仮想化時代のストレージ戦略——ガートナー 鈴木雅喜氏
ガートナーでは2009年の10大戦略的テクノロジーとして、Web指向アーキテクチャ、SNS、特化型システム、グリーンITなどと並んでクラウドと仮想化も挙げている。この2つはストレージやデータマネジメントと関係の深いテクノロジーだとして、講演では既存のサービスをいくつか紹介し、その特徴を整理した。
例えばAmazon S3は、単機能のストレージを提供するもので、予約不要やローコスト、データセンターの地域指定が可能といった特徴があるが、データの可搬性という点で難点がある。EMCが展開するAtmosは、クラウド構築ソフトウェアとして、大規模データセンターや巨大なデータをクラウド管理するといった用途に向いている。Dechoが提供するMozyはクライアントPCのバックアップという側面が高くAmazon S3同様リーズナブルなサービスだ。最近では大企業でも部分的な利用が拡大しているという。
このようにクラウドサービスも多様であり、用途やレベルに応じた使い分けが重要であるとの認識を示した。そして、2008年に行った米国でのアンケート調査の結果を示しながら、クラウド不要という認識は間違いだが、ストレージをすべてクラウドで済ますという考え方も同様に間違いだとした。
サーバーの仮想化においてストレージもまた重要な役割を果たす。仮想化環境と共有ストレージを組み合わせることで、リソースの利用効率を高めコストダウンが可能になるからだ。ここでも、仮想化だけを考えるのではなく、データマネジメントの視点から注意したい点があるという。まず、サーバーとストレージを接続するインターフェイスだが、一般には帯域の広いファイバーチャネルがよいとされているが、コスト的な問題がある。用途によってはiSCSIやNASで十分な場合があるので、ベンダーのいいなりにならないように、導入側の要件分析能力の必要性を説いた。また、RAIDコントローラを導入している場合、仮想化エンジンの機能が二重投資になっていないかのチェックも必要だという。
仮想化もクラウドも概念自体に新規性はないものだ。データマネジメントという視点では、枯れた技術をないがしろにする必要はないということだろう。これは、ベンダー依存度を高めすぎないという意味でも重要で、企業においては、専任は無理でもストレージやデータマネジメントの責任者を決めておくべきだとした。ストレージインフラを導入、効率化、管理を続けていく上で、自分はいまどこの段階にいるのかを把握し、全体のプロセスを進めていく必要がある。ストレージの責任者は、そのための正しいトップダウン、最適テクノロジーを適用するベストプラクティス、各種テンプレートの作成を担うべきということだ。
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