「ネットでの児童ポルノの流通」との戦い 〜 警察庁、「セキュリティ対策会議報告書」を公開
「総合セキュリティ対策会議」は、情報セキュリティに関する産業界などと政府機関との連携の在り方、特に警察との連携の在り方について意見交換を行うことを目的として、2001年度以降開催されている会議。情報セキュリティに関する有識者にとどまらず、電気通信事業、コンテンツ事業、コンピュータ製造・販売業、ソフトウェア産業などの各種事業に関する知見を有する人、さらには、法曹界、教育界、防犯団体から有識者が参加し、幅広い意見交換が行われている。2008年度報告書では、インターネット上での児童ポルノの流通について、問題点、現状、諸外国の取り組み、関係者(頒布者、サイト管理者、検索エンジン業者、ISPなど)による対策、取り組みへの提言が詳しく記載されている。実際2008年には676件の児童ポルノ事犯を検挙し、過去最多を記録しているなど、依然として、児童ポルノ事犯をめぐる情勢は大変厳しいものとなっている。なおこの報告書ではCGやアニメなど「存在しない児童」に関するものは含まれていない。
同報告書によれば、海外ではすでに積極的な対策が行われており、ホットラインセンターの運用による児童ポルノの削除の他、ISPによるブロッキングなどの対策が実施されている。ISPによるブロッキングについては、英国、イタリア、オランダ、カナダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、ブラジル、米国などで実施されており、イタリアおよびフィンランドでは、法令によりISPに対して実施が義務付けられているが、その他の国ではISPの自主的な取組みとして実施されているとのこと。たとえば英国では、ブロッキングについては、ISPによる実施を義務付ける法令は存在しておらず、ISPによる自主的な取組みとして位置づけられている。一方、イタリアでは、2006年法律第38号によって、ISPに対しブロッキングの実施が義務付けらており、ブロッキングリストを内務省下の国家警察に属する郵便通信警察が、国内外の警察機関、官民の団体、インターネット利用者、プロバイダなどからの通報などを基に作成している。
今後の対策としては、インターネットを通じた児童ポルノの流通を防止するためには、その流通に関わる者すべてが、それぞれの立場で対策を講じる必要があるとしており、Webブラウザを利用した児童ポルノの流通経路についてみれば、児童ポルノの製造、頒布を行う当事者の他、児童ポルノが掲載されるWebサイトのサイト管理者、サーバ管理者、検索エンジンサービス事業者、DNSサービス提供者、インターネット・サービスプロバイダ(ISP)、一般のインターネット利用者などが関わっており、これら関係者すべてが、その流通防止に向けた対策を講じていく必要があると報告書では分析している。
具体的には、インターネット・ホットラインセンターでは、2008年中に、「児童ポルノ公然陳列」に該当する情報について、国内のサーバに蔵置されていた445件について削除依頼を行うとともに、ホットライン相互の国際的な連携組織「INHOPE」に加盟するホットラインの存在する国のサーバに蔵置されていた467件について当該国のホットラインへの通報を行っている。今後は削除依頼に応じないサイト管理者などの存在やINHOPEに加盟しているホットラインの存在しない国のサーバに蔵置されており削除依頼ができない児童ポルノの存在などの課題がある。そのほかにも、検索エンジンサービス事業者による元データの削除/検索結果の非表示化、ISPによるブロッキングの実施、インターネット利用者自身によるフィルタリングの使用などの対策があげられた。
今後については、児童ポルノに対する基本的な認識の幅広い共有、そもそも児童ポルノをインターネット上で流通させないための対策、流通している児童ポルノへの対策、流通させた者への対策として、推進体制の確立などが提言されている。
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