう遠くはないでしょう。
RBB:L2の統合サービスにはさらなるWi-Fiエリアの拡大が必要だと感じます。エリア拡大の投資に向けた指針はお持ちですか
高津:人の集まる所へは、単純にネットワークコネクティビティを完備するだけで資産価値が向上することがほとんどです。しかし、Wi2が目指すものは、単なるネットワークコネクティビティではなく、オーナーさんの資産にネットワークコネクティビティ以上のさらなる価値を持たせるかを十分検討したうえでエリア拡大をしています。位置情報をキーにした情報提供までシステム化することで、さらに何倍もの価値を持たせられるものになることもあるので、オーナーさんに持たれている資産の価値がアップすることをご理解いただきながら、サービスエリアをひろげていく方針をとっています。
オーナーさんによってはWi-Fiではないものをラストワンマイルに導入したいということもあります。Wi-Fi以外のものであっても、Wi2 300のサービスに組み込むことで価値が上がるのであれば、オーナーさんにご理解いただいてWi-Fi以外のサービスとして展開することもあるでしょう。
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