トラステッドクラウドにプロダクトとサービスを融合——富士通の包括的戦略

2009年4月28日(火) 11時39分
富士通 取締役副社長の富田達夫氏の画像
富士通 取締役副社長の富田達夫氏
ICT活用の逆流現象の画像
ICT活用の逆流現象
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サービスとプロダクトを融合させる
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Trusted-Service Platformの概要
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富士通の考えるクラウドサービスの適用分野
経営執行役上席常務 サービスプロダクトビジネスグループ グループ長の石田一雄氏の画像
経営執行役上席常務 サービスプロダクトビジネスグループ グループ長の石田一雄氏
富士通のサービスモデルの延長にあるクラウドの画像
富士通のサービスモデルの延長にあるクラウド
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富士通の提供するクラウドサービスの概念
事業モデルのサービスイメージの画像
事業モデルのサービスイメージ
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新しく構築されたサーバーファーム
クラウドセキュリティセンターの概要の画像
クラウドセキュリティセンターの概要
 27日、富士通は同社の提唱する新しいクラウドサービス基盤に関する記者発表会を開催した。富士通の考えるクラウドサービスとは、変革するICT市場に対応すべく、フィールドイノベーションとサービスをいかに企業経営、業務にとり入れるかという提案ということだ。新しい事業戦略では、これまでのプロダクトとテクノロジーありきの考え方から、富士通の描くクラウドサービスがどのように展開されるのだろうか。

 まず登壇したのは、富士通 取締役副社長の富田達夫氏だ。氏によれば、従来のICT活用は、バックオフィスからフロントエンドに向けて行われることが多かったという。企業活動があり、その基幹システム(バックオフィス)を構築し、各部門の製品やサービス(フロントエンド)に向けて提供していた。ところが、インターネット普及による市場やしくみの変化(集合知、ロングテールほか)、EC技術、認証技術、デジタル家電、エンターテインメントなどテクノロジーの変化という「フィールドイノベーション」が、企業の各部門の製品開発やサービス、そして経営方針や戦略に影響を与えている。つまり、クラウドコンピューティングの時代では、ビジネスのICT活用の流れが逆転しているというわけだ。

 この逆転現象により、インフラをなるべく所有することなく、必要なときに必要なリソースを確保するニーズ、製品開発や業務アプリ開発の迅速化、セキュリティやグリーンIT、ユーザーと現場をつなぐコミュニケーションといったさまざまな動きやニーズが生まれている。富士通では、これまで培ってきたコンピューティング技術、ネットワーク技術、そして管理技術とノウハウを結集させ、最適なソリューションを提供していくとした。

 このようなニーズを満たすための基盤として発表したのが、今回のクラウドサービス基盤「Trusted-Service Platform」である。発表では「トラステッドクラウド」とよばれていたが、このプラットフォームは、仮想化対応の大規模データセンター(複数拠点)に、富士通のネットワーク技術、サーバー関連製品と管理ソフトウェア製品といったシステムリソース、マネジメントや運用に関する可視化技術やソリューションサービス、そしてセキュリティなどを統合し、それぞれのニーズにあった、サービスやシステム、ソリューションを展開していくというものだ。

 トラステッドクラウドのポイントは、単純にリソースやシステムをアウトソースしたり、ネットワーク利用するという発想ではなく、既存のオンプレミスシステムとの連携やセキュリティ確保なども考慮している点だ。すべてをクラウドに任せることが正解とはしない。たとえば、法規制が変わってくれば別だが、現状ではコンプライアンスの要求から自社でデータベースやログを管理しなければならない状況が存在している。流れはともかく、これを切り捨てるわけにはいかないそうだ。また、トラステッドクラウドに含まれるネットワークはインターネットだけではなく、デバイス依存のもの、センサネットワークなど一般家庭から製造、流通業界への適用も含むものだという。

 トラステッドクラウドには、実際どのような取り組みがされているのだろうか。講演者を同社 経営執行役上席常務 サービスプロダクトビジネスグループ グループ長の石田一雄氏に交代し、発表が続けられた。

 これから富士通が注力していくとするサービスモデルは、同社がこれまで取り組んできたネットワークサービス、サーバービジネス、データセンターなどのシステムオペレーションサービス、NGN、SaaSなどの延長にあるもので、Googleやセールスフォースと同じことをするつもりはないとした。

 そのうえで、トラステッドクラウドの対象となる市場は、従来からの基幹業務システムとCRMやグループウェアなどのフロントエンド系システムがまず考えられる。次に新しい適用分野として、センシングネットワークを利用した農業や医療分野、RFIDなどを活用したトレーサビリティ、プラントやインフラ監視の画像応用分野などを想定しているという。事業モデルの例として、顧客の基幹システムをベースにして、そこからトラステッドクラウドに切り出せるサービスを富士通から提供するという形を紹介した。必要なサーバープラットフォームやアプリケーションが富士通のデータセンター上に構築される。必要なアプリケーションと基幹システムとの連携部分はSIビジネスが適用され、必要なサーバー製品もワンストップで提供されるが、顧客からみれば、すべてがクラウドサービスとして見えることになる。

 実際に提供が開始されるサービスは4つある。まず、クラウド系のサービスを構築する「サーバーファーム」。次にクラウド内のセキュリティを確保する「クラウドセキュリティセンター」。そして、既存企業システムのうちクラウドに移行する「インテグレーションサービス」とクラウドシステムの管理、可視化を実現する「マネジメントサービス」の4つだ。

 これらは具体的にサービスメニューとして富士通のポートフォリオに加えられ、4月から提供が開始されており、今後はデータセンターのさらなる増強や提供するアプリケーションの拡充などを進める予定だ。富士通では、クラウドサービス関連で売上3,000億円を目指し、その他の事業と合わせると1兆円規模の売上が可能と見ている。
《中尾真二》
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