【富士通フォーラム(Vol.14)】富士通を変革する3つの起点——野副社長

2009年5月15日(金) 14時24分
富士通代表取締役社長の野副州旦氏の画像
富士通代表取締役社長の野副州旦氏
 「富士通フォーラム2009」で初日の14日、同社代表取締役社長の野副州旦(のぞえくにあき)氏による「富士通の変革 〜お客様のかけがえのないパートナーへ〜」と題した基調講演が行われた。

 講演の冒頭で野副氏は、富士通が「お客様のお客様起点」「グローバル起点」「地球環境起点」の3つの起点の変革に挑んでいくことを宣言。以下、それぞれの取り組みを説明していくことで講演は進んだ。

 まず「お客様のお客様起点」について野副氏はまず「お客様にとってシステムの投資効率は稼働後の利用率が決定する。いくら立派なシステムを作っても使ってもらえなければなんの意味もない」と指摘。そのためには「現場での業務運用をお客様の目線でしっかりと見て、システムだけではなく、主役である人やプロセスをあわせて改善していかなければならない」と語った。

 富士通ではこの課題を実現する牽引役として、15年以上の実務を経験した人材を中心に、2007年よりフィールドイノベーターの育成を開始。2007年10月に第1期の150人、2008年10月に第2期の167人のフィールドイノベーター(FIer)が誕生した。

 FIerはシステム開発後に顧客の現場に入り、納入したシステムの活用現場をウォッチ、モニタリングして問題点をSEにフィードバックしていく。それだけではなく、顧客といっしょに業務プロセスの改善案を考え、「システムを作りっぱなしにしない」という富士通の考えを実践していくという。

 野副氏は「FIerの育成は最後のステージに入っている。お客様からは『第三者視点による新たな気付きを得た』『事実に基づいた課題を可視化することによって改革意識が高まった』などの高い評価をいただいている」としながらも、「温かい目で接していただいているという甘さがまだ残っている」とも語った。今後も約300名のFIerを中心に、富士通グループ全体で知のネットワークを形成し、問題解決能力を高めていくという。

 また、もう一つのお客様起点として、富士通の受発注基幹システム「FOCS」のシステム再構築を例にあげ、自社での開発経験を積極的に生かしていくという方法も示した。「FOCS」は稼働から25年を経て、1,300のインターフェイスと69の周辺システム、6メガステップにものぼる肥大化したシステムになっていたが、2年をかけてSAP CRMを中核としたSOA(Service Oriented Architecture)に基づいた新システムに再構築したという。

 「かなりの費用がかかるため社内で反対意見も出たが、自社でやっていないシステム再構築をお客様に訴求することはできないという考えから実行し、結果的に多くの課題や経験を得ることができた」と、成果を紹介した。そのひとつが「XML大福帳」の開発。データそのものにXMLのタグを付けることで、膨大な取引データを削除・更新することなく時系列で記録することが可能になり、企業の活動記録を一元化できる。さらにデータの発生と処理を分離しているため、利用用途に応じて自由に選択できるのも利点となっている。また、アウトプットされたデータを単に表示するのではなく、グラフィカルなインターフェイスを使い、オペレーション責任者が直感的に状況を把握できるように表示する「マネージメント・ダッシュボード」も成果のひとつだ。

 次に「グローバル起点」について。富士通のグローバル展開のキーワード「Think Global. Act Local」を取り上げ「今まではAct Localの部分を重視しすぎており、Globalでものを考えるということができていなかった。これからはThink Globalという考え方を加え、真のグローバル化を目指していく」とした。具体的な施策としては、「シスコ、マイクロソフト、SAP、オラクル、インテル、レッドハットなどグローバル企業とのパートナーシップの強化」「リチャード・クリストウ経営執行役上席常務を中心とした海外部署の再編成」などをあげ、日本国内だけではなくグローバルに一貫したレベルのサービスを提供していくという。

 その中核となるのがデータセンター事業だ。サーバの仮想化、セキュリティ、電流監視、環境技術、共通リソース管理など、富士通が今まで培ってきた多くの最新技術を集約し、顧客となるベンダーがアプリケーションの開発に専念できるトラステッドなクラウドサービス・SaaSの基盤として、データセンターをグローバルに訴求していく。野副氏は「データセンターを核にしたサービスをやっていくことが、グローバル展開の近道。日本もひとつの市場にすぎない」と強調した。

 また、今年4月に富士通シーメンス・コンピューターズ(FSC)を買収・統合し、富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)としたことに触れ、「シーメンスブランドが消えるということは富士通がグローバルに独り立ちすることの宣言だ」とした。これにともない、IAサーバをグローバルで50万台、シェア7%という目標を示し、「この数字を富士通全体としてグローバルで共通の目標に向かうという変革の核にする」と語った。

 3つめの「地球環境起点」について。「Green policy 21」「Green policy 2020」「Green policy Innovation」といった環境負荷低減への取組みや、電源、空調、証明など省電力運用マネジメントを活用したデータセンターの省エネ化努力、さらにそれを実践した館林システムセンター新棟などを紹介。さらに、同社の環境戦略でイメージキャラクターを努める女優の松たか子さんから「ずっと先の世代の環境を富士通のIT技術で守ってください」という言葉を贈られたことをあげ、環境起点をさらに重視していくと決意を新たにしたという。

 最後に黒川前社長が示したフレーズ「FUJITSU Way」をあげ、「これからの世界はますます大きく変革していくだろうが、今後も富士通は3つの起点により、お客様に貢献できるパートナーになり、共に進化していくことをこの場でお約束したい」と講演を締めくくった。
《田口和裕》
注目の情報[PR]

注目ニュース

【富士通フォーラム(Vol.12)】ルーペ感覚!暗号化文書を携帯電話で楽々解読

 「富士通フォーラム2009」では、セキュリティが手薄な紙文書を暗号化し、スキャナや携帯電話で簡単に解読できるようにするシステムのデモが行われている。

【富士通フォーラム(Vol.10)】環境にもコストにも優しいセキュアなクライアントPC

 「富士通フォーラム2009」では、グリーンITとセキュリティを両立するクライアントPC管理システム「Systemwalker Desktop Patrol」「Systemwalker Desktop...

【富士通フォーラム(Vol.8)】自然エネルギー普及に貢献できるECOノートPC

 「富士通フォーラム2009」では、自然エネルギー発電の普及に貢献するグリーン電力証書システムに対応した世界初の個人向け小型ノートパソコン「FMV-BIBLO LOOX U/C50N ECO」モデルを...

【富士通フォーラム(Vol.4)ビデオニュース】顧客の声を取り入れて成長する富士通の電子カルテソリューション

 富士通は昨年、電子カルテソリューション「HOPE/EGMAIN-GX」を発表した。特徴はメンテナンス契約の範囲内で常に最新の機能を活用できること。

【富士通フォーラム(Vol.5)ビデオニュース】光ファイバーでデータセンターの温度分布を正確に把握

富士通は、光ファイバーによるリアルタイム超多点温度測定技術を参考出展していた。

【富士通フォーラム(Vol.13)】消費電力削減に効果——ETERNUSのエコモード

 「富士通フォーラム2009」の展示ブース「ストレージの容量仮想化によるDB運用改善」では、データベース運用改善のインフラ最適化ソリューションとして、ストレージ製品「ETERNUS4000」の「エコモ...

【富士通フォーラム(Vol.11)】効果的な情報活用&高コストパフォーマンスを実現するILM

 「ストレージの容量仮想化によるDB運用改善」では、「ETERNUS4000」を利用したデータベース運用改善のインフラ最適化ソリューションとして、ILMの考え方に基づいたデータベース運用のデモを行って...

【富士通フォーラム(Vol.9)】投資コストと消費電力を削減——ストレージの仮想化技術

 「富士通フォーラム2009」の展示ブース「ストレージの容量仮想化によるDB運用改善」では、「ETERNUS4000」を利用したデータベース運用改善のインフラ最適化ソリューションとして、「シン・プロビ...

【富士通フォーラム(Vol.7)】ブレードサーバでコスト削減——新製品大規模ブレードサーバPRIMERGY BX900の実力

 「富士通フォーラム2009」では、富士通が12日に発表した新型ブレードサーバ「PRIMERGY BX900」の実機が展示されている。同社が、中期的なクラウド戦略を考えて発表した製品だ。

【富士通フォーラム(Vol.6)】富士通フォーラム2009が東京で開幕

 「変革!富士通のビジネスソリューション 〜お客様のかけがえのないパートナーに〜」をテーマに、「富士通フォーラム2009」が有楽町の東京国際フォーラムで開幕した。

【富士通フォーラム(Vol.2)ビデオニュース】春モデルノートPCの水冷システムをアピール

 富士通は昨年12月に、春モデルのノートパソコンとして「FMV-BIBLO NW/C90D」を発表した。同製品についてはすでに報道しているが、特徴のひとつが水冷システムを採用している点だ。

【富士通フォーラム(Vol.1)ビデオニュース】タッチ感覚で認証!手のひら静脈認証の高速撮影技術!

 富士通のプライベートイベント「富士通フォーラム 2009」が14日に開幕する。12日には関係者を対象に会場がオープンしたため、さっそく主なデモや展示内容を紹介していこう。

富士通、業界最高クラス18枚搭載の大規模ブレードサーバ「PRIMERGY BX900」を販売開始

 富士通は12日、新ブレードサーバ「PRIMERGY BX900」の販売を開始した。

【インタビュー】集約性能/将来性/運用性/グリーン化を強化——次世代クラウドを担う富士通BX900

 富士通は12日、大規模ブレードサーバ「PRIMERGY BX900」およびサーバの運用管理ミドルウェア「ServerView Resource Coordinator VE」を発表した。同社担当者に...

富士通、PCの電力消費やCO2排出を抑える「Systemwalker DesktopシリーズV14g」2製品を新発売

 富士通は8日、パソコンの資産管理・情報漏えい対策ソフトウェア「Systemwalker Desktopシリーズ」に、環境負荷低減を支援する新商品を追加、販売を開始した。

富士通とウィルコム、電源オフでも遠隔操作できるノートPCの紛失・盗難対策ソリューションを開発

 富士通、富士通研究所、ウィルコムは7日、法人顧客を対象に、ウィルコムのPHSネットワークを利用した新たなノートPC向けセキュリティソリューションを開発したと発表した。

富士通、エントリー向けSAN対応ディスクアレイ「ETERNUS DX60/DX80」を新発売

 富士通は7日、ストレージシステム「ETERNUS」製品群において、エントリーシステム向けとなるSAN対応ディスクアレイ「ETERNUS DX60」「同DX80」をあらたに発表した。

富士通ME、HD映像の伝送が可能な「1394 Automotive」規格準拠LSIを新発売

 富士通マイクロエレクトロニクスは22日、情報系車載ネットワークの国際規格「1394 Automotive(IDB-1394)」に準拠したコントローラーLSI「MB88395」のサンプル出荷を開始した...

「どこでもイントラネット」を強化——富士通FENICS II ユニバーサルコネクト

 富士通は20日、クラウド時代に向けた新しいネットワークサービスとして、「FENICS II ユニバーサルコネクト」を発表した。

特集

SOA

RSS

特集・連載

ブロードバンド/無線LANスポット検索

ブロードバンド検索
-

ピックアップフォト