【富士通フォーラム(Vol.20)】投資コストと消費電力を削減する最適ストレージとは——有川保仁氏
まず有川氏は、先ごろ起きた金融危機に対する、企業経営の環境変化について説明した。危機発生後、半数以上の企業がIT投資を抑制する方向にあるという。従来の資産を有効活用し、運用コストを削減すべく、さまざまな努力が続けられている。その一方で、実環境では非構造化・複製データなどが増加し、年を追うごとに大容量ディスクの需要が高まっている。それにともない、パフォーマンスへの不安、管理者やスキルの不足など、多くの課題も表面化してきた。また環境への配慮も必要になり、IT分野でのグリーンへの取り組みが不可欠になっている。
では、このような課題に対し、いま富士通では一体どのような取り組みをしているのだろうか? 有川氏は、課題解決の方向性として、「ストレージ容量仮想化」「高速デバイスの活用」「省電力運用」という3つの手段を挙げて、詳しく解説した。
◆ストレージ容量仮想化
企業資産の有効活用や最適投資、管理面での簡素化を実現するためには、ストレージ容量の仮想化が大きなポイントになる。富士通では「シン・プロビジョニング」と呼ばれるテクノロジーを利用することで、これらの問題を解決。シン・プロビジョニングとは、サーバから見えるボリュームを仮想化し、物理ディスクの容量以上のボリューム容量を定義できる技術だ。ストレージ需要が予測できないケースでも、あらかじめ論理的な容量を大きく確保しておけば、将来のディスク容量の拡張に備えられるわけだ。
現時点で必要なディスクのみ使用し、あとから状況に応じてアレイにディスクを追加できるため、初期コストが大幅に削減される。もちろん使用領域が減るぶん、消費電力も抑制。さらに将来のディスク増設時にサーバ環境の変更が不要で、運用を簡素化するメリットがある。またシン・プロビジョニングでは、必要容量の物理ディスクをプールで管理するため、システム運用中も継続的かつ効率的に物理ディスクを利用できる。
◆高速デバイスの活用
富士通ではディスク装置の高性能化と低消費電力への取り組みとして、新デバイスの導入にも力を入れている。たとえば最近では、ストレージにSSD(Solid State Drive)を適用することも多くなった。記録メディアにフラッシュメモリを用い、ランダム読み出しに優れたドライブを実現するものだ。可動部がなく、信頼性に優れ、消費電力もHDDの約半分で済み、発熱・騒音も少ない。
SSDの高速性を生かす例として、アクセス頻度が高く、アクセス性能を最優先するオンライン・ストレージ階層での導入(Tier0)があげられる。SSDはメモリ容量は少ないが、特定領域を高速化すれば、システム全体の性能に寄与できる。特に業務系データベースにおいて、低データ量でアクセス回数が多い顧客・商品マスタなどのインデックスにアクセスする際に効果を発揮。メールシステムのユーザー認証でも効果は大きい。
◆省電力運用
同社は、省電力という観点から「エコモード」による対応も実践している。MAID(Massive Array of Idle Disks)技術による省電力化がそれだ。ディスク装置を使用しない時間帯は、モーターの回転を停止し、消費電力を削減する。またバックアップ時のみディスクを可動させる省電力運用や、階層ストレージでアクセス頻度の低いディスクに対する電力削減など、ディスクを極力回転させず、必要なときだけ駆動させる運用に徹底的にこだわっている。さらに、電力消費に対する具体的な効果を確認するために、「ECOの見える化」を推進。消費電力と温度を監視し、業務ごとの統計情報を可視化する「ETERNUS SF Storage Cruiser」などもサポートしている。
最後に有川氏は、前述のようなコスト削減や環境対応に対するニーズを満たす現実解として、同社のストレージソリューション「ETERNUS」のラインアップについて簡単に触れた。中核となるディスクアレイとして、今年初頭に発売されたエンタープライズ向けの「ETERNUS8000」やミッドレンジ向けの「ETERNUS4000」、エントリー向けの「ETERNUS DX60」「ETERNUS DX80」などを紹介。このほかにも、ネットワークディスクアレイ、NASゲートアレイ、アーカイブストレージ、テープライブラリ、バーチャルテープ、ファイバチャネルスイッチ、各種ストレージ基盤ソフトウェアなど、世界トップクラスのストレージソリューションを幅広く取り揃えていることを強調して、セミナーを終えた。
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